野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

ミナミメダカとカダヤシ

2023-06-29 | フィールドガイド--魚編--

ミナミメダカとカダヤシ

メダカは小学校5年の理科の教科書で取り上げられています。

小学校ではメダカの卵の観察もします。

でも実際に野外で、メダカを見たことがない人も多いと思います。メダカをいつも近くの池や小川で見られる人はとても幸せだと思ってください。なぜかというと日本全国でメダカはとても数がへっているからです。

 

 メダカとよく見まちがえる魚にカダヤシという魚がいます。大きさも形もメダカによくにていますが、よく見ると違います。カダヤシは卵を産みません。卵を産まないで胎生(たいせい)といって魚の赤ちゃんをそのまま産みます。

 カダヤシは蚊(か)の発生原因となるボウフラを退治するためにアメリカから1916年に持ち込まれた魚です。

アメリカでもカダヤシをハワイでボウフラを退治するため1905年に導入されました。アメリカでもこの魚をモスキートフィッシュと呼んでおり、日本ではまさにカダヤシという名前を付けました。

1930年ごろまで、アメリカではマラリアを撲滅させるために生息地以外にカダヤシを導入利用しています。

ところが、近年アメリカでも生息地以外での導入が環境にカダヤシが負荷を与えているという意見がでています。

 

日本では、兵庫県のため池にメダカがたくさんいると聞いて実際見てみるとカダヤシだったという話も聞きます。

 

 カダヤシは暖かい地方ではどんどん増えていっているようで、メダカの卵や稚魚が食べられてしまうこともあるそうです。現在では東北地方南部から九州沖縄にかけて広く分布しています。

環境省は2006年に特定外来種に指定しました。

攻撃性の強いカダヤシが、在来種のメダカを駆逐するなど生態系を破壊する恐れがあるからです。

外来種被害防止法は、許可なくペットとして飼育した個人に対し、1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科すと定めています。

 

        メダカとカダヤシの大きなちがいは

 

1 「しりびれ」の形がちがいます。メダカの「しりびれ」の形は平行四辺形に近いです。(特にオスはほとんど「しれびれ」が平行四辺形)

 

2 メダカは卵を産みますが、カダヤシは胎生といってそのまま魚の稚魚(赤ちゃん)を産みます


武庫川の魚4

2018-12-29 | フィールドガイド--魚編--
<ドンコ>
ハゼ科カワアナゴ亜科ドンコ属
全長25㎝
河川の上流域下部から中流域の淵に生息しています。
魚食性で、ヨシノボリなどの小魚や水生昆虫などを食べます。
大きな石や倒れた木などの下面にオスが産卵室を作り、メスが産卵室の天井に米粒大の卵をすき間なく産みつけます。
<ナマズ>
ナマズ科ナマズ属
全長60㎝
河川の中・下流域で水草の茂った所や岩の間などの身を隠せる場所に生息しています。魚食性で、小魚やカエルなどを食べます。産卵はオスがメスの腹部に巻き付いて行われます。
<ニゴイ>
コイ科カマツカ亜科ニゴイ属
全長15㎝
河川の中・下流域から汽水域流れがおだやかな砂底部に多く生息しています。雑食性で主にカゲロウ類・トビゲラ類・ユスリカ幼虫・付着藻類・小魚なども食べます。武庫川では生息する魚種の主をしめる魚です。
<ハス>
コイ科ハエジャコ亜科ハス属
全長30㎝
日本のコイ科で唯一魚食生の魚です。仔稚魚期は主としてミジンコ類を食べていますが成長するにしたがいヨシノボリ・コイ科の稚魚などをよく食べるようになります。魚食性が強くなるにつれて口のゆがみも極端になってくるようです。
口のゆがみは獲物を逃さないための形と考えられています。武庫川では、近年ほとんど見られなくなった魚です。
<ホンモロコ>
コイ科モロコ亜科タモロコ属
全長14㎝
タモロコに似ていますが、ホンモロコのほうが体が細長く、口が上を向き、口ひげが短いなど泳ぎやすい体形をしています。主にプランクトン動物を食べ、産卵のため岸に近づくと水生昆虫も食べます。
<ムギツク>
コイ科ヒガイ亜科ムギツク属
全長15㎝
河川の中・下流域にある流れのおだやかな淵や淀みなどの岩場に生息しています。主にユスリカ幼虫などの水生昆虫を食べる雑食生で、石などの表面をつつきながら食べます。卵は石の下などに産み付けます。ドンコ・オヤニラミなどの巣に托卵(卵を別の魚の親に守ってもらうこと)することもわかってきました。
(武庫川大探検 CD版 魚のページより)

