初めて子どもだけで旅行に出かけたのは高校2年生の夏休みでした。
友人3人と2泊3日で山陰地方への旅です。
17歳の高校生、当時カニ族といわれたリュックスタイルで、わくわく感いっぱいの旅行でした。
京都から天橋立、山陰線で鳥取へ。
鳥取では、砂丘を素足で歩き、日本海をバックに記念写真を撮りました。
4人とも高校生らしい若さと笑顔があふれています。
宿泊した国民宿舎からは、イカ漁の漁り火がきらきらと美しく見えたことを覚えています。
大山にも行きました。よく晴れた日だったはずです。
そこから島根県松江市、出雲大社へ行きました。
どの場所も、風景が走馬燈のように鮮やかに浮かんできます。
初めての旅行だったからです。自分で立てた行程だったからです。
自分で費用を捻出したからです。若かったからです。
出雲大社の御利益か、すぐ赤い糸の人に出会ったからです。
鳥取県、それ以来訪ねていません。でもきらめく漁り火が宝物。
いっしょに行った友人の一人は、25歳で逝ってしまいました。脳腫瘍でした。
薬学部に入りお医者さんの卵との結婚も決まっていたのに、病に勝つことはできませんでした。
私の結婚祝いにと贈ってくれたクッションは、手作りでした。
細かいクロスステッチを施したペアのクッションは、体調のよいときに病院で作っていたと、彼女の母親が語ってくれました。
今ではぺちゃんこで見る影もありませんが、鳥取砂丘や大山の雄大な景色とともに大切な思い出です。