仕事と生活の授業(続き)

前に作ったホームページは、あまり読まれないようなのでブログで再挑戦です。

15.『めぞん一刻』 1980年-1987年 高橋留美子 その3

2016年10月23日 | マンガの感想

 高橋留美子さんの代表作はなんでしょう。


 『うる星やつら』

 『めぞん一刻』

 『らんま1/2』

 『犬夜叉』

 『境界のRINNE』


 世代によって違いますよね。


 子供の頃『うる星やつら』をテレビアニメで見て好きになりました。


 下の息子はテレビで『境界のRINNE』を楽しそうに見ていますから、

 親子二代で高橋先生のお世話になっています。


 私は、『うる星やつら』は高橋先生の世界観だけでなく、

 テレビアニメを作っていた押井守さんの演出が好きだったんだと思います。

 (なぜか牛丼にこだわっているシーンの記憶が残っています。

 高橋先生は、押井さんの演出を認めていないんですよね。)


 映画版『うる星やつら・ビューティフルドリーマー』は映画館で見て、

 何かすごいものを見たという感じでした。


 夢と現実、現実と物語をすり替えて、

 何がなんだか分からなくなる不思議な映画でした。

 (押井ワールド全開でしたね。)


 そういえば、この映画こそ、

 なぜか人を引きつけるテーマ:

 「終わらない夏休み」

 「永遠の夏休み」

 を扱った作品の代表選手です。




 高橋先生の作品の中では、

 他のSFチックな作品と一線を画しているのが『めぞん一刻』です。



 ラブコメディというジャンルの名作です。



 でも、連載開始当初は、

 どちらかというとラブコメディというよりは

 ギャグ漫画でした。



 連載が始まった頃(1980年)は、

 アパートもの(下宿もの)の伝説的なギャグ漫画

 『マカロニほうれん荘』(1977-79年)の強烈なインパクトが残っている時代で、

 高橋先生流の『マカロニほうれん荘』を目指していたんではないか、

 と私は思っています。


 それが、いつの間にか主人公二人の恋愛がメインのラブストーリーになっていました。


 とは言っても、ストーリーはあるようでないような感じで、一言で言うと、


 一刻館というアパートのちょっと変わった住人たちが、

 主人公二人の恋路を肴に宴会を繰り返すという話です。


 (一言で言えてしまった。)




 主人公の若者=五代くんは、

 高嶺の花である響子さん=管理人さんへの恋愛を成就するために、

 住人にいじられながらも懸命に前に進もうとします。


 読者は、そのがんばる姿に感情移入してしまいます。


 五代くんと響子さんは、些細な誤解で相互不信に陥り、

 喧嘩を繰り返します

 (といっても一方的に響子さんが怒るだけですが)。

 今はやりの「すれ違い」ですね。



 主人公二人の関係は、

 女神さまと僕(しもべ)の構図になっています。

 普段穏やかな女神様が僕の忠誠心に疑いを感じると、

 誰も止められない怒りの神様に変貌します。


 住人たちは、その怒る女神さまを、

 なだめたり、逆に怒りを煽ったりしながら、

 二人を肴に宴会を盛り上げて楽しんでいます。


 その住人たちの行動が、

 二人のもつれた関係を解きほぐしたり、

 逆にややこしくしたり、

 と物語の進展を促す進行役となっています

 (狂言回しって言うんですかね)。



 とても不思議な五代くんの隣部屋の住人である四谷さんは、

 強烈な個性を持っていて、

 『マカロニほうれん荘』の膝方歳三さんを思わせます。


 そうなると、一ノ瀬さんが、金藤日陽さんになるのかな?


 (当時『マカロニほうれん荘』はもの凄いインパクトのある作品だったんですよ。)




 (荒れ狂う)女神さまと僕(しもべ)という関係は、

 文学作品の定番です。


 エミリー・ブロンテの『嵐が丘』、

 トルーマン・カポーティの『ティファニーで朝食を』がそうですね。

 あと、サン=テグジュペリの『星の王子さま』の薔薇と王子さまの関係もそれです。


 女神さまと僕(しもべ)という不自然な関係しか結べない

 不器用な男女の

 「すれ違い」を描いた作品達です。



 「すれ違い」が感動を生むんですね。





 その4に続きます。
コメント
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