明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

今日、友人と会ってゴルフの話になった。今年の全英オープンは、凄かった。

2016-07-20 22:00:16 | スポーツ・ゴルフ
今年はCSと契約したので、ジ・オープンは初日からフルでじっくり観たが、やはりレベルが少し異次元だった。ここ何年かPGAの試合を観ると、年々コースの長さが伸びている。これは選手の飛距離が伸びているからで、ドライビング・ディスタンスが300ヤードを越えているのはもう、当たり前になってきているらしい。日本じゃ300ヤード越えは滅多に見られないが、あっちじゃ毎試合日替わりで飛ばし屋が出てくる。やはり力技では敵わないわけだ。350ヤードを軽く飛ばすバッバ・ワトソンやダスティン・ジョンソンは、ドライバーの常人ならざる飛びを観るだけでも「お金の取れる」ゴルファーである。だがローリー・マキロイやジェイソン・デイだって350近く飛ばすのであるから、500ヤードならパー4にせざるをえないと言うのは当然である。しかし、我々のやっているゴルフと彼らのゴルフは、果たして同じゲームと言えるのだろうか?

少なくとも同じと思ってやっているのは間違いない。だがドライバー・ショットを後方から撮した映像を見る限りでは、球の落とし場所は「畳二枚分」の大きさにしか見えない。というか、350ヤードも先のターゲットを狙うというのがそもそもあり得ない。少なくとも私には「見えない」距離なのである。普通我々は200ヤード先の幅100ヤードもある「フェアウェイ」を「外している」のだ。バッカじゃん!

とにかく強烈な風に煽られて球が左右にぶれ、ラフやブッシュに捕まる選手が続出して、スコアは軒並みオーバーパーとなる中、63の大会タイ記録でフィル・ミケルソンがトップに立つ。ジョーダン・スピースやマキロイやデイらがスコアを伸ばせない中で、ミケルソンの63は圧倒的な優位である。と、こう書いてゆくと簡単そうだが、240ヤードも先のフラッグの1mと離れてない所にピタリと球を落とすフィルの正確無比なアイアン・ショットには、メジャーだから凄いのは当たり前と言っても「凄すぎる!」技術なのだ。彼ら超一流選手の「期待を遥かに超える、信じられない位のスーパーショット」には、スポーツに魅せられるファンの驚きが如実に現れる。素人の絶対真似できない技と言うものの持つ「魔力」こそが、ファンを惹きつけるのだ。果たして日本の男子プロに、それが出来るだろうか?

私が今回特に感動したのは、スェーデンのヘンリック・ステンソンがスコアを伸ばしてミケルソンとマッチプレーのようになった最終日である。フィルがアイアンをピタリと付けてバーディなら、ステンソンは負けじと長いパターをねじ込んで食らいつく。ステンソンが引き離しに掛かるとミケルソンがイーグルで逆転と、シーソーゲームでスコアがどんどん上がり、二人が16・17アンダーのときに三位の選手のスコアは、7アンダー位の「断トツ状態」であった。ステンソンは長いパターをこれでもかというばかり入れまくってたが、正にゾーンに入った「ハイな状態」であったに違いない。これは川上哲治の「ボールの縫い目が見えた」状態と同じでは無いか!!

まさかこの長いやつも「決める」んじゃ無いだろな、と思って見ていると、大歓声の中でカップに吸い込まれていく。もう手がつけられない。ステンソン、恐るべし。私はステンソンが最後のパットを決めるのを観た時、ゴルフというのはこれ程熱狂するものなのかと、メジャーの凄さを肌で感じたのである。20アンダーは記録であろう、あるいはメジャー大会タイかも知れない。日本の松山が予選落ちで消えていたのは残念だが、まだ「メジャーのリングで、本物の戦いを魅せる」には20年は早いのでは無いか。フィルもステンソンも超ハイレベルの戦いをしているにも関わらず、ニヤリと笑ってその緊張感・プレッシャーを楽しむ「余裕」が二人には感じられた。スーパースターの風格なのか、千両役者とはこのことである。

このような素晴らしいゲームをやっている限り、男子プロゴルフは観客を魅了し続けるし、選手は期待を裏切らない「お金の取れる役者」であり続けるであろう。彼らのスイングのど迫力は、見るものを驚かせ「惚れ惚れ」させる。翻って日本の男子プロのスイングが「匠の技」的なものに見えてしょうがないのは、私の目が島国根性で曇ってるからなのか。豪快で正確無比なショットを連発し、見てくれもスマートな子供の憧れとなるような真のスーパースターが生まれるのは、果たしていつのことだろう。望みはするけど期待はしない、と言うのが悲しいかな私の本音である。私は女子プロでよしとする「日本のゴルフ」で満足しよう。

ところでリオに行くことになった大山が、首痛でまたもや試合を欠場だという。最近の8試合も欠場してる状態で「その前の昔の実績でランク2位」だからリオに行くっていうのじゃ、オリムピックで試合ができるとは思えない。今回を逃したら年齢的に次は出られないと言うのはわからないではないが、日の丸を背負って戦うと言うんなら、辞退して渡邉彩香を行かせるのが「筋」ってもんじゃないかな。どうしても出たかったという個人の思いより、体力的に戦える力が充分にある選手にチャンスを託すという選択をして欲しいもんだ。少なくとも「首痛をだましだまし」スイングして、世界と戦えるほど甘くはないことは、全米オープンで実証済みでは無いか。少なくとも私はリオの当日になって「首痛のために泣く泣く出場を断念」とか言って欲しくは無い。譲るなら早めがいいけどね。

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