北国のさらに北とはいえど、晴れた日は少しく春の匂いがして。
町なかを離れ、誰来るともない野原に車を停めて、
遠くにヒバリのさえずりを聞きつつ、
UCCのブラック缶コーヒーをあけ、緑のHOPEをくゆらす。
煙草の煙を風が運んでいくのだが、
何やら白いものを運んできたなと。タンポポかしら。
いいねぇ風まかせ。あちらへフワリ、こちらへフワリ。
ああ俺は、俺は、
いつまでこんなところにいるんだろうなぁ。
綿毛をつまんで、手のひらに乗せて、
車の窓の外へ高く差し出すと、
そよ風に乗って、どこへか飛んでいった。