明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

日米LPGA観戦記(7)青木瀬令奈と上田桃子

2023-03-21 22:23:00 | スポーツ・ゴルフ

今季初戦の沖縄で最終日、申ジエを追いかけながら上田は最終ホールでボギーを叩き2位に甘んじた。スコア的には3打差だからどっちにしろ勝てなかった訳だが、自分のミスで「見せ場」も作れず、難なく申ジエに優勝をさらわれたのは大いに反省したことだろう。次戦の明治安田生命は18位Tと優勝には絡まなかったが、今回のTポイントは最終組でトップと「リベンジ」には持って来いのシチュエーションである。

私は上田が「よっしゃあ、やったるでぇ」と自らに気合を入れ、メラメラと勝つ気マンマンで出て行ったと想像する。何なら優勝スピーチ」まで考えていたかも知れない、そういうタイプなのだ。そして出だしのパー5でバーディを取ると、そのまま怒涛の5連続バーディで圧巻の「バーディショー!」である。一時は2位と8打差まで付けて「独走状態」に入った。

完璧である。私は朝からCS放送で見ていたがこの時点で「もう勝負あったな・・・」と判断し、PCで YouTube を見始めたのでその後の試合の内容は余りよく覚えていない。放送は地上波だかBSだかのリレーが始まる頃、ふと画面を見ると何と上田が「ボギー、ダボ、ダボ、ボギー」と信じられない崩れ方で、順位の坂を「一目散に転がり落ちて」いるじゃああーりませんか!?

一体何があったんだぁ?、と思わず身を乗り出した。

さて、ここで問題です。・・・それまで絶好調だった上田が、何で急に崩れたのか?。勿論、ツアー国内外18勝の大ベテランであり試合の駆引きも知り尽くしている「盤石の態勢」であり、上田に負ける要素は全く無い!。だが上田の快進撃を同じ組で見ていた青木は、それとは「別の事」を考えていたという。それは絶好調の後には、必ず「どうにもならない程の不調がやって来る」であった。私は私のベストを目指すだけ・・・そう思ったという。そして勝負というのは「下駄を履くまで分からない」と・・・

青木は自分を信じてひたすら最善の手を打ち続けたのである。

LPGAのホームページで青木のコメントを読むと、試合中にスコアボードは一度も見なかったらしい。最終18番で「もうそろそろ見ても・・・」とコーチに聞いたら、「まだダメ」と断られたそうだ。勝つまではスコアボードは「見ない」ということが、心の平静を保つのにひと役買ったのは間違いない。まあ、青木も7、8個バーディを取って尚且つノーボギーだから、「ゴルフそのものが素晴らしかった」とも言える。特に平均飛距離は215ヤードと、出場選手中54位と最下位に位置して「ツアーで飛ばない方1位」を堅持する非力選手の代表格だ。それでも「ツアー3勝」のシード選手でいられるのは、何と言っても「寄せワン」がとにもかくにも「抜群に上手い」からに他ならない。こういう選手は崩れたりはしないのだ。

それにメンタルがこれまた強いのである、「強すぎる」と言っても良い。記事にも載っていたが、「サムライの心を持ったゴルファー」と誰かが青木を評して言ったそうである。そう言えば、宝塚歌劇団好きな乙女チックな女子の割に、いったん勝負になると「男勝り」の性格でじわじわ追い詰める試合巧者ぶりを発揮していた。まさに巌流島で物干し竿を振り回す佐々木小次郎を、櫂(かい)を削った木刀で見事に打ち破った「宮本武蔵の覚悟」すら感じさせるではないか!?

で元に戻ると、「上田に何が起こったか?」である。

私のゴルフ仲間のSN氏の分析は「上田は勝ちたいという気持ちが強くて、一度のミスから自分を忘れて力んだ結果」負けた、というものだった。彼は試合を分けたポイントを「青木の平常心」と喝破した。

彼の言を待つまでもなく、一度泥沼にハマった選手は抜け出そうとすればするほど深みにハマって、とめどなくズルズル落ちてゆくものである。上田の場合は沖縄で2位だったのが災いして、今回こそ「ブッチギリ」で勝ってやる!と力が入ったのではないか?。それが気持ちの上で高揚感を生み出し、言わば「浮遊状態でプレー」していたと思う。そして、知らず知らずの内に自身のコントロールの範囲を上回っていることを気付かないで、「神がかり的」なスーパーショットを連発したのである、落とし穴が待っているとは神のみぞ知る・・・。

普通、スポーツの世界ではこういう状態を「ゾーンに入る」と言って、自身の持っている能力を「最大限に発揮する」最高の状態と言われている。だが上田の場合は少し違っていて、優勝という「単なる試合結果」を求め過ぎていたのかな?と思った。ゴルフにスコアは付き物なのであるが、プレー中にその結果を求め過ぎては失敗したときに「立て直すことが出来ない」という、とんでもなく深〜い「罰」が待ち受けていたのである。これはアマチュアにとっても「大切な教訓」と言える。

上田は我々100切りに汲々としているアマチュアとはそもそも「レベルが天と地」程にも違うわけだが、彼女から学んだことは、これを載せてツーパットなら90切り達成だ!と力むのではなく、リズムよく8割の力で「パンッ」と振り抜こう!と、打つことだけに集中する方が成功しやすい、という事だ。結果はどちらに転んだとしても、長い間には必ずや「ゲームの勝者」になっている筈だ。それを求めない青木のような 「無欲の姿勢」が、最後に勝利の栄冠を勝ち取る。・・・世の中、うまく出来てるねぇ〜。

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さて次回は誰が優勝するか?

私はそろそろ「原英莉花か小祝さくら」が来るんじゃないかと思ってる。この二人のどちらか優勝するようならますますツアーも華やかになって、女子ゴルフの人気も「更に沸騰する」のでは。それに、 週末にアメリカLPGAデビューの運びとなった「勝みなみと西村優菜」の結果も気になるし・・・。かく言う私はますます運動不足になりそう(トホホ)。



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