武庫川の魚2

2018-12-22 | フィールドガイド--魚編--
武庫川の魚 Vol.2
<ウグイ>
コイ科ウグイ亜科ウグイ属
全長30㎝
河川の上流域から河口域に消息しています。主に淵の底にすんでいますが、平瀬で群れを作ってエサを捕食することも多いようです。
雑食性で付着藻類・水生昆虫・小魚・魚卵や時には魚などの死骸にも集まって食べます。
産卵場は瀬で、毎年ほぼ場所が決まっているようです。武庫川では、河川改修などによりかなり減ってきている魚です。
<ウナギ>
ウナギ科ウナギ属
全長100㎝
主に河川の中・下流域~河口域に消息しています。日中は穴や泥底の中に潜んでいて、夜になると小魚・エビ・水生昆虫類などを食べています。
南方の海の産卵場で卵からふ化すると、まず木の葉のような葉形幼生になり、次にウナギの型になるシラスウナギになり河口付近にあらわれます。
しかし、日本で成長したウナギが産卵場に帰っているかどうかは、はっきりとはわかっていません。武庫川では全般的に見られ、岸辺の石の間などにいます。
<カワヒガイ>
コイ科ヒガイ亜科ヒガイ属
全長13㎝
河川の中・下流域にある流れがおだやかな砂や小石まじりの川底を生息場所とし、岩や沈水植物などのすきまにひそんでいます。卵は淡水二枚貝に産み付けます。
<ギンブナ>
コイ科コイ亜科フナ属
全長25㎝
河川の下流域にある淀みや支流の合流している所に生息しています。
底生動物や藻類などを食べる雑食性で、場所によっては動物性プランクトンなども食べます。
4~5月に大雨で増水したあと、水草が茂っている浅い所に集まって水草の葉や茎などに卵を産み付けます。
<ゲンゴロウブナ>
コイ科コイ亜科フナ属
全長40㎝
琵琶湖原産の魚でしたが、放流され自然繁殖するようになり、どこにでも見られるようになりました。
河川の下流域の淀みに生息し、植物性プランクトンなどの微少な生物をえらの内側で集めて食べます。
4~6月の雨で増水した時に、水草や浮遊物などに産卵します。
<コイ>
コイ科コイ亜科コイ属
全長60㎝
河川の中・下流域から汽水域の流れがおだやかな淵や落ち込みの砂泥底に多く生息しています。
雑食性で主に、ユスリカ幼虫・イトミミズ・ゴカイ類などの底生動物・モノアラガイ・タニシ・カワニナ・シジミなどの貝類や付着藻類・水草なども食べます。
深い淀みに多数集まって越冬します。まれに100㎝を超える大きいものもいます。
武庫川の魚は 1993年7月に当会で出版した 『生きている武庫川「魚類編」』をもとにCD-ROM化したものです。

由良川のアユ

2018-08-26 | フィールドガイド--魚編--

猪名川のアユについてこれまでいろいろと紹介してきた

今回は 由良川のアユ(「生きている由良川」を参考にした)

