1973年10月に文京公会堂で録音された
フォークグループ「赤い鳥」の
実況録音盤『ミリオン・ピープル 赤い鳥コンサート実況録音盤』。
2枚組みのLP仕様で、「竹田の子守唄」「美しい星」「翼を下さい」など、
今までのベスト選曲のライブ盤である。
その中でB面一枚まるまる使った曲がある。それが津軽民謡を元にした「もうっこ」である。
これがまさにジャズ・ロックといえる作品で、最近ずっと聞いてます。
「赤い鳥」は大村賢司、村上秀一が参加していた時期もあるが、
この時のメンバーは、
平山泰代 :ピアノ
山本潤子:ギター
後藤悦治郎(リーダー):ギター、ハーモニカ
山本俊彦:エレクトリック・ギター
大川茂:ベース
そしてこの「もうっこ」の曲には以下のメンバーがゲストで参加している。
深町純:エレクトリック・ピアノ
桜井英顕:ハイチ・ドラム
森本哲也:タブラ
渡辺貞夫:アルト・サックス
この曲のリード・ボーカルは平山泰代、
後藤悦治郎は、インド絃楽器、笛&カリンバを演奏している。
笛とパーカッションを伴奏に歌が始まる。
そこにベース、ギター、エレキ・ピアノが加わり徐々に盛り上がっていく。
そして歌のパートが終わると、演奏陣による演奏がにわかに熱気を帯びてくる。
笛によるテーマ~短いソロの後にギターのパートに移行するのだが、
ここがなんと、微妙にフレーズは違う(コピーできていないだけかも)ものの、
完全にオールマン・ブラザーズ・バンドの「Hot'Lanta」のリフと同じなのである!
もともとジャズっぽい展開や長い即興演奏が売りのオールマンズであるが、
「赤い鳥」のジャズ・ロックナンバーにもぴったりと当てはまり花を添えている。
そして「Hot'Lanta」のリフが終わり、ソロパートに移る瞬間、
ほんのちょっとの間があり、そこからナベサダのサックスソロが炸裂!
そして同時にパーカッション、エレピも演奏MAXで加わり、怒涛のジャズ・ロックが始まる!
※ちなみにベースラインは基本は「Hot'Lanta」。
この瞬間は本当に何度聞いても格好良い!ホントにゾクゾクきます!
単体でのCD化は残念ながらなっていませんが、
赤い鳥のコンプリートのCDBOXが発売されており、そちらで聞けます。
またオリジナルLPも安い値段で探せば買えると思いますので、
気になったかたは是非聞いてみてください。
「赤い鳥」と思って、このジャズ・ロック・ナンバーを聞くと、
卒倒すること間違いなしです。
そしてナベサダつながりで紹介したいのがこのアルバム。
1971年6月22日に録音された『ペーサージュ』。
渡辺貞夫以下のメンバーはこちら。
菊地雅章:ピアノ、エレクトリック・ピアノ
ゲイリー・ピーコック:ベース
富樫雅彦:ドラム
村上 寛:ドラム
メンツだけを見ても最高なのは読み取っていただけると思いますが、
菊地雅章のエレクトリック・ピアノがとにかく最高で、
そこにツイン・ドラムで怒涛のグルーヴが生み出され、
極上のジャズ・ロックに仕上がってます。
この中で特に注目したいのが、タイトル曲でもある
「ペーサージュ パート1&2」。
10分にも及ぶ曲で、ここではナベサダがフルートを吹いてます。
有名曲「パストラル」に続く牧歌的なナンバーですが、
ここにエレピのグワングワンした音が加わりなんともいえない高揚感があるのですが、
よく聞くとこのテーマ、どこかで聞いたことがあるような。。。
そう!なんと、先ほど紹介した「赤い鳥」のジャズ・ロック・ナンバー「もうっこ」で、
笛が奏でていたテーマとほぼ同じではないですか!
ということは『ペーサージュ』の録音が1971年で、「赤い鳥」のライブ盤の録音が1973年ということで、
「赤い鳥」がナベサダをゲストに招いて演奏すると言うことで、前々年に発売された「ペーサージュ」を
参考にアレンジをしたのが「もうっこ」ということになります。
こうしてみると意外なところで、フォーク・グループと日本のジャズと、
そしてオールマン・ブラザーズ・バンドの三つが結ばれ、
そして怒涛のジャズ・ロックが仕上がったことになり、
なんとも音楽って奥深いな~と思うと同時に、何て楽しいんだろう!とワクワクしてしまいます!
ではまた!