今から2クール前の日本テレビのドラマ『世界一難しい恋』を見ていて、
ラブコメディというジャンルの伝説的な漫画『めぞん一刻』を思い出し、読み返し始めました。
童心の残る男性と融通の効かない女神さまの恋物語という点や、
男性の相談にのり、アドバイスを授けてくれる男女、完璧なライバル、
キューピッドになるおじいさん(おばあさん)の存在等、似ている部分もあり、
もちろん違っている部分の方が多いのですが、懐かしさを感じながら毎回見ていました。
でも、何よりそっくりな感覚は、次の回が待ちきれないという焦燥感です。
こんなに楽しい思いをもらって、『世界一難しい恋』の制作者のみなさん、
出演者のみなさん、音楽担当のみなさん、その他のみなさんに感謝です。
見ててとても幸せでした。
そして、『世界一難しい恋』が終わって数ヶ月経つのに、
今でもずっと『めぞん一刻』にはまったままです。
一刻館というアパートを舞台に、夫と死別した若い美人の管理人さんとアパートの住人である受験浪人の、
単行本で15巻に渉る物語(ストーリー)です。
初めはかなりふざけたギャグ漫画だったのに、
最後には漫画史上、というか文学史にも残るような感動的なシーンが待っています。
生真面目な管理人さん(響子さん)は、浪人さん(五代さん)を好きになることで、
亡くなった夫への愛情が嘘だったことになるのではないか、と悩んでいます。
五代さんは、長年の恋心を実らせることができ、響子さんと結ばれます。
響子さんは、五代さんとの結婚を前に、前の夫(惣一郎さん)を自分の心から追い出そうと苦しみます。
五代さんは、惣一郎さんを忘れられない響子さんを見て、複雑な心境です。
そして、感動的なシーンが始まります。
五代さんが惣一郎さんのお墓の前で、亡き惣一郎さんに語りかけます。
響子さんに忘れられない記憶を残した惣一郎さんをねたましいと言った後、
「...忘れるとか...、そんなんじゃないな...」
「あなたはもう響子さんの心の一部なんだ...」
「初めて会った日から響子さんの中に、あなたがいて...、そんな響子さんをおれは好きになった。だから...、」
「あなたもひっくるめて、響子さんをもらいます。」
この言葉をお墓の陰で聞いていた響子さんは心の中で惣一郎さんに語りかけます。
「あたしが、この人(五代さん)に会えたこと、喜んでくれるわね。」
忘れることのできない、忘れたくない思い出とどう向き合うのか。
新しい一歩を踏み出すとき、その思い出との距離をどうとったらいいのか。
本当のことは一つしかないと思っている響子さんは、
新しい本当のことを迎えるに当たって、その思い出を心から追い出そうと考えます。
一方で、このシーンよりずっと前、
惣一郎さんへの思いが唯一の本当のことだった頃の物語の中、
響子さんは、惣一郎さんとの記憶が薄れていくことに強い罪悪感を感じていました。
そんな響子さんの心は、
五代さんの「あなたはもう響子さんの心の一部なんだ...」という言葉によって救われます。
無理に追い出す必要もなければ、
記憶が薄れていくことに罪悪感を感じる必要もない。
ありのままでいい。
(けじめをつけたい、と本気で思うのであれば、さようならをしてもいい。)
どんなに記憶が薄れても、心の一部になっている人は、失われることはない。
思い出を傷つけることなく、安心して忘れることができる。
このシーンで作者は、そんな考え方を提示しています。
そういえば、同じ作者(高橋留美子さん)の作品で『忘れて眠れ』というものがありました。
あんまり関係ないか...。
『めぞん一刻』その2へ続く。
ラブコメディというジャンルの伝説的な漫画『めぞん一刻』を思い出し、読み返し始めました。
童心の残る男性と融通の効かない女神さまの恋物語という点や、
男性の相談にのり、アドバイスを授けてくれる男女、完璧なライバル、
キューピッドになるおじいさん(おばあさん)の存在等、似ている部分もあり、
もちろん違っている部分の方が多いのですが、懐かしさを感じながら毎回見ていました。
でも、何よりそっくりな感覚は、次の回が待ちきれないという焦燥感です。
こんなに楽しい思いをもらって、『世界一難しい恋』の制作者のみなさん、
出演者のみなさん、音楽担当のみなさん、その他のみなさんに感謝です。
見ててとても幸せでした。
そして、『世界一難しい恋』が終わって数ヶ月経つのに、
今でもずっと『めぞん一刻』にはまったままです。
一刻館というアパートを舞台に、夫と死別した若い美人の管理人さんとアパートの住人である受験浪人の、
単行本で15巻に渉る物語(ストーリー)です。
初めはかなりふざけたギャグ漫画だったのに、
最後には漫画史上、というか文学史にも残るような感動的なシーンが待っています。
生真面目な管理人さん(響子さん)は、浪人さん(五代さん)を好きになることで、
亡くなった夫への愛情が嘘だったことになるのではないか、と悩んでいます。
五代さんは、長年の恋心を実らせることができ、響子さんと結ばれます。
響子さんは、五代さんとの結婚を前に、前の夫(惣一郎さん)を自分の心から追い出そうと苦しみます。
五代さんは、惣一郎さんを忘れられない響子さんを見て、複雑な心境です。
そして、感動的なシーンが始まります。
五代さんが惣一郎さんのお墓の前で、亡き惣一郎さんに語りかけます。
響子さんに忘れられない記憶を残した惣一郎さんをねたましいと言った後、
「...忘れるとか...、そんなんじゃないな...」
「あなたはもう響子さんの心の一部なんだ...」
「初めて会った日から響子さんの中に、あなたがいて...、そんな響子さんをおれは好きになった。だから...、」
「あなたもひっくるめて、響子さんをもらいます。」
この言葉をお墓の陰で聞いていた響子さんは心の中で惣一郎さんに語りかけます。
「あたしが、この人(五代さん)に会えたこと、喜んでくれるわね。」
忘れることのできない、忘れたくない思い出とどう向き合うのか。
新しい一歩を踏み出すとき、その思い出との距離をどうとったらいいのか。
本当のことは一つしかないと思っている響子さんは、
新しい本当のことを迎えるに当たって、その思い出を心から追い出そうと考えます。
一方で、このシーンよりずっと前、
惣一郎さんへの思いが唯一の本当のことだった頃の物語の中、
響子さんは、惣一郎さんとの記憶が薄れていくことに強い罪悪感を感じていました。
そんな響子さんの心は、
五代さんの「あなたはもう響子さんの心の一部なんだ...」という言葉によって救われます。
無理に追い出す必要もなければ、
記憶が薄れていくことに罪悪感を感じる必要もない。
ありのままでいい。
(けじめをつけたい、と本気で思うのであれば、さようならをしてもいい。)
どんなに記憶が薄れても、心の一部になっている人は、失われることはない。
思い出を傷つけることなく、安心して忘れることができる。
このシーンで作者は、そんな考え方を提示しています。
そういえば、同じ作者(高橋留美子さん)の作品で『忘れて眠れ』というものがありました。
あんまり関係ないか...。
『めぞん一刻』その2へ続く。