野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

ひらひらと優雅にとぶトンボーチョウトンボー

2023-07-31 | フィールドガイド-昆虫編--

チョウトンボ

その名のとおり、チョウのようなはねをもち、ひらひらと飛びます。

後翅の幅が広く、翅のつけ根から先端部近くにかけて光沢のある黒紫色のトンボです。

 

チョウトンボは開放的な池沼で見られます。

ヒシなどの浮葉植物のある池などで産卵するので、浮葉植物のない池ではあまりみることはありません。

オスのはねは青紫色をしており、メスでは黒緑色をしています。メスはまれにオスのように、はねが青紫色をしたものもいます。

 

チョウトンボの翅のひみつ

よく見るトンの羽は透明ですが、チョウトンボは青紫色です。しかも、金属的な光り方をしています。

蝶は鱗粉によって光沢をだしますが、チョウトンボには鱗粉はありません。

チョウトンボの光沢は翅の構造によります。翅の翅脈が透明のトンボと比べてたいへん緻密にできています。この緻密さが光沢をみせています。(構造色=緻密な構造による発色現象、タマムシなどもそうです)

チョウトンボの濃い青色が、光のあたりかたによって黒金色や黄金色に見えるのはそのためです。

 

熱中症に気を付けて

最近35℃を超えるのがあたりまえのようになりました。熱中症の注意報が毎日のように流れます。

チョウトンボのいる池ではほとんど日陰のない池が多いです。

そんな日材の中でトンボの観察をしていると、チョウトンボが逆立ちして止まっているときがあります。

日差しが強いとき、体温の上昇を防ぐためにチョウトンボは日の当たる面積を減らして少しでも体温の上昇を防ぐのです。

観察している人もこれを見ると熱中症になる温度に上がっていると気を付ける必要があります。

 

 

【見られる場所】 特に水草の多い水辺で見られます。産卵はメスが単独で、浮葉植物の間の水面を腹端で打ち付けるようにして行います。

【見られる時期】 6~9月


7月 大阪府池田市五月山で夏の虫の観察

2023-07-30 | 野生生物を調査研究する会歴史

7月 大阪府池田市五月山で夏の虫の観察

 

2011年7月17日(日)におこなわれた池田市五月山の夏の虫の観察会(ナチュラリストクラブの観察会より)

梅雨明けとともに昆虫が動き始めます。10年前はまだこんなに暑くなかった気がします。

これだけ暑くなると虫は動かなくなり「夏眠」になります。涼しくなるまでじっとして過ごすのですが・・・

里山でも、午前中から30度を超えころ、顔にまとわりつく虫がいなくなります。

 

今回は梅雨明けまでがよく見られるのですが、観察会で観察した昆虫の紹介です

 

「2011年は平年よりも13日も早く梅雨明け。虫は梅雨の間がいちばん多く見られ、梅雨明けと同時に姿を隠すそうですが今日はいかに?」

講師から観察のこころがまえ

「観察のコツは「ゆっくり歩くこと!」カメの歩みで物を見るといいそうです。そうすれば100mの間でもたくさんの生き物を観察でます。」

 

「歩き始めてすぐのところで毛虫発見。金色の長い毛がきれいな毛虫で所々黒い肌が見えています。あとで図鑑を調べてみると「リンゴドクガ」のようでした。黒い色が見えている方が頭、しっぽのほうは見えませんがお尻の方に茶色い毛の束があります。「ドクガ」という名前ですが毛に毒はなく触っても大丈夫。

             

山の芋の葉がこんなふうに折り曲げられているのはダイミョウセセリの幼虫の巣です。

             

これはアカタテハの幼虫の巣。イラクサ科のカラムシの葉を丸めて作ります。

このササの葉の模様は何でしょう?ササの新芽がまだくるりと巻いている時に虫に食べられたあとだそうです。巻いた葉をまっすぐ食い破ったあと葉が開くと「こんな形に。」

 

木の幹に樹液がにじみ出しています。カナブンがたくさん集まってきました。クワガタやカブトムシも集まってくるかも。昨年はここでオオムラサキも見ることができました。

 

梅雨明けの素晴らしいお天気で、とても暑い日でしたが、たくさんの虫を観察することができました。」

<今日観察した生き物>

ウラギンシジミ、ベニシジミ、ツバメシジミ、スジグロシロチョウ、モンシロチョウ、ツマグロヒョウモン(メス)、ヒメウラナミジャノメ、アサマイチモンジチョウ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ハグロトンボ、チョウトンボ、キイトトンボ、ハラビロトンボ(メス)、コシアキトンボ、ウスバキトンボ、ショウジョウトンボ、ショウリョウバッタ、フキバッタ、ササキリの幼虫、クチベニマイマイ、オオケマイマイ、ウスカワマイマイ、ニッポンマイマイ、リンゴドクガ、ヒメスズメバチ、女王アリ、ヘリカメムシの仲間、ハナグモ、シデムシの幼虫など


