空観方程式

「色」と「空」の一体化によって可視化され、相互作用で共感・共鳴が生じ、新たなる思いや生命力が実体化される。

空に吸はれし十五の心 啄木

2009年05月10日 | スクラップブック
純粋なもの、一点の曇りのない一途なもの、
それがいわゆる空観の「空」であるとするならば、
啄木が「空に吸はれし十五の心」と詠んだ
「空」と偶然にも重なりました。

多感なる十五の心とは、いわば「色」であって
十五歳の啄木の夢や希望、迷いや不安は澄みきった
空に吸われて、浄化され光り輝いた。
それがやがて決意となって歌に昇華したのでしょうか。
迷いと決意が相互に依存して交錯する。
「空に吸はれし十五の心」は「色即是空」の心経
そのものと感じます。
「よしこれで行ってみよう」という決意あるいは
純粋なものにお任せしようという覚悟によって
迷いや不安と決別出来たのでしょう。

むろん啄木はそんなことを意識して詠んだとは
思いませんが、天才の感性には驚くばかりです。
十五歳のような純粋で澄みきった心こそが
人間にとっての普遍的要素ではないでしょうか。
いくら歳を重ねたとしても、誰にでもあったものだし、
少なくともニーチェが言う欺瞞的な善などとは異なる
ものです。
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