毎朝、年老いた白い小さな犬を連れて散歩している老人を見ていた。
毎朝、いつもの時間に、いつもの場所を散歩していた。
ある時は道端の階段に座り日向ぼっこをしていたり、ある時は軒下で
雨宿りをしていた。
白い小さな犬は、老人にゆっくりとひかれていたり、逆に老人をリード
しながら、互いを気遣いながら散歩している姿は、老夫婦のようで
どことなくほほえましかった。
しばらくその姿を見かけなくなり、老人と年老いた白い犬の健康を
案じていたある日、老人が公園の片隅に一人で座っているのを見かけた。
安堵した気持ちと同時に、白い小さな犬がそばにいないことに気づき
思わず老人に声をかけてみた。
老人は、「愛犬はこの間死んでしまった」と語ってくれた。飼って
17年くらいになるとのこと、人間でいえば相当な歳になっていたことがわかる。
今も「一緒に散歩しているつもりで・・・」と語る老人はどこか寂しそうで
小さく見えた。
いつまでもいつまでもお元気で散歩を続けられることを祈りたい。