急速に個体数が減少しているミズカマキリ

2023-07-29 | フィールドガイド--水生生物--

急速に個体数が減少しているミズカマキリ

ミズカマキリ

分布:北海道~南西諸島

体長:50mm程度

体は棒状で細長く、体色は灰褐色から淡黄褐色。前脚がカマ状で体型は長細く、お尻に長い呼吸管があります。呼吸のために長い尾の先端だけは水面に出している。

前肢がカマ状なので陸上のカマキリのようなので水の中のカマキリなのでミズカマキリと名がつきました。しかし、種としては別です。

カマキリはバッタやチョウなどと捕まえて食べます。

ミズカマキリは池沼などの水の中にすんでいるので、小魚やオタマジャクシなどの小動物を捕まえて食べます。カマキリのようにむしゃむしゃ食べるのではなく、捕まえると、口から消化液を出し、溶けた肉液をすすります。

 

別の種ですが生きたものを捕食するのには前肢がカマ状なのは陸でも水でも捕まえやすい形だとそれぞれが判断したんでしょう。このような進化の形を収斂(しゅうれん)進化とよんでいます。

(生きている猪名川より)

カメムシのなかまは卵、幼虫から成虫とさなぎの時期はありません。(不完全変態というのを習ったと思います。)

11 月ころになると、水底の物かげなどで越冬します。4 月ころに目覚めた成虫は 5 月~7 月に交尾し、コケなどの湿ったところに産卵します。卵からうまれた幼虫は親に似た姿をしています。5回脱皮を繰り返し成虫になります。

 

 

兵庫県では要注目種になっている。長崎では絶滅危惧I類、福岡では準絶滅危惧種、東京都では絶滅危惧ⅠB類に指定されています。


粘菌 ムラサキホコリのなかま

2023-07-28 | 自然観察会

粘菌 ― ムラサキホコリのなかまー

 

枯れて落ちていたコナラの木の枝、人の腕の太さぐらいの木の枝の端に変形菌(粘菌)を見つけました。

 

ムラサキホコリの仲間は「変形菌(へんけいきん)」だが

「菌」とつくものの、変形菌は菌類(キノコやカビの仲間)とはまったく別の生物と考えられています。

しかし、20世紀半ばまでは、変形菌は菌類に含まれ、「ムラサキホコリカビ」という名で「カビ」だと思われていました。

 

単細胞のアメーバとして生活したり、集合して変形体で移動したり、キノコのような子実体をつくったり。とても神秘的な生き物です。

変形菌は「変形体」と「子実体」は見かけは全く違っいます。

子実体の姿がおわると、写真のように毛のような軸だけがのこりやがてかれていまいます。


タケニグサと有毒植物

2023-07-27 | 自然観察会

タケニグサ(ケシ科)

本州,四国,九州地方の日当たりのよい荒れ地に生える夏緑性多年生草本。

 

茎は中空で切ると黄色の乳液を出す。

白い花をたくさんつける。花弁はなくがく片は花が開くと同時に落ちる。

細い糸のようなおしべが線香花火のようにひろがる。中心にめしべがある。

花が終わると扁平な果実ができる。

名前の由来については諸説あるが、茎が中空でタケに似るからといわれている。

有毒植物。

 

 

鹿児島では緑化の植物として使われている。

有毒なためシカが食べないので活用されている。

種子はアリが運ぶ。種子の表面にはエライオソーム(種冠)がついているので、それをえさにするアリが種子を運ぶ。同じ有毒植物であるクサノオウやムラサキケマンも同じように種子をアリに運ばせる

 

野外観察会では

食べると有害な植物、触ると有害な植物、公園など身近にある有害な植物を紹介して害に巻き込まれないように注意を呼び掛けている。

食べるのがダメなのは

①キツネノボタン

花が咲く前がセリに似ている。食べると吐き気を起こす。

②クサノオウ

茎に毛が多く,傷をつけると黄色い液が出て,触るとかぶれる。食べると吐き気,下痢を起こす。

③ムラサキケマン

赤紫色の美しい花が咲く。全株有毒だが,毒性は強くない。量多く食べると吐き気,下痢を起こす。

④タケニグサ

葉の緑が不規則に裂けていて,茎を傷つけると黄色い液が出る。食べると吐き気,下痢を起こす。

⑤キツネノカミソリ

春先に長さ 40cmほどになる葉を出すが,夏に枯れる。全草有毒で,食べると吐き気を起こす。

⑥トウダイグサ

葉や茎を傷つけると白い液が出て,触るとかぶれる。食べると吐き気,下痢を起こす。

⑦アセビ

山地に生える常緑低木。全株有毒であるが,特に若葉の毒性が強い。食べるとけいれんを起こす。

⑧シキミ

山地に生える常緑低木。全株有毒であるが,特に果実に毒が多く,食べるとけいれんを起こす


加東市の観光パンフより

2023-07-26 | 資料を読む

資料を読む 兵庫県加東市の観光ガイドより

 