由良川のアユ

アユ(鮎) キュウリウオ目アユ科
アユは春から夏にかけて若魚期から成魚期を川の中流で生活し、秋になると河口付近に下る。このときの婚姻色(橙と黒色)のアユを「落ち鮎」という。
11月頃、淡水と海水の境目付近で産卵したアユはそのまま死んでいく。
卵から孵化した仔魚(体長6mm)は流れに乗って海に下り翌春まで動物性プランクトン等を食べて成長し、春になると遡上を開始する。遡上しながら7~8cmの大きさになり、中流域に入ったアユは岩盤や石礫の付着藻類を食べるようになる。
若アユの群れをつくるが成魚となってなわばり行動をとるようになる。
成魚は10~30cm。このようにアユは1年で大きく育ち一生を終えるので、「年魚」と呼ばれる。

魚や動物の体液(血液)の塩分濃度は、太古の昔に魚が海から川へ干潟から陸上に 移り住んだ当時の原始の海の塩分濃度が現在も受け継がれている。
体液の塩分濃度は淡水魚は約0.6%、人を含む陸上動物で約0.9%、海水魚で約1.1% である。
川から海へ、海から川へ移動するためには、この塩分濃度を調整する機能が 必要で、汽水域で浸透圧を調整している。
海に出てまだ身体に鱗のなく透明な身体の シラスアユは河口から離れ沿岸を回遊し、体長5~7cmに大きくなり全身が黒隣で覆われる稚アユに成長して河口に戻ってくる。
ただし、サケのような母川回帰本能ではない。

日本の夏の風物詩「鮎の友釣り」
 アユのなわばり行動の習性を利用した日本独特の捕獲方法で、5月アユ漁の解禁で一斉に釣り人が川に入る光景は初夏の季語ともなっている。
なわばりの範囲は1尾あたり約1㎡で、その中に入ってきた他の個体に対して体当たりして激しく攻撃する。おとりのアユに引っかける釣針をつけて捕る方法で実に楽しい。

魯山人 生けて運びし 和知のアユ
(「由良川いろは歌」より)
かつて和知町は京都府内屈指のアユの産地として知られた。
陶芸家であり料理道を極めた北大路魯山人(1883~1959)は和知のアユを賞賛し、彼の経営していた東京の料亭まで生きたまま運ばせたという逸話がある。
現在、鮎の遡上は戸奈瀬ダム(由良川ダム)までである。

丹波アユの歴史
古くは延喜式にも朝廷に献上したアユの記載がある。江戸時代には藩の庇護の下、御用鮎として丹波のアユは重宝がられた。また、大量消費地としての京へ運ばれていた。


カワヨシノボリ

2018-08-24 | フィールドガイド--魚編--

ヨシノボリのなかまは、5cm程度の小型のハゼ科魚類で、愛きょうのある顔でなかなかかわいい魚です。

「葦登り(ヨシノボリ)」という名は、左右の腹鰭がくっついて吸盤になっていることから、葦(よし)の茎にも登るほどだということからつきました。
実際には葦(よし)登ることはありませんが、腹鰭の吸盤を利用して石に吸い付き、流れに逆らって川をのぼることができます。

ヨシノボリ類は、近年までヨシノボリ類は「ヨシノボリ」1種とされてきましたが、模様や卵の大きさの違いなどから、数種に分けられることが判明しました。

ヨシノボリ類は、河川内で各種の生息場所がなるべく重ならないように、すみわけをして共存することが知られています。

ヨシノボリの仲間は基本的に、アユや他のハゼ科魚類の多くと同じように、稚魚期を海で過ごし、春になると再び河川に遡上する、生活スタイルです。
ただし、カワヨシノボリのみ両側回遊型ではなく一生を河川で生活する河川陸封型の生活史を送ります。

カワヨシノボリ
日本固有種で、全長は5から10cm程度。体の色は暗褐色から薄褐色までいろいろある。


猪名川一庫ダム上流のアユは放流ものか天然ものか?

