日本ワールドカップの総括としては、日本は良く戦った、である。結局ベスト8に行くことは出来なかったが、強敵ベルギーを敗退の恐怖に追い込んだ戦いは、称賛されていいものである。いろいろネットでは評価・批判が寄せられている中で「4日ゲキサカの西山紘平取材記事」で西野監督が言っていることに「なるほど」と思ったので感想を述べる。西野監督は2つのことを後悔していると言った。一つはポーランド戦終盤のボール回しである。賛否両論がある中で当の本人が後悔していると言うのには相当の重みがあると私は思う。やっぱり気になっていたのだ、日本はもっと戦うべきではなかったのか、と。そしてもう一つがベルギー戦で2−0になった時の戦い方である。西野監督はポーランド戦での「逃げ」をずっと気にしていて、今度こそは日本の戦う姿勢を見せなければ、と3点目を取りに行った(らしい)。選手交代を含めて、この日本が勝っている状況での戦術に関してとベルギーの的確な選択には、いろいろと意見が分かれるがサッカーの力の差が出た場面と言えよう。
まず相手のベルギーが先に選手交代をしてきた。これがドンピシャと決まって2点取られたわけだが、日本も同時に交代してフレッシュな選手で臨むべきではなかっただろうか。2−0になって圧倒的優位に立ったわけだから、西野監督の言うとおり3点目など狙わずに、守りを固めるためにバックスには長友に代えて「背の高い槙野」を入れ、カウンター狙い守備重視でFWを大迫から「足の早い武藤」に代えて「2点を死守する」作戦に切り替えるべきだったのである。もちろん結果論である。だけど194cmのフェライニに長友では、てんで話にならないではないか?
そして2点取られて同点になった後の日本の交代が「柴崎と原口に代えて山口と本田」だということにも疑問が出ている。今回の日本代表のゲームメイクの要である柴崎を代える必要は全くなかったし、そもそも本田は前線で球をキープするのが役目である。相手の猛攻を必死で守り抜く選手ではない。案の定攻め立ててフリーキックを枠内に飛ばしたのは見事だが、直後のCKをクルトワにキャッチされて「デブルイネに出された瞬間に、すでに6人ぐらいの日本人選手は置き去り」にされていた。デブルイネが全速力で突進すると測ったようにルカクがセンターを駆け上がり、シャドリが左からワイドに突入する。この時点で4対3である。そして右のムニエからのグラウンダーのセンタリングを「ルカクがスルー」した瞬間にシャドリがフリーになって、日本のベスト8への夢は消え去っていた。一瞬の完璧な破壊力である。
イタリアの名将カペッロ元監督のコメントでは、なぜ本田はショートコーナーにしなかったのか理解できないという。もう1点取れると意気込む気持ちは分からないでもないが、日本が点を取れる形はカウンターとペナルティエリア外からのミドルである。CKからのヘディングはリスクもあることは常識だ。そのためにDFを残して守るべきだったし、そもそもCKを上げたりしては敵の思う壺ではないか。2m近いGKクルトワにハイボールで攻めるというのは確率が悪すぎる。ベルギーはこの千載一遇のチャンスを狙っていた、と思えるほどの正確無比なカウンターで勝利した。勝ち気に逸る本田とポーランド戦の恥を濯ぎたいという西野監督の不用意な思いが相まって、歴史に残る日本のベスト8は潰え去ったといえる。
