のり巻き のりのり

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ムクロジの木

2016年10月27日 | 愛しき植物
用事で出かけた途中、近くの古刹に立ち寄りました。
別名「あじさい寺」といって、6月にはあじさい祭りで有名なお寺です。

境内は美しく整備されていて、ふだんは参拝者も少なく落ち着いたたたずまいをみせています。
色褪せた漆が年代を感じさせる塔は、室町時代の建立です。

市の重要文化財に指定されている建築物が、なにげにあるのがいい。
一人で絵を描きに来たこともあります。



門をくぐり塔の脇を折れて、あじさいロードを進みました。
ゆかしうつくしの名がつけられているあじさいも、今は葉のみで冬眠に備えているところです。

今日は「ムクロジ」に会いに来ました。ずいぶん久しぶりです。



この木も市の重要文化財になっていて、幹の周囲が2.5mほど高さ10m以上の高木です。
15年ほど前、初めて出会ったのは11月だったはず。黄色い固い実がぽろぽろといっぱい落ちていました。

手に取り持ち帰って調べたら、ムクロジの実は石鹸の代わりになるということが分かりました。
また、中の黒い種ははねつきの玉に使われることを知りました。
さっそく手のひらの上で水をつけ、こすってみるとちゃんと泡が出てくるではありませんか。楽しい経験をしました。

「無患児」と書いて「ムクロジ」と読みます。
病気にかからないようにとの願いを込めて、女児の遊び道具に使ったという昔の人の思いに、いたく感動したものです。

今日、見上げると実はまだ木の上の方についています。





下に落ちているのが10個ほどあったので拾ってきました。
かちんかちんの実です。ふるところころと音がします。



聞くところによると、お寺さんはこの実を使って数珠を作るとか。だからあまり落ちていないのかなと思いました。
多くの人の願いが込められていくのでしょうか。

再び見上げると、一面澄んだ秋空が広がっていました。古代から続く空のようです。
おばあちゃんから孫娘へ贈ります。「ムクロジの木」の歌を。







ダイアモンド☆ユカイ「ムクロジの木」/Diamond☆Yukai「Mukurojinoki」