2018-08-23 | フィールドガイド--魚編--

猪名川一庫ダムの上流でとれるアユ

夏の自由研究アユの研究編
ここは、漁協が放流しているアユとダムで世代交代している天然アユがいる
そこで、漁協の協力でとれているアユが放流されたアユで釣り残されたものか
ダム湖で世代交代しているのか調べた

参考にしたのは以下のもの
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水産と海洋 第15号 2009年8月発行

河川等での内水面漁業では,漁業権の免許にあたって放流などの増殖行為が義務付けられてます。アユでは,漁協が中
間育成した人工種苗や海産・湖産などの種苗を放流していますが,どの種苗がよく釣れたとかが常に話題となります。 
昔から体高が高い・痩せているなどの体型で,天然遡上・湖産アユ・人工種苗を区別する人も多いのですが,体型は漁場
のアユの密度と餌となるコケの状態で様々に変化します。そこで,試験研究機関などが調査するときには,アブラ鰭など
を切って標識放流し,再捕時に区別していますが,標識していない場合は,側線上横列鱗数(背鰭と側線の間の鱗の枚数,
図1,以下「鱗数」)を数えて判別できることを東大海洋研が報告しており,当センターでも利用しています。鱗数は,
湖産>海産>人工の順で少なくなります(背鰭前端部で計数した場合,湖産種苗:23 ~ 25,海産種苗:18 ~ 22,人工
種苗:15 ~ 18 枚)。ただし,背鰭の前側で多く,後側で少なくなるため,常に同じ位置から数える必要があり,最近で
は第3棘または第5棘から斜め下方に計数しています。
 漁期後半になるとアユも大きくなり,目をショボつかせる覚悟があれば数えられますが,7~ 10cm の稚魚の鱗を数
えるには,実体顕微鏡などで拡大し,針などをあてて数えていました。そのため,慣れない人が数えるのは大変です。
 最近の岩手県内水面水産技術センターの報告では,鱗をはがし薄めた墨汁で染めて実体顕微鏡で数えているとのこと
です。淡水魚支場時代に,「墨汁などで染めて数えやすくできないか」などといろいろと努力した研究員もいましたが,
デジカメの普及前で,鱗をはがす方法には至りませんでした。
 試しに,最も数が多いといわれる陸封アユ(椋梨川)を用い,計数する背鰭下部の鱗をはがし,デジタルカメラで接写
してみると,意外とハッキリと写っています(写真)。デジカメ画像だといくら小さな種苗でも拡大して印刷すれば,実
体顕微鏡や虫眼鏡で目をショボショボさせることもなく数えられそうです。また,画像を強調する処理を行えば,より
鮮明にみることができます。鱗数も,種苗の生産場やその年の生育環境によって多少増減するため,放流した種苗の鱗数
を記録しておくと後で参考となります。また,隣接する漁協の放流魚とも区別できる可能性が高まります。
なお,最近では,人工種苗に下アゴに分布する孔(下顎側線孔:天然魚は,概ね片側 4 孔)が少ないものが多いことから,
これで区別している水試もあります。

長良川のアユ日記(blog2007/6/28(木) 午後 4:54https://blogs.yahoo.co.jp/ayukichi_gujo_syokuryo/archive/2007/06/28より)
ハリで突いたような穴(下顎側線孔)が左右対称に4個並んでいるのが天然(2番目の写真)、
そうでないものが人工(3番目の写真、この場合は左右3個づつで整然としていない)というわけである。
人工の場合は左右の数が違ったりして一目瞭然のものが多い。

ちなみに1番目の写真の上のアユが天然で、下のアユが人工である。
ただし、海産の天然種苗や琵琶湖産の天然種苗を放流している場合は、天然遡上ものと同様に下顎側線孔は4個が対に整然と並んでいる。
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以上の方法で猪名川一庫ダム上流のアユが放流かダム湖産かを判定した。
今回とれたものはすべてダム湖産であることがわかった
多くのアユが海に戻らず琵琶湖のアユのように世代交代しているようだ


