野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

アライグマ

2023-08-09 | フィールドガイド--哺乳類--

アライグマ(アライグマ科)

 

夕方里山からの帰り、道を横切るアライグマを見つけた。

姿を見失ったが、山の斜面を登った様子がないので、車を降りて道路の側溝を除いた。

えさを求めてアライグマが側溝を移動しているのが見えた。

このアライグマだろうか                                                                               

畑のトウモロコシを食べ、スイカやカボチャの中身だけうまく食べてしまうのは。

兵庫県でも、農作物の被害は毎年すごい量になっている。

アライグマを観察していると獲物を水中で転がしている姿がよく見られる。おなじみの姿だが、アライグマは食べる前に食べ物を洗わない。

生物学者らは最近、この行動を洗うというよりも感じるためにしているという。

研究者らは、アライグマの前足は濡れているとさらに敏感になるという。

足を濡らすと、手に持っている物体が食べ物であるかそうでないかをよりよく識別することがでるのだという。濡れた手は口よりものを知るということだ。

 

アライグマを英語では「raccoon」というが、イギリス植民地時代にバージニア地域に住んでいた先住民部族の言葉が由来だ。先住民もアライグマを「手でこすったり、こすったり、ひっかいたりするもの」としてアライグマを表していた。

 

アライグマをリンネはクマのなかまとして分類した。

そのため、ヨーロッパにアライグマが入るとクマのような外観と、食べる前に食べ物を洗うように見える習慣から「洗濯熊」を意味する言葉としてさすようになった。

いずれの国も、ドイツ語ではWaschbär、イタリア語ではorsetto lavatore と

でも、フランス人はラトン・ラヴール(「洗濯ネズミ」)と名付けました。これは、カナダフランス語でも使用されています。

当然、日本語ではアライグマとなりました。

 

今アメリカではアライグマは 1940 年代から個体数が増加しはじめ、それに伴って分布も増加しました。現在では、以前は稀であった、山地や砂漠でも見られるようになっています。

 

増えたのはアライグマは非常に知的で、複雑な問題を解決する能力があるからです。

知能のレベルは、アライグマは霊長類にやや劣る程度といわれています。また、アライグマは並外れた記憶力を持っており、最大3年間は忘れないといいます。(寿命が5年といわれているので、一生おぼえているということになります。)

また、アライグマは高い好奇心を持つことを知られており、これらがアライグマが広く分布している理由の一部であると考えられています。

 

 

アライグマは現在ヨーロッパ大陸全域、特にドイツとフランスで見られるようになりました。

日本には1970年代後半からやってきます。人気テレビ番組に触発されたからです。

家族は若いアライグマをペットとして飼い始めましたが、成長して扱いにくくなったアライグマを野生に戻すことがよくありました。アライグマは現在、日本において侵略的な脅威とみなされています。

アライグマは雑食性なので、肉も野菜も食べます。 カエルやバッタなどの昆虫、木の実、ネズミ、鳥の卵を食べます。 夜行性で夜に餌を探します。

都市部では公園や近所のゴミ箱から巧みに食べ物を盗むこともあります。

それで、アライグマが食べ物を求めて屋根裏部屋やガレージに入り込み、家財を傷つけることがあります。

 

 

アライグマのメスは通常、年に1回の出産を行い、1回の出産で3~7頭の子供を産みます。生まれた年の子どもは最初の冬は母親と一緒に過ごし、春になって独立します。

 

アライグマの顔をみると目の周りは黒い毛があります。目の周りの黒い毛は、それがまぶしさを軽減し、夜行性動物の夜間視力を高めるのに役立つのではないかという仮説があります。

胴体は灰褐色の毛でおおわれ、尻尾には5~8個の明暗の輪が交互に並んでいます。

 

 

