野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

カイツブリ

2023-06-12 | フィールドガイド--野鳥--

カイツブリ

 

にほの海照る月かげの隈なくば八つの名所一目にも見ん(良寛)

八景が一目で見渡せる月夜を読んだ良寛の歌であるが、「にほの海」とはどこの海かご存じだろうか。

漢字では「鳰(にお)の海」とかき、「鳰」は和製漢字で、「水に入る鳥」を意味し、ニホとはカイツブリの古名。

そして「鳰の海」とは琵琶湖のことで、琵琶湖には古くからカイツブリが多かったのかもしれない。

この時期、琵琶湖の近江八幡の水郷巡りのさいに、カイツブリの親子がみられるとか。よく、カルガモと間違われることがあるが、カイツブリは潜水は得意だが、歩くのが苦手。

 

ヒナは自分で潜って餌をとれるようになるまで、親の後をおっかけをする。ごく小さいときは親の瀬に乗って移動したり、羽の下にもぐる様子がみられる。水郷めぐりでは、その様子が見られるの人気という。

しかし、いつも見られるとはかぎらないそうだ。

カイツブリの巣も独特で、「鳰の浮巣」とよばれるように浮く巣をつくる。

水草の枯れた茎や葉などをあつめてアシなどの茂みの間に作る。水上に浮くが流れ出さないように移動しないが、水量によって沈まないように上下には移動する。

俳句では「鳰鳥」カイツブリは冬の季語だが、「鳰の浮巣」は夏の季語になる。

たとえば、松尾芭蕉「さみだれの鳰の浮巣を見にゆかむ」 夏のカイツブリの様子を芭蕉は歌っている。

 

ちなみに、カイツブリは滋賀県の県鳥に指定されている。


カルガモ

2023-05-27 | フィールドガイド--野鳥--

カルガモ(カモ科)

 

もうすぐ、テレビのニュースなどでカルガモの親子の移動の姿が紹介される。

全長は、約60cm

主に湖沼や河川などの水辺で見ることができます。ときには学校のプールなどでも泳いでいる姿を見ることがあります。

 

カルガモは雌雄とも一年を通して黒褐色で、くちばしの先端の黄色が目立つ鳥です。

カルガモは、北海道を除き1年中日本で見られます(留鳥)。

しかし、標識調査によりサハリンや中国大陸に渡るものがいることが明らかになっています。(バードリサーチニュース 2006.10.13)

グエッ,グエッと響き渡る声で鳴きます。

草の葉・茎・種子や小型の無脊椎動物などを食べます。

 

カルガモの繁殖期は4〜7月。巣は草むらや藪の下などに作ります。

巣作りや抱卵はメスだけが行ないます。 26~28日でヒナが孵化します。

ヒナが孵化すると、そのまま親について行動することができるのですぐに巣から移動をはじめます。

ご存じのように移動の様子がテレビなどで紹介されるのこのときです。

 

カルガモでは主にイネを食べるので、水稲の直播、田植え、登熟期に被害をあたえることがあります。

 

繁殖期はつがいとなって分散して生活していますが、冬は群れを作ります。

最近では、野生化したアヒルとの雑種なども観察されてきているそうです。


シラサギ

2023-05-25 | フィールドガイド--野鳥--

シラサギ 

 

田植えの終わった田んぼが増えてきました。

田に水が入りしろかきが終わった田に、アオサギやシラサギがえさをさがしています。

 

ほかに川などでよく見かける首と足が長い白い鳥、一般に「シラサギ」と呼ばれていますが、実際に「シラサギ」というサギはいません。これらはまとめて名づけられた名前です。

 一年中日本で見ることができる「シラサギ」はコサギとダイサギです。コサギは足の指が黄色いのでダイサギと大きさ以外で区別がつきます。ダイサギはコサギに比べずっと首が細く長く見えます。

 

 夏にはチュウサギとアマサギが南から渡ってきます。チュウサギはダイサギより少し小さく、コサギよりは大きな「シラサギ」です。足は黒いのでダイサギとよく似ていますが、よく見るとくちばしが体や頭に比べてダイサギより短く見え、頭の長さと同じかそれより短く見えます。ダイサギは頭の長さより少し長く見えます。アマサギは成鳥の夏の羽はくちばしや頭から首、胸にかけてだいだい色ですが、若くて夏の羽への生えかわりが遅いものは頭から胸も白い色をしています。これもよく見るとくちばしや首が比較的、太いのでチュウサギなどと区別ができます。