猪名川のアユ 

2018-08-09 | フィールドガイド--魚編--

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上の写真でどちらが放流のアユでどちらが天然のアユかわかりますか

 

(下)が放流のアユで(上)が天然アユです
外敵に取られないように迷彩色にかわるのが色がある理由
放流は、温室育ち、食べられる心配がないので銀色鱗で生活している
アユ料理の時 模様があれば天然アユ なければ飼育されたアユなので
わかります。
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2.猪名川とアユ
兵庫県川辺郡猪名川町にある大野山を水源地とする猪名川(43.2k m)と兵庫
県亀岡市を源とする一庫大路次川は、清流でアユにとってよい苔(ケイ藻やラン藻)
が生えており、それらを食んで育った、香りの良い天然アユが多数おり、大阪、神戸
から近いこともあり大勢のアユ釣り客が訪れ、また捕獲したアユを京都に売りに行っ
たり、アユ料理を出すアユ茶屋、アユ釣り客を泊める民宿を経営する等の漁業協同組
合員もおり、毎年6月から10月はアユ釣り客やアユの捕獲で大変にぎわっておりま
した。

3.アユの一生
(1)アユの寿命
 アユは年魚と言われ、1年でその一生を終わります。
(2)アユの産卵期
 ア アユの産卵期は9月~12月に河口近くで産卵し、産卵を終えた親アユは一
 生を終えます。
 イ 卵は直射日光が当たると死んでしまうため、太陽光が直接当たらないように、
 また、他の魚に食べられないようにするため石の裏側に石にくっついています。
(3)卵からふ化する期間
 水温で異なりますが、大体2~4週間です。
(4)海や湖で過ごす期間
 ふ化した稚アユは海や湖に行き、桜の咲く頃(川の水温と冬を過ごしている
 海や湖の水温が同じ温度になった時)に川を遡上します。
 鮭は生まれた川に遡上しますが、アユは今居る場所に近い川に遡上します。
(5)アユの川下り
 太陽の日照時間が短くなる9月ごろからアユは産卵のため川を下ります。
4.「鮎」の字の由来
 いろいろな説があります。
(1)アユは春先に海から川を遡上(そじよう)するため、その年の豊作、不作を占
 (うらな)う魚と書いて「鮎」と書いて「鮎」。
(2)アユは岩や石に生えるコケを餌にしており、その餌場を占拠する(約1m四方)
 するので、占める(しめる)魚と書いて「鮎」。
(猪名川漁協の冊子から)
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武庫川の魚

2018-07-11 | フィールドガイド--魚編--

野生生物を調査研究する会がまだ任意団体であったころ「生きている武庫が魚類編」を作りました。

その後、武庫川水系の魚は 1993年7月に当会で出版した 『生きている武庫川「魚類編」』を
もとにインターネットで発信しました。

CDにして教材として活用されるようにもしました

その本に使われていた画像と説明です。

<アブラボテ> コイ科タナゴ亜科アブラボテ属
全長4~7㎝ 支流の流れ口にある岸辺などに生息していたと思われますが、近年では確認されていません。
主にユスリカ幼虫などの底生動物を食べます。卵はヤリタナゴと同じで、淡水二枚貝に産み付けられます.

<オイカワ>コイ科ハエジャコ亜科オイカワ属
全長15㎝ 河川の中・下流域で開けた場所に多く見られます。泳ぎ回りながら付着藻類から水生昆虫・
落下昆虫などを食べます。冬は深みもしくは水生植物が茂っている場所に移動し、摂餌量は減少します。
武庫川では、しばしば水鳥などに食べられているようです。武庫川で最も多く確認され、汽水域を除く
ほぼ全域で見られる魚です。

