明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

今週の気付き(58)菅総理の所信表明

2020-10-27 11:56:55 | ニュース
1、初めてCO2削減目標を定める

2050年までにCO2を「全体で」ゼロにすると発言。全体でというのがミソだがとにかく、削減目標に期限を設けたのは画期的である。内容は誰もが「いいぞ!」といいたくなる優等生発言だが、しかし現実は相当に難しいようだ。菅総理は所信表明ではハッキリ言わなかったが、実際は再生可能エネルギー分野において、日本は「遅れに遅れている」らしい。OECDの中でも原発に拘って来た「歴代政権の軛」を脱しきれずズルズルと遅れてしまい、今では再生エネルギー「後進国」に成り下がっているという。菅総理、本当は無理なんじゃないの?

CO2を排出している分野は多岐にわたっているが、「電気」は化石燃料を再生可能エネルギーに代えることでCO2を減らすことが可能である。だが「運輸・航空」の代替は可能なのか?。自動車は電気や水素で動かせるとして、飛行機などはジェット燃料無しで飛べるのかと思う。ところが技術の革新は凄まじく、水素燃料で飛ぶ飛行機をフランスのエアバスが既に開発していて実験段階に入っているという。日本じゃこないだ国産ジェット機が発売されたばかりで、その先どうのこうのという話は皆無だ。元々飛行機は第二次世界大戦で負けてから「自前で作れない」制約があったのだが、当分航空機分野では「輸入に頼る」しかなさそうである。まあそれでも2050年までに化石燃料から脱却するのは可能なようだ。自動車も全部電気にすれば問題ない。後は経済・製造・農林水産業分野での排出削減だが、石油を原材料とする製品は別として、エネルギーとしての利用はなるべく電気を使うようにするべきだろう。まあ期限までにはまだ30年もあるから、やる気さえあればこれも可能だ。

問題は「電気」である。福島の原発事故以来「脱原発」は世界中のトレンドであり、自然エネルギーはどの国でもエコ政策の中心として動き始めているのである。ところが日本はどうしたわけか、エネルギーの基本を原発に置きたがって「未だに再生可能エネルギーを抑制して」いるというのだから時代に逆行していると言わざるを得ない。例えば新潟の大規模原発「柏崎刈谷原発」などは新潟大地震のあとでスッタモンダした挙句、何とか再稼働に漕ぎ着けたわけだが、他の原発でも地域対策費が地元経済を潤すことから、「稼働させたい連中」が地元と関連機関に金をバラ撒いて、安心安全の代わりに「欲得ずくの金儲け」に走っているというから呆れるでは無いか。いい加減に「原発とカネの紐付け」をやめないと、今に取り返しのつかないことになる。

今回菅政権が脱炭素社会を宣言したわけだが、脱原発を同時に言わないと「結局原発に頼る」ことになるのは目に見えている。やはりこの問題は、「原発廃止とセット」にしなくては意味がないのだ。菅総理、本当は原発を再稼働させたいんじゃないの?、と疑いたくなる。もしここで原発を新たに稼働させると、2050年は普通に稼働中なわけで、これを廃炉にすると「廃炉するのに、とんでもない費用がかかる」ことになる。そもそも廃炉したら行き場がなくなる使用済み核燃料の「捨て場所」がまだ無い状況である。この状態で原発を動かしていくという選択肢は「自縄自縛」の理論でしか無い。これじゃ実質、脱炭素社会が完成しても「もっと怖い原発列島」が出来上がっちゃうわけで、あの原発大国フランスでさえ脱原発に舵を切っているご時世なのに、又しても時代に乗り遅れることになるのだ。もはや乗り遅れは「日本のお家芸」とすら思えてならない。

