Blowing In The Wind (1963) - Bee Gees
マリアンナ/ Karamushi with 光風 at Pony'sToy
Julian Lennon - Saltwater (1991) - Too Late For Goodbyes (1985) - YouTube
ハラフロムヘル 『ドライブです』ライブ映像
2017年11月に書いた「妄想」です。(^_^;)
👇
冬の夜空
親友から携帯に電話が来た。
声を聞くのは10年ぶりだな。
確かその時に小さな喧嘩をしてそれっきり疎遠になったのだが。
彼はこの携帯の電話番号を知らないはずなので、何故?と聞こうとしたが、それを遮ろうとしんとばかりに彼は構わずしゃべり始めた。
自分の今の現状、奥さんがいるのだけど子供ができないこと、故郷はどうかということ、等々・・・。
10分ほど話して気が済んだのか、彼は一息ついて「あのさ」と言った。
「なに?」
「ほんとはさ、こんなこというために電話したんじゃないんだ」
「・・・・・」
「外出てみないか?」
「外?何故?」
「ともかく外だよ・・・」
私は不審に思いながらも、彼の言う通りに縁側のあるほうのサッシを開放して外に出た。
柴犬のコロが遊んでもらえるのかと思ったのだろう、足にまとわりついてきた。
「出たよ、何?」
「星が綺麗だな」
「え?」
「冬はさ、寒いから夜はみんなめったに外は出ないし、だから冬の夜空がとても綺麗だったなんて子供の頃の記憶はとっくに捨てている」
私は天を見上げてみた。黄色いのや、赤いのや、白いのや・・・・、ともかく光っていた。
「綺麗だ」
「今日の夜空の星は子供の頃観た夜空と同じだ、・・・・変わらない」
「で?」
「それをお前に伝えようと思ってさ、・・・電話してみた」
「それだけ?」
「そう、それだけ」
彼はそう言うと、じゃあ、また10年経ったら電話するわと言って、通信を断った。
私はまた夜空を見上げた。
そしていくつもの星を眺めながら彼もまた一緒に同じ星を眺めていて私たちは繋がっているのだな、とやっと理解した。
トモダチ。
ふとそういう言葉が浮かんだ。
柴犬のコロがまたまとわりついてきたので、中腰になり、鼻先を軽く指で弾いてみた。
キューンと鳴いた。
ハハ、お前もトモダチだよ。
そして私はからだが急激に冷えて来ているのを感じ、家の中に入ろうかと背中を丸めながら縁側に足をかけ、そこで動きを止めた。
・・・・彼とはなにが原因で疎遠になったんだ?
まあいいや、10年後にまた聞いてみればいいことだ。
そして再度中に入ろうとしたら、カミさんがやってきて私を通せんぼした。
「ズルい。私も星を見たいのに」
ハイハイ。
私は彼女の手を取り、その温かさにこころが小さく動いたのを感じた。
微かに風が頬を切る。
その痛みは微かなもので、それから暫くして人間には温かい血液が流れているのだなあ、と今更のように感じた。
冬の星もいいものだね。
と、一緒に天を仰いでるカミさんに向けて独り言のようにささやいた。
マリアンナ/ Karamushi with 光風 at Pony'sToy
Julian Lennon - Saltwater (1991) - Too Late For Goodbyes (1985) - YouTube
ハラフロムヘル 『ドライブです』ライブ映像
2017年11月に書いた「妄想」です。(^_^;)
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冬の夜空
親友から携帯に電話が来た。
声を聞くのは10年ぶりだな。
確かその時に小さな喧嘩をしてそれっきり疎遠になったのだが。
彼はこの携帯の電話番号を知らないはずなので、何故?と聞こうとしたが、それを遮ろうとしんとばかりに彼は構わずしゃべり始めた。
自分の今の現状、奥さんがいるのだけど子供ができないこと、故郷はどうかということ、等々・・・。
10分ほど話して気が済んだのか、彼は一息ついて「あのさ」と言った。
「なに?」
「ほんとはさ、こんなこというために電話したんじゃないんだ」
「・・・・・」
「外出てみないか?」
「外?何故?」
「ともかく外だよ・・・」
私は不審に思いながらも、彼の言う通りに縁側のあるほうのサッシを開放して外に出た。
柴犬のコロが遊んでもらえるのかと思ったのだろう、足にまとわりついてきた。
「出たよ、何?」
「星が綺麗だな」
「え?」
「冬はさ、寒いから夜はみんなめったに外は出ないし、だから冬の夜空がとても綺麗だったなんて子供の頃の記憶はとっくに捨てている」
私は天を見上げてみた。黄色いのや、赤いのや、白いのや・・・・、ともかく光っていた。
「綺麗だ」
「今日の夜空の星は子供の頃観た夜空と同じだ、・・・・変わらない」
「で?」
「それをお前に伝えようと思ってさ、・・・電話してみた」
「それだけ?」
「そう、それだけ」
彼はそう言うと、じゃあ、また10年経ったら電話するわと言って、通信を断った。
私はまた夜空を見上げた。
そしていくつもの星を眺めながら彼もまた一緒に同じ星を眺めていて私たちは繋がっているのだな、とやっと理解した。
トモダチ。
ふとそういう言葉が浮かんだ。
柴犬のコロがまたまとわりついてきたので、中腰になり、鼻先を軽く指で弾いてみた。
キューンと鳴いた。
ハハ、お前もトモダチだよ。
そして私はからだが急激に冷えて来ているのを感じ、家の中に入ろうかと背中を丸めながら縁側に足をかけ、そこで動きを止めた。
・・・・彼とはなにが原因で疎遠になったんだ?
まあいいや、10年後にまた聞いてみればいいことだ。
そして再度中に入ろうとしたら、カミさんがやってきて私を通せんぼした。
「ズルい。私も星を見たいのに」
ハイハイ。
私は彼女の手を取り、その温かさにこころが小さく動いたのを感じた。
微かに風が頬を切る。
その痛みは微かなもので、それから暫くして人間には温かい血液が流れているのだなあ、と今更のように感じた。
冬の星もいいものだね。
と、一緒に天を仰いでるカミさんに向けて独り言のようにささやいた。