 

 ダイサギやコサギは川や田んぼ、池、河口などで見ることができますが、チュウサギやアマサギは田んぼや草地でよく見られます。餌の採り方はさまざまで、川のそばで待って、近くに来る魚を採るものや足で魚を物かげから逃がして採るもの、歩きながら探して採るもの、田んぼや草地でトラクターなどが通って、おどろいて出てきた昆虫やカエルを採るものなど、種類によってよく使う採り方が多少違っています。


土喰って虫喰って口渋い ツバメ

2023-04-12 | フィールドガイド--野鳥--

ツバメ

「土喰って虫喰って口渋い(つちくって むしくって くちしぶい)」

ツバメのさえずりを、人間の言葉に当てはめると「「土喰って虫喰って口渋い(つちくって むしくって くちしぶい)」という言い方をします。(聞きなし)

ウグイスを「ホーホケキョ」というのと同じです。

ツバメはオスメス同色ですが、見分け方は尾が長いのがオスです。

 

ツバメが春になるとあらわれるのはどうして?

 

ツバメは 3月から5月頃 に空をすいすい飛び回るのを見かけるようになります。

ツバメは冬の間、フィリピンや台湾、マレー半島やオーストラリアにいて、春になると、日本にやって来る渡り鳥です。

どうして、春になると日本にやってくる理由は、エサと産卵のためです。

夏の熱帯地域では日本などの温帯のほうがツバメにとってはトンボ、ハエ、蚊、蝶、蛾、またはこれらの幼虫などのエサを捕まえやすいのです。特に産卵をして子育てをはじめるとたくさんのえさが必要です。

ツバメは蛇やほかの鳥、獣などの外敵が少ない場所を産卵場所に選びます。

襲われないために、産卵の場所を人が住んでいる近くに巣を作ることにしています。

材料は泥とわら(枯草など)。そして、自分の唾液を混ぜてつくります。

同じ場所にやってきて巣をつくるので、去年いたツバメがもどってきたをいわれますが、大阪市立自然史博物館の報告ではその確率は大変低いとか。

ツバメが巣を作る家は幸運が訪れるといいます。昔から日本ではツバメを大事に見守ってきました。

 

子どもたちと観察するとき 「おなかは、何色」「背中の色は」「顔の色は」と具体的聞いてあげると集中して観察するようになります。

 

ツバメが巣を作り、ひなを育てる姿を見かけると親鳥がどんな虫をヒナにあげているか、観察してみましょう。食べこぼしたものを見ると蚊やアブ、ハチ、ガ、チョウ、トンボなどの様々な飛ぶ虫を食べることがわかります。

卵をあたため始めてから約2週間で、ヒナがかえります。さらに3週間ほどで、ヒナの羽が生えそろい、巣立ちを迎えます。およそ一か月で巣立ちを観察できるので、子どもたちが継続して観察することができます。(それが短いか長いかは子ども次第ですが)

ツバメは春から夏にかけて、2~3回子育てをします。見逃しても、来年ではなくすぐやり直すことができるで、その点もよいところがあります。

 

阪神間ではツバメは人家より電車の駅の構内で巣を作り、ひなを育てる様子が見られます。軒下のある家が少なったせいでしょう。カラスが巣をおそうので、地下の改札の付近に巣を作りカラスが近寄らない場所を探して作っています。

 

環境の視点から、ツバメは昆虫をえさにしているため、自然界のバランスをとる役目もになっています。環境が悪くなると産む卵の数も少なるそうです。そんなところも、子育ての様子をかんさつしたときに考えさせるとよいかもしれません。