先日加西市のあびき湿原での観察会をおこなった。集合は粟生駅(あおえき)。

そこで、加東市の観光パンフレットがおいてあった。

2種類の観光パンフレット。どちらも加東市観光協会が発行している

「加東市観光ガイドマップーようこそ伝の助のかとうへ!!-」(2022.8;14刷)=以後マップ

「るるぶ特別編集 兵庫県加東市 ―大阪神戸姫路からのおでかけにぴったりー」(2023:企画編集制作株式会社JTBパブリッシング)=るるぶ版

どのようにわが市の観光を伝えるか、同じ加東市観光協会が発行もとなので、企画編集の違いがでているのがおもしろいので、取り上げた。

 

マップは1枚のマップの裏に加東市の観光・レジャー・歴史・特産品・加東市のデータが詳しく記載されている。多くの自治体の観光地図と変わらない。

るるぶ版は右綴じの20pのA4変形の冊子になっている。「加東市の紹介・あそび場紹介・歴史ロマン・山田錦・アクティビティ・グルメ・スイーツ」と市販されているるるぶ冊子の形態をそのまま

 

企画編集の違い

マップは百科事典型、るるぶ版はネットワーク型

マップは「観光スポット」として加東市の観光地や観光施設を一覧で紹介している。

るるぶ版は観光スポットを「加東市はこんなところです」と2pにわたり加東市の今の売りのところが一目でわかるように割り振りされている。企画が「1dayモデルプラン」なのだが、まず加東市に興味をもたせる配置はネットワークを形成する導入になっている。

 

特産品

特産品は加東市が他市と違う、買ってほしい、来てほしいという願いがあるページ

マップは特産品の紹介のみ。どこで買えるというのがない、問い合わせ先が観光協会のみになっている。

一つの店や企業に偏らぬような行政の配慮がみえる構成になっている。

るるぶは、山田錦のブランドの紹介、地酒の紹介。

土産物もいまの店「和洋スイーツ」として取り上げ、おみやげはここで買うことができると紹介。

マップはこれまでのどこの市町村にもある従来型の観光マップで、その目的は達成でいているが、着たら何をしたいのかは自分で考えてとお役所視線だが、るるぶ版は加東市に行って何をしたいという明確な動きが感じられる。

 

発行がどちらも加東市観光協会、観光パンフとしてはるるぶ版、加東市の魅力が伝った1冊でした。


里地里山の1年 7月下旬の里山

2023-07-25 | 里地里山の1年

里地里山の1年 7月下旬の里山

 

今、ネササを刈らねば。

7月の第一日曜日に下草をかった。しかし、一雨ふるとすぐに草は伸びる。

今月中にしないとけないのはネササを刈ること。

活動日に終わらなかったところを刈り取る。

ネザサは梅雨が終わってからのほうが効果がある。ササはこの時期に根に栄養を貯め冬に枯れても、

春から一気に活動にはいり、立派なネザサになっていく。

7月中に刈り取っておけば根に栄養が少しとなり細いササとなり、来年以降は刈り取りやすくなる。

3年も掘っておけばネザサも身の丈を超える。太さも小指ぐらいになってしまう。

里山で日の良く当たる周りに生えていくので、時間がたつとササに被われ山に入れなくなる。

7月下旬、青い実の樹木がたくさん見られた。

今年は8月8日が立秋。秋に熟する様子が楽しみだ。


クマゼミ ー「関西勢が進出してきました!」

2023-07-24 | フィールドガイド-昆虫編--

クマゼミ

外からはいっせいにシャーシャーと鳴き声が家に入ってきて暑さが倍増する。鳴き声はクマゼミ。

 

「クマゼミ

とうとう谷戸山にも関西勢が進出してきました。関西では主流のセミで、近年太平洋岸沿いに北上して来ていますが、今年になり谷戸山でも数匹の鳴き声を聴きました。」(谷戸山里山四季だより;2001年9月号)谷戸山は神奈川県座間にある県立座間谷戸山公園の冊子より。

2017年度の町田市の「セミの鳴き声調査」報告書によれば、クマゼミは「7/1 の調査開始から、10/15 まで鳴いており、ピークは8/9 だった。」と記録されている

