空観方程式

「色」と「空」の一体化によって可視化され、相互作用で共感・共鳴が生じ、新たなる思いや生命力が実体化される。

鴨長明の三位一体 (満ち足りた人生観)

2013年09月28日 | スクラップブック


海に囲まれて生きる。なぜならば海にはときめきがある、
わくわくするものがある。
森に囲まれて生きる。なぜならば森にはときめきがあり、
精霊がある。
学者は本に囲まれて生きる。なぜならば本にはときめきがある、
わくわくするものがある。
わくわくしたものに囲まれれば、幸せになる。生きていることが
実感できる。
欲望や執念を捨てる、というと難しいが、それよりも
わくわくするものや、ときめくものに囲まれるという事であれば
それほど難しいことではない。
命の満足や生きている実感につながる。ホッとできる世界になる。

空観方程式は心の豊かさが有ればいいというのではなく、
そこから新たな世界や目標に向かって具体的な行動が生まれ、
実体化しようとするものである

「足ることを知る者は富めり」と「強めて行う者は志有り」
老子も云うように、双方一体となってはじめて意味を成す。
「どうするか」を見えるようにして実現する道筋である。
読むだけ、聞くだけ、拝むだけで終わってしまわないように。

鴨長明は、浮き世を捨てて孤独な隠棲生活を送ったが、
少なくともこの世の一つの楽しみに対するみずからの変わらぬ
愛着を表現して、「生涯ののぞみはおりおりの美景にのこれり」
日本人が常に季節を重要視してきた。とドナルド・キーンはいう。
「生きている日本」より

方丈記に、「ゆく河の流れは絶えずして、・・・・
ただ静かなるを望みとし、憂へ無きを楽しみとす。
今寂しきすまひ、一間の庵、みずからこれを愛す。」とあり。

鴨長明の三位一体
◆Imaginary「空」とReal「色」の一体化
    Imagin「楽しみに対する変わることのない愛着、生涯の望み」と、
    Real「おりおりの美景」との一体化

◆具体的なプロセス    
    ただ静かなるを望みとし、憂へ無きを楽しみとす
    しかしワクワクするものに囲まれて過ごす隠棲生活

◆新たなる世界、姿、目標
    満ち足りた人生観ポジティブな無常観


鴨長明の三位一体には、捨てたことによっての三位一体の関係
見えるからこそ、満ち足りた幸せの心境になれる。
いわば捨ててつかんだ幸せである。単に「心の豊かさがあればいい」
から、捨てるという具体的プロセスによってステップアップした、
新たなる世界観である。


岡 敦エッセイ


季節の移り変わりへの意識は日本人にとって誰にでもあるものだが、
直ちに浮き世を捨てて、実現できる訳でもない。
捨てたことで三位一体の関係が見えなくなっては、本末転倒だ。

例えば年齢を重ねることで、自分なりの三位一体の関係が少しでも
見えてくれば、捨てることではなくても、ワクワクするものに囲まれた
現実を実感する楽しみとして、受け容れられるプロセスも浮んでくる
のではなかろうか。




「花あるときは 花に酔い 」
「風あるときは 風に酔う 」  
「それはな、花もええなあ、風もええなあ、っていうこっちゃ」
榊 莫山(書家)

Imagin、情や想いの「足るを自覚」できるようになれば、それが
ワクワクする楽しみに囲まれて過ごす行動になる。


例えばお金や名誉のためではなく、夢を追い続ける想い
「いいプレーする生き方って、ええなあ」という、つかんだ幸せ。
ヤンキースのイチローは言う、
「結果を出すために、生きる姿勢というものが変わってしまうと、
もうバッターボックスに立つ意味はない。」

例えば「命を肌で感じ取る」(色と空の一体化)では、
起業と子供たちの喜ぶ笑顔が一体化した。
子供たちへの想いから、実際に起業が実現する。
それこそが「色即是空」であると思った。
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