アライグマは前脚よりも後脚が長いため、歩いたり走ったりするときに猫背に見えることがよくあります。

アライグマの前足の 5 本の指は非常に器用で、ドアノブ、瓶、掛け金などのさまざまな物体をつかんだり操作したりすることができます。

アライグマの最も優れた感覚は触覚です。前足は非常に敏感で、水中ではその感度が高まります。

 

以下の研究があります。

アライグマの鍵を開ける能力に関する一連の実験をまとめた1908年の研究では、アライグマが簡単な留め具を開ける技術を1年以上維持できたことが判明した。

アライグマの記憶力に関する他のいくつかの研究では、アライグマは少なくとも 3 年間は課題の解決策を思い出すことができることが示されています。

肉食動物の脳のニューロンの数を測定した2017年の研究では、アライグマの脳は比較的小さいが、霊長類で予想されるニューロンとほぼ同じ数のニューロンを持っていることが判明した。

 

現在日本ではアライグマが防除の対象になっています。

兵庫県アライグマ防除指針(令和3年2月より)

アライグマは北米原産で、本来日本には生息していませんでしたが、1970 年代から愛玩動物として大量に輸入され飼育され始めました。しかし、飼いきれなくなり途中で捨てられたり、逃げ出したりして、野生化し繁殖を続けるようになりました。こうして野生化したアライグマは、深刻な農業被害や生態系被害をもたらす動物として外来生物法に基づく特定外来生物に指定されました。

 

 

アライグマ問題の発生

 兵庫県では、平成 10 年頃から神戸市を中心に生息が確認されていましたが、その後、阪神、北播磨、中播磨、丹波地域などに生息域が急速に広がり生息頭数も増加していると予想されます。

 


シカ 

2019-02-22 | フィールドガイド--哺乳類--
柵から抜けないシカ
(由良川調査の画像から)
 1978年から2014 年までの36年間で、ニホ ンジカが約2.5倍に拡大。(環境省)
 増えた理由
・寿命が長い:オスは4~6才、メスは6~8才まで 生きる
・繁殖力が高い:1才以降、ほとんどのメスが毎年妊 娠し、毎年1頭を産む。
オス1頭と1頭以上のメス が群れをつくり繁殖する
・何でも食べる:ほとんどの種類の樹皮や植物を食べ、 なくなれば餌があるところへ移動するため、餌に不自由しない。(環境省パンフ)
里山活動でもシカやイノシシの侵入でこまっている
写真のようなシカも増えすぎたための現象だろうな。

猪名川でみられる岩石

2018-07-16 | フィールドガイド--哺乳類--

猪名川の河原で見られる代表的な岩石

   観察できる岩石について知っておきましょう。

①泥岩 泥が固まった岩石。粒の粗い泥岩をシルト岩、粒の細かい泥岩を粘土岩といいます。

②砂岩 砂が固まった岩石。表面が触るとざらざらしています。

③礫岩 礫(2mmより大きな粒)が固まった岩石。

④頁岩 泥岩が長い間弱い圧力を受け、一方向に割れやすくなった岩石です。超丹波帯や丹波帯の泥岩の多くが、この頁岩になっています。猪名川では黒い石でよくみられます。

⑤チャート 表面がなめらかな感じの石で、色は黒色・灰色・白色・赤色などさまざまです。たいへん硬く、ハンマーの先やくぎでこすっても傷がつきません。チャートは、放散虫などの珪酸質の殻をもつ。プランクトンの遺骸が、海底に降り積もってできた岩石です。層状チャートとして見られることもあります

⑥凝灰岩 火山灰が固まってできた岩石。

⑦溶結凝灰岩 火山灰などが、高温の火砕流として堆積し、内部が高温のために一度溶けてから冷え固まった岩石です。軽石が細長く伸びたレンズ状の火山ガラスを含んでいることが特徴です。また、他の岩石の破片を含んでいることもあります。このあたりで一番多い岩石です。

