宮城谷の『三国志』も第11巻。いよいよフィナーレである。
曹叡亡き後の魏では養子の幼帝が立ち、曹爽と司馬懿が幼帝を後見することになるが、権力の独占をめざす曹爽が司馬懿を排除しようとする。危険を感じた司馬懿は病気を理由に参内せず、権力奪取のチャンスをねらい、曹爽らが王宮を出た直後にクーデターを起こし実権を掌握し曹爽らを処刑してしまう。魏は実質司馬一族の支配する国に代わる。呉では孫権が老齢になり、様々な問題が発生する。孫権が死ぬことにより、三国志を彩った3人の英雄はすべて姿を消し、代が変わった三国(魏、蜀、呉)の争いが続く。司馬懿なきあとの魏は司馬師が引き継ぐ。この小説は、「司馬師の弟である司馬昭は、安東将軍として許昌を守っていたが、蜀の姜維を征伐するために召還された。ここで、司馬昭暗殺未遂事件が生ずる。そのことが兄の司馬師に、最後の大掃除、を決行させるのである」と締めくくられている。「最後の大掃除」とはなんだったか?考えざるをえない。「三国志演義」をもとにしたといわれる吉川『三国志』をもう一度読んでみる必要があるようだ。