春の歌のはじまり森もにぎやかに

2023-02-22 | フィールドガイド--野鳥--

先日の暖かい日、もうヒバリの「さえずり」をきくことができました・

近くの公園では、5月の若葉の開くころまで、野鳥の姿を観察するのにいちばん楽しい時期です。

春の繁殖期に向けて、求愛やなわばりの主張のため、鳥の声が「地鳴き」から「さえずり」に変わってきてにぎやかになります。

「野鳥の声を覚えたい。」ちょうど今からが良い季節です。

とくに、里山を公園にした場所では、いつもこの森で暮らしているカラ類やキツツキなどの留鳥の声を聴くことができます。

里山の野鳥の声が聴き分けられると、春になって移動してくる夏鳥の声も、いつも聞くのとは違ってきけるでしょう。散歩でであえる野鳥たちのさえずりを聴きながら歩くのが楽しみな季節になりました。


キジ

2019-03-24 | フィールドガイド--野鳥--
キジ
写真は雄。キジの足に「ケリヅメ」と呼ばれる鋭い牙のようなものがある。縄張り争いをするときにこれを使って闘う。
オスの頭の赤い部分が繁殖期になるとハート型に。
メスはハート形の膨らみが大きいほど、強くてたくましいオスと判断しているようだ。
 
キジは日本の国鳥。国鳥に選ばれたのは1947年。日本固有種。
なのに、狩猟の対象にもなっている。国鳥が狩猟対象になっているのは日本だけ。
しかし、メスは獲ってはいけないことになっている。
ユーラシア大陸が原産地であるコウライキジが狩猟目的で放鳥され、野生化している。
コウライキジには首に白い模様があり、冠羽と体色が全体的に茶褐色が特徴。
 

2012年1月29日(日) 「京都御苑で野鳥の観察」

2019-02-13 | フィールドガイド--野鳥--
2012年1月29日(日) 「京都御苑で野鳥の観察」
今日は京都御苑で野鳥の観察です。地下鉄烏丸線「丸太町駅」下車徒歩一分、京都御苑は、京都御所、仙洞御所を囲む面積約65haの公園で、手入れの行き届いた自然が残されています。四季折々の京都御苑の自然の情報はこちらへ。
大きな木があり、人の目線から見上げると高い建物や電線、人工の建造物はほとんど目に入りません。これなら野鳥もたくさん観察できそう。ただ大きな木が多いのでてっぺんにとまっている鳥は小さくて確認が大変。
「これが見られたら今日の目的は達成です」とK先生がおっしゃったイカル。最初に見つかりました!このメンバーは強運の持ち主ばかりかも?大きなくちばしは硬い木の実を割って食べることが出来ます。
もう一枚、イカルです。遠かったので画像を無理やり切りだし、ちょっと粗いです。
カワラヒワ。これもこずえのてっぺんに居たのを何とか撮影、切り出しました。同じく粗いです。曇天で安い300mmのレンズで野鳥の撮影は厳しいものがありますね~。
ビンズイがたくさんいました。地面の上を歩きながらお食事中。
ハクセキレイ。スタイルのよい鳥ですね。
セグロセキレイ、後ろから失礼!
頭とくちばし、しっぽの形からエナガではないかと・・・。ほとんど真っ黒に写っていたのを画像処理しましたが、なんせ角度が悪くて確実ではありません。
シジュウカラ。かなり近くまで寄れたのですが動きがすばしっこくてなかなか全体を写すことができませんでした。
ヤマガラ。この子も木の幹をグルグル回って、出てきたと思ったらすぐ隠れてしまいました。何とか一枚、パチリ。
スズメが一斉に丸い刈り込みの上に飛んで行きました。おりしも小雪が舞ってきて刈り込みに一斉に避難?の感がありました。といってもここも雪の降る場所ですが。
池に居たマガモのしっぽ。先端がくるりと巻いています。自然観察が大好きなIさんに教えられて初めて知りました。
観察は午前中で終了。この後四条河原町まで歩いて、おいしいおうどん屋さんで昼食、そして老舗のコーヒー店でお茶。
温まったところで鴨川べりを四条から三条まで往復して水鳥を観察しました。
マガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、コガモ、コサギ、アオサギ、セグロセキレイ、ユリカモメ、カワウなどを観察、帰宅の途に着きました。
(ナチュラリストクラブhpより)