<カマツカ> コイ科カマツカ亜科カマツカ属
全長20㎝ 河川の中・下流域にある砂や小石混じりの川底に多く生息しています。主に底生動物を食べる
雑食性で、少しずつ前進しながら砂とともにエサを吸い込んで砂だけをえらあなから出します。
おどろくと砂にもぐり、身をひそめて眼だけを出しています。

<カワムツ> コイ科ハエジャコ亜科オイカワ属
全長15㎝ 河川の中・下流域のおだやかな淵に多く見られましたが、近年では改修工事などによって深み
がなくなり、減少傾向にあるようです。岩などの間に隠れ、開けた場所にはあまり見られません。主に落
下昆虫・底生動物を食べていますが、付着藻類も食べます。武庫川では、よく見られる魚です。
現在A型、B型と分けられるようになりました。

<ギギ(ハゲギギ)> ギギ科ギギ属
全長30㎝ 河川の中流域に生息しています。石の下や水草などが茂っている所にひそみ、小魚・エビや
底生動物などを食べます。卵は、石の下面や石垣の中に産みつけられます。胸びれの刺と基底部の骨を
すりあわせて、ギ-ギ-と音を出します。

<スジシマドジョウ> ドジョウ科シマドジョウ属
全長8㎝ 河川の中・下流域にある砂底に生息しています。主にユスリカ幼虫などの底生動物やミジンコ
などの動物性プランクトンを食べています。武庫川では、1986年(昭和61年)以降確認されておらず、
環境などの変化に弱い魚なので環境の悪化が心配されています。


メダカを飼う

2018-07-07 | フィールドガイド--魚編--

メダカの飼育方法
メダカの飼い方は、様々なサイトで紹介されています。実際に飼われた上での紹介ですから、どれももっもな方法です。
 中にはサイトによって、まったく反対のようなことが書かれている場合があって、迷ってしまうことがあるでしょう。でも、本当はあまり神経質になる必要はないと思うのですが・・・
 
 メダカは本来、かなり強い魚です。水質に対する適応能力は非常に高いものを持っていると言えます。40度近くの高温にも耐え、河口付近まで流されて、塩分の含まれる水の中においても、メダカは生き残っていく力を持っています。さらに、個体によってもメダカの生命力は違っているように思います。つまり、強いメダカ(個体)はそう簡単には死なないということす。逆に言うと、弱いメダカは早い段階で死んでいってしまい、難しい言葉で言うと自然淘汰(しぜんとうた)されていくのだと思っています。実際、かなり乱暴な扱いをしてきたことがありますが、何があっても元気に生きてきたメダカ達がいました。

 ただし飼育下では、どのメダカも死なないように、大事に育てていきたいと思うのが人情でしょう。
 以下、基本的な飼い方の例を紹介していきますが、たとえ完璧な飼育をしたとしても、死んでしまう場合もあることは心に留めておいた方がいいと思います。一つ覚えておくといいのは、急激な環境の変化はさけるということでしょうか。

1リットルの水に、メダカ1匹
 バケツ・プランター・花びん・・、水が入ればそれほど制約はありません。複数のメダカを飼う場合には、1リットルの水に対して、1匹を目安にするとよいでしょう。あまり混雑しているようだと、けんかする事もあるので、ストレスとならないように余裕を持たせた方がいいからです。ただし、メダカを入れるのが1ペア(オス・メス各1匹)の場合のみ、1リットルに2匹でもいいでしょう。次に紹介するペットボトル水そうは、その組み合わせになっています。
 ちなみに200mlのビーカーという小さな入れ物に1匹のメダカを飼うことは可能です。産卵シーンを撮るために飼っていたメダカですが、長期の飼育でも特に異常はありませんでした。そのかわり、毎日こまめに水の管理をする必要はあります。

水の深さよりも、水面の広さ
 メダカにとっては深さよりも広さの方が、重要になります。メダカは水面のエサを食べるために、水そうの上の方を泳いでいることが多いのです。そのためにメダカの目は、顔の上の方についているでしょう? だからあまり深さは必要とはしていないのです。何よりも、空気と接する面積が広いほど、水中への酸素の取り入れがしやすくなるのです。

