「立ち上がらない」 (稲垣栄洋 静岡大大学院教授)
東京新聞夕刊 コラム 「紙つぶて」15/01/06付 より
「専門は雑草学です」と自己紹介すると、苦笑されることがあります。
雑草魂や雑草軍団といった言葉が思い出されて、科学的に聞こえないのでしょう。
しかし、農業を行う上で雑草を防除することは大切です。
そのため、多くの研究者が日々、雑草を研究しています。
何げなく生えているように見えますが、雑草は特殊な植物です。
競争に弱く、群雄割拠の植物がひしめく森には生えることができません。
他の植物が生えることのできない草取りされたり踏まれたりする場所を
選んで生えているのです。
このような厳しい環境に生えるために必要なのは競争に勝つことではありません。
敵と戦うことを避けて厳しい環境と向き合い、自分と戦う道を選んだのが、
雑草と呼ばれる植物群です。
「踏まれても立ち上がる」というイメージがありますが、
意外なことに雑草は何度も踏まれると立ち上がりません。
雑草魂と呼ぶには、情けなく思えますが、そうではありません。
植物にとって、大切なことは花を咲かせて、種を残すことです。
がむしゃらに立ち上がろうとするよりも、雑草は踏まれながら、
花を咲かせることを選ぶのです。
私は雑草を防除するために雑草を研究していますが、
そんな「雑草の生き方」に学ばされてばかりです。
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ちょっとびっくり、目から鱗のお話でした
今日は七草粥の日です
はこべ、はこべら、ホトケノザだの、雑草と呼ばれる植物を食べる日?
私はそれら市販の七草を買い
それに蕪と蕪の葉と大根を大量に入れて七草粥を作って食べています
今日は、里芋も入れました
七草粥の歌があるそうですが
七草なずな
唐土の鳥が
日本の国に
渡らぬ先に
ストトントン
結構怖い内容の歌に聞こえますが
ストトントンと包丁で刻みながら、
年の初めに、無病息災を願って食べる七草粥
雑草が、実は競争に弱い植物で「自分との戦い」を選んだなんて・・
何だか妙に同情を誘うようなお話で、本当にびっくりしました
あのペンギンがそうなんだそうですが
何であんな過酷な環境で生きているのか、
同じみたいに見えます
環境が厳し過ぎて敵がいないから・・・
一体、弱いのか強いのか?
「雑草は強い」とずっと思い込んでいた私達には
目にウロコの感のある解説でした
見た目だけではわからない事がいっぱいありますが
目の前の雑草のことすら、本当は分かってなかったんですね
「誤解」はそこら中に溢れていると、そんな風に思います