ラリーズなどの音源を出しているアイドル・ジャパンの
デッド・フラワーより久々のリリース。
『ELECTRIC ALLNIGHT SHOW 1973.11.3-4 @SAITAMA Univ.』
タイトルの通り、1973年の埼玉大学でのイベントを収録した2枚組CD。
曲目は下記の通り。
Disc 1
1. 「すべてが消えた今」(8:54)安全バンド
2. 「ドアをしめろ」(5:57)安全バンド
3. 「※タイトル不詳」(8:24)レイジー・キム・ブルース・バンド
4. 「幻が誰かを」(20:03)裸のラリーズ
5. 「※タイトル不詳」(11:35)アシッド・セブン
6. 「※タイトル不詳」(14:00)アシッド・セブン
Disc 2
1. 「プルルン・パプ・ラパ」(4:52)ジプシー・ブラッド
2. 「深い悲しみの中で」(9:55)ジプシー・ブラッド
3. 「※タイトル不詳」(6:36)ニュー・ソウル・セッション
4. 「雨上がりの空を」(3:29)南正人
5. 「白いめざめ」(3:27)裸のラリーズ
6. 「FISHIN' HOLE」(20:43)めんたんぴん
メーカーの売りは、やはり裸のラリーズの2曲。
一枚目の「幻の誰かを」は20分の演奏は、これぞラリーズとも言うべき、
深いエコーの聞いたヘヴィでサイケな演奏。格好良いです。
でも最近は公式盤の三枚のCDこそ、今でも万を越える値段で取引されているものの、
ブートレグなどで気軽に聞けるようになったのも事実。
だからあえて言いたい。このアルバムで重要なのは、
ラリーズではなく、その他のバンドであると!
安全バンドは、URC(ウラワ・ロックンロール・センター)での音源がリリースされたが、
それとも違う音源だし、レイジー・キムだって今となっては知る人ぞ知るバンド。
ジプシー・ブラッドも速水清司在籍で、アルバムを一枚だけ残して消えたバンド。
ニュー・ソウル・セッションなんて名前すら私は聞いたことがない。
日本のロックは、ようやくカタログが揃いつつあるが、
洋楽に比べてまだまだ発掘という点においては遅れている。
この発掘アルバムはそういう意味で非常に重要な意味を持つのではないだろうか。
音源こそ悪いものの、1973年という空気が、学祭という空気が存分に詰め込まれている
のではないかと思う。
ニューロックあり、ブルースあり、フォークあり、ソウルあり。
過渡期的な1973年という年を見事に捉えていると私は思う。
残念ながら音が悪く(ブートなれしている人であれば充分なオーディエンス録音)、ラインナップも中途半端な感じは否めないが充分に日本のロック史の一面をのぞける音源である。
CDのジャケットに載っているポスターには、四人囃子やクリエイション、カルメン・マキ&OZ、
下田逸郎、久保田麻琴と夕焼け楽団の名前も。
さらにライナーによればCHARを擁するスモーキー・メディスンのデビューもこのイベントだったらしい。
これらの音源が少しでも残っているようなら是非世に出して欲しいものである。
最後に。日本のデッドと言われた「めんたんぴん」だが、二枚目の最後に20分の
「FISHIN' HOLE」を披露している。ツイン・ドラム、トリプル・ギターから放たれるスケールの大きなジャムは、あまり日本のバンドにいないのだが、めんたんぴんは凄い!
でもこの曲、オールマンズの「マウンテン・ジャム」にそっくり!