まあ、それもこれも日本が強くなったからこその不満である。今回は監督交代のこともあって、選手一眼となって戦えたのが大きいと思う。それはなぜかと言うと「世代を重視」する日本的選手起用法である。本田・川島をはじめ長谷部・長友といった世代をチームの中心に据える布陣は、日本の(アジアのといったほうがいいかもしれないが)伝統的な体育会式結束法である。これをフランスなどのチームと比べれば違いは一目瞭然である。ムバッペのような若いストライカーでも実力次第でどんどん代表に入って実績を積むことが出来るのに比べて、日本はまだまだ先輩後輩の秩序が幅を効かせているのではないか、と心配するのだ。前任監督が交代させられ新しく西野監督になってようやくチームの結束が固まったと言われているが、それは取りもなおさず旧態依然の組織維持方法ということである。
私は本田を余り好きではないが、そのため批判めいた口調になっているかもしれないと気にはしている。しかし西野監督が本田や川島を捨て切れなかったのが彼の組織作りの限界だとすれば、次回の2022年のワールドカップもまた同じ轍を踏むことになりはしないかと私は恐れる。もっと自由に、世代や過去の実績・名声に囚われす、実力で代表の座を勝ち取る選手が出てくることで、真の強さが生まれると信じたい。
前回ブラジルではボロ負けだった。日本も強くなって「実力・結果がすべて」の時代に早くならなければいけないと思う。何だかんだ言って、今回は「相手10人のコロンビアに一回勝っただけ」のワールドカップである。まだまだブラジルやフランス・ベルギーとの力の差は大きい。乾や原口のように「スーパーゴール」が決められるような選手が育ってはきたが、試合運びという点ではもう一歩ではないだろうか。ブラジルの戦い方も今回は注目して見ているが、彼らは「リスクを恐れていない」のが新鮮だった。今回のワールドカップはカウンターのチームが勝利している。ポゼッションサッカーを展開したスペインやアルゼンチンは、早々と敗退している。ブラジルは相手ディフェンダーのギリギリを狙ってパスを出すとき、そこに勝機が生まれることを本能で知っているのである。例え失敗して相手に奪われカウンターを浴びてゴールされる危険があっても、だからといって安全な攻めだけでは「今のブラジルサッカーの圧倒的迫力」は生まれないのではないだろうか。常にリスクと戦いながら最善の努力をして回避しているからこそ華麗な攻撃が出せるのである。その境地に入るためには勿論個人の力も重要だろう。だが試合をよく見ると相手からボールを奪うにしてもゴール前で身体を張って守るにしても、ブラジルは必ず人数を揃えて戦っている。彼らの卓越した「個人技だけ」で戦っているわけではないのだ。
今回もまた「まだまだ日本のベスト8までは道半ば」という結果に終わってしまった。そこに到達するためには点の取れるセンターフォワードが必要である。中盤とハーフはそこそこ人材が出てくるようになって来たのだから、あとは待望のフォワードである。日本人は平均的に足が早く敏捷だし、技術の習得にも熱心だ。後は頑丈な体格が備わればと思うが、こればっかりはDNAの問題だからどうしようもない。だがFWなら日本人の華奢な体格でも十分いけるんじゃないだろうか。日本からもネイマールのような選手が出てくることを期待して、今回の「ロシア・ワールドカップ日本の戦い」の総括としたい。
まず相手のベルギーが先に選手交代をしてきた。これがドンピシャと決まって2点取られたわけだが、日本も同時に交代してフレッシュな選手で臨むべきではなかっただろうか。2−0になって圧倒的優位に立ったわけだから、西野監督の言うとおり3点目など狙わずに、守りを固めるためにバックスには長友に代えて「背の高い槙野」を入れ、カウンター狙い守備重視でFWを大迫から「足の早い武藤」に代えて「2点を死守する」作戦に切り替えるべきだったのである。もちろん結果論である。だけど194cmのフェライニに長友では、てんで話にならないではないか?
