Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

古本を買う 前編

2024-11-18 23:42:23 | つぶやき

 先日「青木村の自然石道祖神③」で引用した『信州の芸能』(昭和49年 信濃毎日新聞社)、実は手元にあるのは同書のコピーである。コピーしたのは、わたしが祭りを盛んに訪れていた20代のころのこと。刊行されたのが昭和49年だったから、すでに本屋に並んでいなかったし、そもそもお金がなかったから、「買う」という思いもそれほど強くなかった(本屋に並んでいれば悩んだうえで買っていたかもしれないが)。そこで図書館で借りてきて、会社で内緒でコピーしたというわけである。200ページちょっとという本だから、コピーしても100枚ほどのものだったので、それほど目立つ行為ではなかった。ただ、最小限と言う気持ちもあって、奥付はもちろんだが、最後にあった三隅治雄の解説部分は省いた。ということで、発行年がわからず、引用する際にはいつもネットで検索していた。たまたま今回も発行年を検索していて、古本の販売ページを見たわけだが、「安い」と思ったしだい。昔と違って印刷不況や、ペーパーレス化で本が売れない時代になった。ということで古本を検索しても、けっこう安い。ということで購入することにした。なぜならば、このコピーバージョンの本、しょっちゅう書棚から出している印象がある。ようはこの日記でもよく引用している本なのだ。そもそも若いころコピーして、この本を参考にあちこち祭りに出向いた。「こんなところに、こんな祭りがある」と情報を得るための座右の本(コピー)だったのかもしれない。

 今は注文してもすぐに届く。えらい時代になったもの、と思う。土曜日に注文して、今日既に届いた。気がついたのは当時1500円だったということ。それほど厚い本ではないが、けっこう高価な本だったということになるのだろうか。昭和49年と言うとネットで検索すると、国鉄山手線の最短区間が30円だった。タクシーの初乗りが220円だっと言うから、一概には言えないが、現在の2倍から3倍くらいだろうか印象は…。とすると5000円くらい、今ではこの本、5000円では売れないだろう。もっと高い印象だ。その本が安値は600円だったので、もちろん最安値のところで注文した。本をたくさん持っていて、書庫を自宅に用意しているわたしには、お買い得感が高い。もちろんふつうの人には「高い」かもしれないが、コピーバージョンよりはずっと良い。若干のかすれた傷はあり、年代物だから変色もあるが、ほぼ新品と変わりないくらいの状態。ようは使用された雰囲気はほぼない。コピーをとらなかったのでわからなかったが、末尾の三隅治雄の解説を読んで気がついたことがいろいろある。この本、昭和47年1月から翌年の12月まで、おそらく信濃毎日新聞に特集記事として掲載されたものをまとめたものなのだろう。信濃毎日新聞にはよくあるケース。したがって記事は記者によって書かれたもの。毎回三隅治雄によって「ゆらい」として解説が加えられていたようだ。

 いずれにしても600円プラス送料。800円もしない。ネットで検索すると値段は高いもの(3000円超えもあった。きっとその値段が最安値だったら買わなかった)もあれば安いものもある。価値としてはもっと高くて良いと思うのだが、残念な時代であり、ありがたい時代でもある。20代の頃から利用していたコピーバージョン、40年もお世話になったが、これで廃棄処分である(内緒でコピーした当時を思い起こせば、それも可哀そうな印象ではあるが…)。

続く


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