⑧流紋岩 珪素が多く鉄やマグネシウムが少ないマグマが溶岩として流れた岩石です。流れた後が層になっていることもあります。

⑨安山岩 流紋岩より珪素が少なく鉄やマグネシウムが多いマグマが溶岩として流れた岩石です。

⑩緑色岩 海底で噴出した玄武岩は、海水と反応して緑色の岩石となります。このような岩石を緑色岩といいます。暗い緑色をしていることや、表面に丸い穴があいていることが見分けるポイントです。

⑪花こう岩 全体的に白い岩石で、ゴマをふったような黒い鉱物が目立ちます。この黒い鉱物は黒雲母で、白い部分は石英と長石です。地下深くで、マグマがゆっくりと冷えて固まった岩石です。

⑫せん緑岩 花こう岩より、黒い鉱物の割合が多くなった岩石です。黒い鉱物は、黒雲母・角せん石・輝石です。花こう岩とせん緑岩との中間の岩石を、花こうせん緑岩といいます。

⑬ひん岩 斑状組織をしているが、火山岩に比べて石基部分(以下説明あり)の結晶が大きい火成岩。普通は安山岩質のものを指すが、現在では使われない岩石名。猪名川上流で岩脈として産します。

     斑状組織:火山岩の典型的なものは斑晶(はんしょう)と石基(せっき)からなる内部組織を持つ。このような組織を斑状組織(はんじょうそしき)という。

     斑晶:周囲より大きな鉱物結晶で、マグマが冷え固まる前に既にマグマだまり内で結晶となっていたものである。

     石基:斑晶の間を埋める物質で、微細な結晶の集合ないし非晶質(ガラス質)である。液体のマグマが急激に冷えて充分に結晶化しなかった部分と考えられる。

⑭花こう斑岩 石英や正長石、斜長石、黒雲母などの大きな結晶鉱物と、その間を埋める細かい結晶からなります。あふれ出たマグマが徐々に冷え固まって、石英や長石が大きく結晶し、それらの間を細かい鉱物が埋めて花こう斑岩ができたと考えられます。

 

その他 ホルンフェルス(岩石がマグマなどの熱で変成をうけた岩)などが見つけることができます。


ニホンジカ

2018-07-09 | フィールドガイド--哺乳類--

大和川流域で最も親しまれている動物は、奈良公園とその周辺にすむシカでしょう。奈良市一帯のシカは『春日さんの鹿』または『神鹿』の愛称で親しまれ、古代から神の使いとして保護されてきました。現在では国の天然記念物に指定されています。
シカの雄の年齢は角を見るとわかるのです。

それを紹介します

ニホンジカ(シカ科)
 体長120~150cm(ホンシュウジカ)。ニホンジカには夏毛と冬毛があります。鹿子模様と呼ばれる夏毛の白い斑点は林の中ではカモフラージュになり、敵から身を守るのに役立ちます。冬には斑点は消えて灰褐色になります。

角と年齢
  角を持つのはオスだけで、毎年春に落ちて、すぐに新しい角が生え始め、春から初夏にかけて大きく伸びます。この頃の角は、柔らかく袋角(VELVET)と呼ばれます。外皮に覆われた表面は微毛が生え、この内部では血液によってカルシウム分が運ばれ沈殿していきます。袋角内部が骨化して全体が硬くなると、血液の流通は止まって、外皮は剥げ落ち、枯角(枝角)となって完成します。
 生まれた次の年(1歳)から角が生えますが、始めから枝分かれした立派な角が生えるわけではありません。1歳は枝角のない一本角、2歳は一叉ないし二叉角、3歳は二叉ないし三叉のやや大きな角、4歳以上でやっと三叉四尖(1本の角が3回枝分かれして先端が4つある)の大きな完成された角になり、8歳から10歳頃までは年毎に大きくなります。そして、10歳以上の老齢になると、逆に年毎に小さくなっていきます。

分布


 ニホンジカという名前がついていますが日本に固有な種ではなく、ベトナム・台湾・中国南部からウスリー地方にかけて広く分布しています。北にいくほど体が大きくなる傾向があります。