ヒドリガモ

2019-02-10 | フィールドガイド--野鳥--
今週のこれだけはおぼえよう
 カモの雄の羽の色
 
  10月も中ごろを過ぎれば、シベリアなどから渡ってきたカモが池などで見られるようになります。
 渡ってきて間もない時期に、カモをよく見ると真冬のような目立った姿をしていません。よく知られているカモの雄はあざやかな色の羽ですが、この色の羽はじつは冬だけのもので、夏は雌と似たような地味な色の羽に生えかわっているのです。だから、日本に来た始めのころは、冬のあざやかな色の羽へとかわっていく途中であるため、地味な色の羽をしているのです。
 あざやかな色の羽はつがいを作るために役に立っているといわれています。カモは冬に日本でつがいを作ってから、子育てをするためにシベリアなど北へ向かいます。そのため、冬の間の雄の羽の色はあざやなのです。しかし、一年中この羽の色だと、自然ではよく目立って、カモを食べる敵に捕まえられやすくなってしまうので、雌と似たような地味な羽の色に生えかわるのです。冬の間は目立つので、敵を発見しやすく、また、ぎせいも少ないようにちがう種類のカモとも群れを作って、身を守っています。
 羽が生えかわるのはすぐにはかわりません。日本に来始める時期では、まだ生えかわりが終わっていません。日本で少しずつあざやかな色の羽にかわっていきます。雄が地味な茶色がまざった色の羽があざやかな色の羽になっていく様子を見てみてください。
 
 

コゲラ

2019-02-09 | フィールドガイド--野鳥--
日本の各地で見られるキツツキ
~コゲラ~
 
「日本にキツツキがいる?」と聞いて首をかしげる人がけっこういます。「でもキツツキという名前の野鳥を聞いたことがないぞ」そうなんです。キツツキの仲間にはキツツキという名前が付いている野鳥はいません。日本で見られるキツツキの仲間には、みんな~ゲラという名前がついています。アカゲラ、ヤマゲラ、アオゲラ、コゲラなどの仲間がいます。これらの中でも一番小さいのがコゲラです。(日本で一番大きなキツツキは北海道と東北にいるクマゲラというキツツキです。)キツツキは名前のとおり「木をつつき」ます。このことをドラミングと言います。
 コゲラは体長15cmぐらいでスズメと同じぐらいの大きさです。元々山地に多く見られた鳥ですが、近年、市街地の公園でも見られるようになってきました。
 秋になるとシジュウカラやエナガの群れに混じって見られる事が多いです。鳴き声は「ギィー」と鳴きます。
 キツツキの仲間はドラミングといって木の幹を嘴(くちばし)でたたきますが、コゲラもドラミングをします。街の公園などでドラミングの木をつつく「トントントン」という音が聞こえたらコゲラだと思ってください。
 ドラミングをする目的は木の中にいる虫を取り出して食べたり、木の幹に穴をあけて繁殖用(はんしょくよう)の巣にしたりすることです。

観察道具

2019-02-06 | フィールドガイド--野鳥--

野鳥観察で使う道具
 野鳥観察で使う道具は三つあります。野鳥図鑑、双眼鏡と望遠鏡(一般にフィールドスコープとよく言われています)です。野鳥図鑑はいろいろなものが出回っていますが、常に持ち歩けるハンディタイプの物がよいでしょう。日本野鳥の会が入門用に出している「野鳥観察ハンディ図鑑 新山野の鳥」と「野鳥観察ハンディ図鑑 新水辺の鳥」が一番よいでしょう。野鳥図鑑は家に置いておくのではなく、野鳥観察には必ず一緒に持ち歩くようにしましょう。野鳥図鑑がない場合は野鳥観察会で配られる資料等を参考にしましょう。
双眼鏡は倍率が8倍~10倍ぐらいまでの物が見やすくて使いやすいです。双眼鏡があればもっと大きく鳥を見ることができ、その鳥がどんな色でどんな模様かなど、こまかな特徴がわかります。また、鳥が何をしているかなどもよくわかります。双眼鏡はピントをきちんと合わせて、両目で見るようにしましょう。
ガンなどの警戒心が強く近づけない鳥や、池の奥の方にいるカモなど遠くにいる鳥を見るには望遠鏡が必要になります。望遠鏡は機器によって40倍~60倍ぐらいまでの倍率があり、双眼鏡では見えにくい細かいところを大きく、くっきり見ることができます。しかし、操作が少し難しく、見たい場所に照準を合わせるには慣れが必要です。
 
(生きている大和川より)