平成27年度千波湖環境学習会開催(第 8 回、第 9 回)の報告では「関西でよく聞かれるクマゼミが生息北限の上昇により茨城県でも確認されていること、」と述べられている。

気象庁の夏の「いきものしらべ」でも茨城県でも8月にクマゼミの鳴き声を聞いたと報告がある。

現在、鳴き声は宮城県でも確認できている。

ウエザーニュースが「あなたの街で1番聞こえるセミの声」についてのアンケートを実施している。

「結果、東日本ではミンミンゼミ、西日本ではクマゼミ、日本海側ではアブラゼミがそれぞれ多く聞こえているようです。」とある

 

クマゼミは関西のセミのように書かれているが、九州などの温暖な地域に多いセミだった。

関東の人にとってはうるさい関西人のイメージなのかもしれないが、

関西でも昔からクマゼミが優勢だったわけではない。

これについては、中学校のしかも国語の教科書に書いてあるので紹介する。

 

「1960年代では関西でもクマゼミはレアな存在だった。クマゼミの卵は寒さに弱いので冬をこせなかったが、ヒートアイランド現象により冬を越せる条件ができからと考えられていたが、気温上昇によって、う化の時期が早くなり、梅雨と重なってクマゼミのう化率があがったこと、ヒートアイランド現象により乾燥した地面が固くなりう化したセミが地面にもぐる力がクマゼミがほかのセミに比べて高いので生き残ることができた。」

と中学校の国語の教科書(光村図書 クマゼミ増加の原因を探る)

温暖化とクマゼミの広がりを説明している。

 

クマゼミ(セミ科)

明け方からいっせいにシャーシャーと鳴き出し、昼頃には鳴き終わる。そのあとアブラゼミの声が優勢になる。大きさは6~7cm。羽は透明で、背中側の胸は黒色で模様はない。


涼を求めてー箕面のシダ植物の観察会

2023-07-23 | 野生生物を調査研究する会歴史

箕面のシダ植物

 

この暑い時期の観察会は涼しいところがよい。

阪神間、および近く涼しいところ、

箕面の滝道

樹木や野草、シダの観察

昆虫館があるように昆虫

地質などなど 涼しく観察にピッタリの場所だ。

昭和42年に「明治百年」を記念して東の高尾山、西の箕面に国定公園に指定された。

正式な名前は「明治の森 箕面国定公園」

昔から紅葉の名所として、また箕面の滝で有名な観光名所。

ここに行くと紅葉の天ぷらが有名。1000年以上の歴史があるという。

 

当会でも何回も観察会をおこなっており

ナチュラリストクラブ2008年7月18日(日) 『箕面の滝の秘密』で

シダの観察会で観察したシダ植物の紹介。


里地里山の1年 7月中旬の里山

2023-07-22 | 里地里山の1年

里地里山の1年 7月中旬の里山

 

7月20日東海・近畿・中国地方に梅雨明けの発表があった。

昨年より三日早く、平年より一日遅い。

近畿地方では、平年の最も暑い時期を上回る真夏の暑さになると注意を呼び掛けている。

 

里地では、

稲の中干がはじまっている

畑では夏野菜が最盛期を迎える

キュウリ、ナス、ピーマン、カボチャ、オクラ・・・

6月はアカジソがピークに

アカジソは梅干しの色付けにつかわれる。

アカジソの葉にはチアニンという紫紅色の色素を利用しています。

 

7月になるとそうめんの具や刺身に添えられるアオジソ

シソの香気は、しそ油という精油成分によるもので、細菌類の繁殖を抑える作用がある。

醤油の防腐剤として利用され、20gのシソ油で180Lのしょうゆを防腐することができるといわれている。

 

相模原市下原遺跡は縄文時代の遺跡。

土器からシソの果実が出土した。縄文時代からシソを土器にためていたことがわかる。

シソはもともとは日本列島にはなく、ヒマラヤやミャンマー、中国南部などが原産とされている。

2500年前にはすでに日本に伝わってきたのだ。

栽培が始まった記録は平安時代。朝廷の内膳所で栽培されていたとの記録がある。

平安時代の医学書である「本草和名」には、薬や漬物に用いられたということが記されている。

 

 

夏休の自由研究に使えるのがアカジソ

シソジュースの作り方はいろいろなホームページで紹介されている。

酸アルカリの事件で使えるのがこのジュース。

ジュースにはクエン酸できれいなピンク色に。これは酸性の場合

ショウリョウバッタもずいぶん大きく

まだ羽が生えそろっていない。

夏本番

 

 

 

アルカリ性は重曹を使う。緑色に変わるので面白いが、この場合は飲んではダメ