ワクワクの興奮で始まったクラシコだったが、先に点を取ったのはマドリーである。
先発メンバーはキーパーがルニン。宿敵バルサとの決戦にはちょっと荷が重いのではと心配されたが、ここ何試合かクルトワ故障のため代役で出場していて、概ね無難にこなしているから問題ないだろう。DF陣は左からメンディ、アラバ、ミリトン、カルバハルの、マドリー自慢の「最強バックス陣」を揃えた。ここ数試合はターンオーバーで多少入れ替わりがあったが、やはりバルサ相手にはベストメンバーで守りを固める辺りは流石アンチェロッティである。
特にアラバとミリトンはフルバックと言う「守りの要」として最も信頼のおける選手であるだけでなく、アラパのキック力やミリトンのヘディングといった「攻撃的な能力」の高さでも一流の力を持っているから、実に頼もしい。だが私が最も信頼しているのは、カルバハルのエネルギッシュな活動量と絶対に手を抜かない守備、そしてここぞという時の「無類のセンタリングの正確さ」である。彼の無尽蔵とも言えるエネルギーは、勿論マドリーの他の選手にも言えることだが、自分たちが絶対に勝つと信じている、マドリー伝統の「不屈の闘志」から来ているのでは無いだろうか。私が見たスペイン・リーガの中でも、「断トツで優秀」なDF陣であることは間違いない。
そして中三枚のミッドフィルダーは、もはやリーガの至宝と言っても過言ではない「重鎮モドリッチと知恵者クロース」が睨みを利かしているし、それに今年入ったばかりで既にバルサのブスケツにも引けを取らない活躍を見せている「チュアメニ」がアンカーとしての役割もこなしながらガッチリ固めていて、もはやアリの這い出る隙もない。鉄柱入りコンクリートを2、3枚並べた位に「鉄壁」である(どんだけ~)。もう後ろの守りは「安心・安全」のレベルに達しており、例えバルサと言えども「崩す」ことは不可能なのだ。
そこでお待ち兼ね、マドリーの破壊力抜群の 華麗なフォワード陣が登場する。まず左ウイングに待ち構えるのは、今や押しも押されもしないブラジルの快速アタッカー「ヴィニシウス」だ。彼がセンターライン位からボールを受けると、縦横無尽のドリブルで相手DFを切り裂いて、あっという間にもうゴールに向かって突進している。バルサは彼にべったりとディフェンスをくっつけて球が入るのを押さえようとしたが、所詮ヴィニシウスには通用しなかった(オーマイガッ!)。そして意表を突く切り返しやトリッキーな足技も披露し、スタジアムの観客を楽しませ、最高度に魅了するのだ。彼はバルサの喉元に突き付けられた必殺の剣である。
さらに右からの攻撃を任されているのは天才「フェデ・バルベルデ」である。ヴィニシウスが居るだけで守るのに精一杯なのに、そこへもってきて、フェデが快速ドリブルを駆使して「やたらめったら」と切れ込んで来て、地を這うような「えげつないシュート」を連発するんだからもう、DFは「どうしたらいいの?」とお手上げに違いない。フェデのスタミナも見を見張るものがあるが、マドリーの選手は疲れを知らないのかねぇ。そんでもって右からガンッ!、左からドバっ!。さらに右からバシッ!、とどめに左からバチコーン!と攻め立てる。相手は守れるわけ、無いよねぇ。
そして最後の総仕上げは、いよいよ「キャプテン・ベンゼマ」の出番である。普段は相手DFの間をゆっくり歩いてチャンスを窺っているが、「これは!」っと見るや電光石火、獲物に飛びかかるライオンの如くに相手のもたつく足元からボールを奪い、大排気量の機関車よろしく、ドリブルで一気に抜け出してゴールネットを突き刺すのである。相手のバックスは常にボールを奪われやしないかとヒヤヒヤしどうしで、気の利いたボール回しが出来ないと思う。そしてDFがヴィニシウス、フェデの波状攻撃を何とか跳ね返したとしても、最後にはベンゼマの余裕の「美しいゴール弾」で失点し、心虚しく地面に崩れ落ちるのだ。まさにマドリーのゴールショー。それが今回のクラシコでも再現された。