エアレーションはメダカのストレス
 メダカは平野部の浅い池沼、水田など水の流れのない場所や用水路など水の流れのゆるやかな場所に住んでいます。そのため、他の魚に比べると、あまり泳ぎが得意な方ではありません。そこで水そうの中に、強い水流ができてしまうと、メダカは常に泳ぎ続けなければならなくなります。酸素を補うために、水面の広い容器を使ったり、水草を入れてあげたりした方が、よりよい飼い方だと思います。

ペットショップのメダカは不健康なものも含まれる
 ペットショップでメダカを買っていく人は、2通りに分けられます。一つは純粋にメダカを飼おうという人。もう一つは大型熱帯魚のエサとして飼っていく人です。他の魚のエサになるメダカに、お店で腹いっぱい食べさせるようなことはしていないと思います。お腹のかなりへこんだメダカを見ることがあるでしょう。また、一つの容器に多くのメダカが入っているため、ストレスもかなりのものだと思います。したがって、飼ってきたばかりのメダカは、すぐに死んでしまいそうなものも多く含まれています。

水換えはこまめに少しずつ
 水そうの水換えは、週に一回1/4程度でよいと思います。ただし、バクテリアの状態が良ければ、もう少し間隔をあけても大丈夫でしょう。水そうの大きさやメダカの数によっても条件は変わってきますから、自分の水そうに合った水換えの仕方を見つけることが大切です。すべての水を入れ換えることは、よほどのことがない限りさけるべきです。
 なお、外で雨水があたるようなところで飼う場合は、特に水換えは必要ありません。

土のこと
 自然のメダカが住んでいる川の底は、泥でできています。流れの速くないところに住んでいるから、というと納得いくでしょうか。特にメダカが驚いた時には、水草の陰や泥の中に身を潜めることが多いのです。ですから、水そうの底に入れるのは、田んぼなどの土が適していることになりますが、管理上、なかなかそうはいきません。比較的手に入りやすく扱いやすいのが、赤玉土です。100円ショップで大きめのざるを買い、水洗いしながらゴミを取り除いてから使用するといいでしょう。赤玉土には小さな穴がたくさん空いているので、バクテリアも繁殖しやすくなります。

水草のこと
 水草は近くの川に生えているものでも十分です。水そうの大きさと相談しながら、キンギョモやホテイアオイを入れておくと、産卵の際に役立ちます。水質の向上を主に考えるだけなら、セリなどのスーパーで扱っている野菜でも代用できます。
一つの水そうで多くのメダカをまとめて飼育する方法もありますが、小学校などでは一人一人がペアのメダカを飼ってみるのもよいでしょう。そうすると、誰もがメダカと直接かかわり、生き物を育てるという責任も生じてきます。そうして育てたメダカが、待ってましたとばかりに餌(えさ)に集まり、卵を産んでくれたりすると、うれしいものです。自分で飼うことの楽しさをメダカはきっと教えてくれることでしょう。
 ここでは、ペットボトルを利用した、手軽なメダカの飼育方法を紹介したいと思います。

飼育方法の基本的な考え
○メダカへのストレスを考え、水深は5~7センチぐらい(深さよりも広さが重要)で、エアレーション(ブクブクさせるもの)はせず、ろ過装置(ろかそうち)は使用しません。メダカがつかれてしまいます。

○水かえは1月に1回で、2分の1ぐらいの量を交換(こうかん)します。

○メダカはオス・メス各1匹、またはメス2匹・オス1匹ぐらいにします。

手軽なメダカの飼育方法




○手に入れやすさ、大きさ、加工のしやすさから2リットルの角型ペットボトルを使用します。

○水そう内には赤玉土を入れ、メダカはオス・メス各1匹で、水草も入れておきます。

○ペットボトルには一ヶ所だけ穴をあけ、そこには横に穴をあけたプラスチック製のコップを差し込みます。
 ペットボトルにあまり開口部をあまり作らないのは、メダカの飛び出し事故を防ぐためです。
 なお、コップの部分はペットボトルよりも一段高くなっているので、そこから飛び出す可能性は低いと考えています。

