舞台は開拓下の北海道。
わずか2歳で北海道に渡り、過酷な環境の中で生き抜いてきた
ひとりの女性「とわ」の半生を綴るです。
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- 上巻 -
福島から夜逃げ同然で行った先は凍てつくオホーツク海に突き出した
人も寄せ付けぬ原生林に覆われた極寒の地・知床!
アイヌ語で「地のはて」と呼ばれたこの地に主人公一家は
最後の夢を託しやって来た。。。
しかしその生活は過酷そのもので今日そして明日、ただ辛抱強く
生き抜くことが全てだった。
苦しい開拓生活の中、幼いながら純粋なとわも家族のためにと
食べ物を探しに森に入る・・・そこで三吉に出会い、色んな植物を教えて貰う。。
母親のつねが汗水垂らして作った作物がバッタの襲来で全滅し
不幸に不幸が重なる中、とわの父親が出稼ぎ先で耐えていた心が折れ
女遊びを・・そして帰らぬ人となり一家は引っ越すことに・・・
母親つねの再婚で養父と三人の義兄と一緒に暮らすが、新しく立てた家が
祖父の不注意からか火事になり、養父が亡くなってしまう。
- 下巻 -
小学校を出て直ぐ小樽での子守奉公。初めて都会の暮らしに触れたとわ。
しかし4年後には不景気の為、奉公先から暇を出され「地のはて」知床に戻る。
それから半年ほど経った頃、斜里の洋品店に出稼ぎに出るが2年程経って
店の子ども達に疫痢が流行り、とわに容疑が・・・
容疑ははれるが自分も疫痢になって入院、再び知床に戻るとわ。
長兄たちも大人になって、母親つねが湯治に出掛けることも出来るようになり
湯治で仲良くなった夫婦から長兄ととわの結婚話が出てそのまま話が進む。。。
アイヌの青年三吉への恋心は胸に秘めたまま片貝松二郎に嫁ぐも、これまた
ただ生きるために必死な人生を歩むとわ。
やがて母になるも、辛抱だらけの生活、やがて戦争の足音が…。
そんな主人公とわの圧倒的な力強さに感銘しつつ、読み終えたのだった。
私の読んだ乃南アサさんの作品の中でもベスト3に入る本です。