一点目は11分にクロースがディフェンスに引っ張られながら出したパスから、ヴィニシウスが一気にドリブルで持ち出してシュートした。これを一度は守護神テア・シュテーゲンが左手一本で何とか防いだが、そのこぼれ球をベンゼマが「待ち構えていて」難なくゴールに叩き込んだ見事なシーンである。
マドリーの攻撃スタイルは、一見決して急がずに、ボールを回しながら様子を見ているかのようである。そして色々と仕掛けを試して相手DFの連携のちょっとした乱れを見逃さず、ここがチャンスと見るや、全員が一気に「爆発的な怒涛の攻撃モード」にチェンジして、相手のゴールに殺到するのである。静と動の切り替えが素晴らしい。
唯一の危ないシーンは25分に、ハフィーニャが右からセンタリングをゴロでディフェンスの裏に通した一本だけである。この時はフレンキー・デ・ヨングが「シュート」しようとして滑り込んだためにレバンドフスキが一瞬ボールを見失い、上手くミート出来ずにゴールポストの上に吹かしてしまった。バルサの攻撃で「ヤバっ」と思ったのはこれ一回だけである。あとは安心して見ていられた。
2点目は35分にカルバハルが倒れながら弾き返したボールを相手ディフェンダーが頭に当てて、ちょうど上手い具合にヴィニシウスの前に転がったところから始まった。その時マドリーの攻撃陣はヴィニシウス一人だけだったが、ヴィニシウスがボールを保持している2、3秒の間にガッと前線に集合し、ヴィニシウス → チュアメニ → メンディと華麗にバスを回して、最後は相手DFが9人も密集しているディフェンスだらけの中を、フェデが「豪快に左足を振り抜いて」、見事ゴール左隅に蹴り込んだ。2対0、これで決まりである。
あとは疲れの見えるモドリッチをカマヴィンガと替え、ヴィニシウスをロドリゴと交代させて試合を安全に終わらせた。ヴィニシウスはもう少しやれると思ったが、まあキャプテン・ベンゼマの方を残したのだろう。その後カルバハルとベンゼマをリュディガーとアセンシオに交代させて、ようやく最終クロージングに入った。終了間際にロドリゴがペナルティエリアでクンデに倒され、きっちりPKを決めて3対1と点差を広げたのはご愛嬌である。最近の何試合かはベンゼマが怪我で休んでいて、代わりにロドリゴが先発の機会を与えられていた。元々ブラジル代表でサッカー文化の真っ只中で才能を開花させて来た「天性のアタッカー」である。いやはやマドリーは選手層が厚くて、実に「タレントの宝庫」だよね。
とにかく今回の試合前はチームの「点が取れない病」に不安一杯だったが、やってみればなんてことのない、いつもの「戦闘力全開のマドリー」が戻って来ていた!(もっとマドリーを信頼しろよ!)
心配だった「ベンゼマの得点感覚」も、あれ程外していたシュートが正確にゴールを捉えていたのは流石である。なにより、マドリーの放ったシュートが(一部は枠を外したのもあったが)殆ど枠に飛んでいて、「あわや!」というコースを鋭を狙っていたのには感心した。誰が言ったか知らないが、3日で修正したのには流石としか言いようがない。
これでマドリーのリーガ優勝は間違いないと思う。まあ、バルサもこのままじゃ終わらないだろうが、もう少し立て直すには時間がかかると思う。後はチャンピオンズリーグだが、一番の難敵は「パリ・サンジェルマン」のメッシである。今度のワールドカップは調子も良さそうだし、本命の呼び声も高いようだ、その勢いでチャンピオンズリーグもやられたら流石のマドリーでも敵わないような気もする。
出来れば、決勝まで当たらないといいけど・・・
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