もし科学技術の進歩が間に合わなくて、その間の「つなぎ」として何かエネルギーを使うとすれば、それは原発ではなくて「化石燃料」がベストである。なぜならエコエネルギーに切り替えようと思えば「瞬時に、跡形もなく完全に、しかも安全な形でやめる」ことが可能だからだ。一方原発は、溜まっている「核のゴミ」が人間に無害なレベルにまで半減するのには「10万年」かかるってんだから恐ろしい。そういえば日本は核廃絶の国連決議にも参加しなかったぐらいの「核亡国」の国だから、原発もやめないんだろうな、きっと。

まあ原発は日本人の恥部だから、治すにしても相当な決意が必要だが、脱炭素社会の実現には「きちんとした未来図」の議論と、経済界からの反発を覚悟の「新たな炭素税の導入」を考えるべきである。プラスチック削減にしても同じことだが、日本人は「理屈よりカネ」という分かりやすいゲスな国民だから、炭素を出すと「とんでも無くカネがかかる」というのが一番効くと思う。だから経済界から猛反対があっても「絶対やるんだ」との精神で突き進むことが、菅総理に期待される「唯一の取り柄」と言える。そう言えば総理は秋田の田舎農家の出身だというから、自分の生い立ちをバネに総理まで上り詰めた男に相応しく、エリート富裕層の階級防衛を突破する「政策のインセンティブ理論」を導入して、バシバシやっても良さそうなものである。つまりガソリン車に対しては「超高額の税金、例えば車両価格の3倍とか」を課税して、その収入で電気自動車用のスタンドを日本中に作るとか。色々アイディアはある筈だ。再生エネルギー推進を図るには、同時に社会インフラを構築していく必要があるのだ。そのために「前例主義を廃して、縦割り社会をぶっ壊す」というのであれば、菅総理の理想が生きてくるというもの。

まあ今回は所信表明だから「始まったばかり」というところだが、これから制度を進めていく中で「どれだけ議論を尽くせるか」が鍵になってくる、ここは国民も、総理のお手並み拝見と「注視して行こう」ではないか。

2、コロナワクチンは課題山積み

菅総理は国民全員にワクチンを用意すると豪語したが、そのワクチンが実際に接種されるまでには、まだまだクリアすべき課題があるという。これはTBSラジオの「森本毅郎のスタンバイ」で知ったのだが、米国製のワクチンは接種するまで「マイナス70度から80度の超冷却状態」で保存しなくてはダメだという(この温度が摂氏なのか華氏なのかは、聞き漏らした)。この超低温冷却での国外輸送というのは「過去に例がない」事態であり、接種がどうこう言う前に「日本に運ぶ方法が今の所ない」のだというからビックリした。菅総理はそういう事「知ってるんだろうか?」と不安になる。もし仮に巨大な冷凍庫を備えたジャンボ輸送機で日本に入ってきたとしても、そこから全国の医療機関に届けて、さらに接種までの間「安全に保管する」だけでも、気の遠くなるような設備投資と費用がかかる。そこへ来て韓国のように「ワクチン接種後に死亡が59人出た」なんてことになったらもう、目も当てられない。何兆円というお金をかけてワクチンを輸入しても、怖がって誰も打たないなんて「どうすんの?」である。シャレにもならない大失態だ。そんなワクチンにお金をかけるより、医療機関の手当てや設備拡充に投資した方が「費用対効果は大」だと思うけど如何。第一、ウィルスの変異が速すぎて、ワクチンが来る頃にはもう別の「新新コロナに変化」したりして意味なかったりするんじゃないの?。菅総理、田舎の農家出身で学者に恨みを持っているのかどうか知らないが、ここは「学術会議の意見」を聞いたほうがいいと思うよ、ホント。

3、ついでに学術会議の問題 

ニュース映像で天皇が内閣総理大臣を任命しているところが流れていたが、天皇がもし菅総理を「任命拒否」したらどうなんだろう?。法律的には色々あるんだろうけど、皇居でやってる任命式で拒否されたら「反論は出来ない」とは思うけど。それも「総合的・俯瞰的に考えて拒否した」なんてコメントされたら、グーの音も出ないことは、分かるよねぇ、菅ちゃん。

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