子どもの言葉はストレートでときに残酷だ。
「しわみーつけ!」
自分の子どもや孫に言われたら何とも思わなくても、そうでない子どもに言われたら?
子どもの目には20代、30代前半までは若い、あとはみんなおばさんにみえるらしい。
見かけ年齢不詳な人が多くなってなおさらだ。
「なんだこいつ、失礼な。げんこつをくれてやろうか!」と心の中で毒づきながら、にんまり作り笑いで答える。
「あーら、よく観察したわね。すばらしい。でも、正しくはしわじゃなく、顔の年輪って言うの。
木のもようのようなものです。お菓子でいうと、バームクーヘンみたいなもの。食べたことあるかなバームクーヘン」
「あるある、バームクーヘン。うずまきみたいになってる」
「そうそう、線が入ってるよね、あれあれ。」「そんなもんくーへん」
いつのまにか、子どもの頭にはお菓子のイメージが広がっている。
煙にまき、はぐらかす技は、お手のもの。年輪を重ねたればこそだ。
子どもにとって、60代、70代、80代の人は別世界の人間である。
90代、100歳代ともなれば宇宙人だ。宇宙人と仲良くできるのも子どもなのだが。
73歳から絵を初め、80,90、100歳と極めた絵。ニューヨークで個展を開いたり、世界旅行をしたり、
113歳の今も、詩吟、かるたなどに意欲をもやしているスーパーおばあちゃんだ。
はつのおばあちゃんの描く絵は、畳サイズの大きな絵で、懐かしくやさしさいっぱいである。
赤やピンクの服が大好きでおしゃれ度も満点だ。
まさに年輪を重ねた笑顔が美しい。はつのさんから見れば子どものような60代、70代
「高齢者」「准高齢者」の定義で物議をかもしたように、日本語もすこしずつ変わっていくのが自然だろうか。
「シワ」→「年輪」とくれば深みが増しそうである。