そして2点取られて同点になった後の日本の交代が「柴崎と原口に代えて山口と本田」だということにも疑問が出ている。今回の日本代表のゲームメイクの要である柴崎を代える必要は全くなかったし、そもそも本田は前線で球をキープするのが役目である。相手の猛攻を必死で守り抜く選手ではない。案の定攻め立ててフリーキックを枠内に飛ばしたのは見事だが、直後のCKをクルトワにキャッチされて「デブルイネに出された瞬間に、すでに6人ぐらいの日本人選手は置き去り」にされていた。デブルイネが全速力で突進すると測ったようにルカクがセンターを駆け上がり、シャドリが左からワイドに突入する。この時点で4対3である。そして右のムニエからのグラウンダーのセンタリングを「ルカクがスルー」した瞬間にシャドリがフリーになって、日本のベスト8への夢は消え去っていた。一瞬の完璧な破壊力である。
イタリアの名将カペッロ元監督のコメントでは、なぜ本田はショートコーナーにしなかったのか理解できないという。もう1点取れると意気込む気持ちは分からないでもないが、日本が点を取れる形はカウンターとペナルティエリア外からのミドルである。CKからのヘディングはリスクもあることは常識だ。そのためにDFを残して守るべきだったし、そもそもCKを上げたりしては敵の思う壺ではないか。2m近いGKクルトワにハイボールで攻めるというのは確率が悪すぎる。ベルギーはこの千載一遇のチャンスを狙っていた、と思えるほどの正確無比なカウンターで勝利した。勝ち気に逸る本田とポーランド戦の恥を濯ぎたいという西野監督の不用意な思いが相まって、歴史に残る日本のベスト8は潰え去ったといえる。
まあ、それもこれも日本が強くなったからこその不満である。今回は監督交代のこともあって、選手一眼となって戦えたのが大きいと思う。それはなぜかと言うと「世代を重視」する日本的選手起用法である。本田・川島をはじめ長谷部・長友といった世代をチームの中心に据える布陣は、日本の(アジアのといったほうがいいかもしれないが)伝統的な体育会式結束法である。これをフランスなどのチームと比べれば違いは一目瞭然である。ムバッペのような若いストライカーでも実力次第でどんどん代表に入って実績を積むことが出来るのに比べて、日本はまだまだ先輩後輩の秩序が幅を効かせているのではないか、と心配するのだ。前任監督が交代させられ新しく西野監督になってようやくチームの結束が固まったと言われているが、それは取りもなおさず旧態依然の組織維持方法ということである。
私は本田を余り好きではないが、そのため批判めいた口調になっているかもしれないと気にはしている。しかし西野監督が本田や川島を捨て切れなかったのが彼の組織作りの限界だとすれば、次回の2022年のワールドカップもまた同じ轍を踏むことになりはしないかと私は恐れる。もっと自由に、世代や過去の実績・名声に囚われす、実力で代表の座を勝ち取る選手が出てくることで、真の強さが生まれると信じたい。
前回ブラジルではボロ負けだった。日本も強くなって「実力・結果がすべて」の時代に早くならなければいけないと思う。何だかんだ言って、今回は「相手10人のコロンビアに一回勝っただけ」のワールドカップである。まだまだブラジルやフランス・ベルギーとの力の差は大きい。乾や原口のように「スーパーゴール」が決められるような選手が育ってはきたが、試合運びという点ではもう一歩ではないだろうか。ブラジルの戦い方も今回は注目して見ているが、彼らは「リスクを恐れていない」のが新鮮だった。今回のワールドカップはカウンターのチームが勝利している。ポゼッションサッカーを展開したスペインやアルゼンチンは、早々と敗退している。ブラジルは相手ディフェンダーのギリギリを狙ってパスを出すとき、そこに勝機が生まれることを本能で知っているのである。例え失敗して相手に奪われカウンターを浴びてゴールされる危険があっても、だからといって安全な攻めだけでは「今のブラジルサッカーの圧倒的迫力」は生まれないのではないだろうか。常にリスクと戦いながら最善の努力をして回避しているからこそ華麗な攻撃が出せるのである。その境地に入るためには勿論個人の力も重要だろう。だが試合をよく見ると相手からボールを奪うにしてもゴール前で身体を張って守るにしても、ブラジルは必ず人数を揃えて戦っている。彼らの卓越した「個人技だけ」で戦っているわけではないのだ。
今回もまた「まだまだ日本のベスト8までは道半ば」という結果に終わってしまった。そこに到達するためには点の取れるセンターフォワードが必要である。中盤とハーフはそこそこ人材が出てくるようになって来たのだから、あとは待望のフォワードである。日本人は平均的に足が早く敏捷だし、技術の習得にも熱心だ。後は頑丈な体格が備わればと思うが、こればっかりはDNAの問題だからどうしようもない。だがFWなら日本人の華奢な体格でも十分いけるんじゃないだろうか。日本からもネイマールのような選手が出てくることを期待して、今回の「ロシア・ワールドカップ日本の戦い」の総括としたい。
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