○プラスチックのコップは二重にし、どちらにも下のほうにメダカが出入りできるような穴をあけます。
 これによって、二つのコップを回転させることで、中にメダカを閉じ込めたり自由に出入りさせることが出来ます。
 そして、このことは次のような利点があります。

水かえが容易である
 コップの中に毎日えさを与えていると、メダカはえさを入れてすぐにコップの中に入る習慣(しゅうかん)が身につくようになります。これを利用して、水かえの際には、事前にメダカをコップの中に閉じ込めてしまうとよいのです。
 後は流し台や机の角に持ってきて(下にはバケツを置く)、ふたを開ければ、自然と水は外に出て行きます。
 しかも、はじめの水位のちょうど半分ほどで、水の流失は止まってくれるのです。
 なお、水質的には1ヶ月に1回の水かえでも問題ないのですが、においが多少気になってくることがあります。その際には適当な間かく(早くて1週間くらい)で水かえをしていくとよいでしょう。

配偶行動(はいぐうこうどう)の観察が可能である
 水かえと同じ方法で、オスだけを閉じ込めることで配偶行動の観察が可能になります。メスではなくオスのほうを閉じ込めるのは、オスのほうがストレスに強いからです。
 
 配偶行動は明け方明るくなってくる頃におこなわれるので、観察するのはなかなかむずかしいものがあります。そこで、観察する前日に、オスとメスを引きはなしておきます。なお、観察の際にはコップは外に出してしまいましょう。


外来魚

2018-07-06 | フィールドガイド--魚編--

カダヤシ、オオクチバス、ブルーギルはもともと北アメリカに住んでいる魚で、それぞれ1916年、1925年、1960年に日本に輸入されました。カダヤシはボウフラ退治のため、オオクチバスとブルーギルはゲームフィシングのためそれぞれ特定の場所だけに放流されました。ところが、心ない人が持ち出し、あちこちで放流したため、日本各地の川や池沼に広まりました。特に、オオクチバスやブルーギルは魚のこどもや小動物を好んで食べるため、元からいた日本の魚が絶滅に危機に瀕しているところもあります。(生きてる揖保川より)

この本を作っているときはまさにバス釣りのピークだったように思います。

キャッチ&リリースということで、どの池にもバスがいるといったふうでした。

メダカが絶滅危惧種になるというころで、生きているシリーズの最初生きている武庫川からもこれらの魚は忘れず載せています。

「ゲームフィシングで用いる疑似餌に有毒物質が含まれていたり、鳥がそれをエサと間違えて食べてしまったという報告もあります。」と疑似餌の問題も載せていました。

画像の説明

ブルーギル(サンフィシュ科)全長約25cm。エラ(英語でgill:ギル)ぶたの後方に濃紺の斑点があるの

でこの名がつきました。ダム湖やため池などの流れのゆるやかな場所を好みます。水生昆虫、甲殻類、小魚、魚卵などを好んで食べます。

カムルチー(タイワンドジョウ科)全長約50cm。体側に2列の斑点がたてに並んでいます。ため池など流れがゆるやかで水草が生い茂っているような場所を好みます。魚や甲殻類など、動くものなら何でも口に入れてしまいます。

カダヤシ(カダヤシ科)

全長オス3cm。メス5cm。尻びれの形が違うのでメダカと区別が付きます。
アメリカ原産で、下流域の流れのゆるやかな用水路などに生息しています。イトミミズやカの幼虫などを食べています。“卵胎生(らんたいせい)”といってメスの腹の中で卵がふ化し、稚魚が直接生まれてきます。
メダカとよく似ていますが、尻びれの形がちがうので見分けがつきます。