2013.03.13
【スクープ最前線】潜行する中国の「日米離反工作」 民主政権のツケも大きく…
3度目の核実験を強行した北朝鮮に対し、最大の友好国である中国が態度を激変させている。国連安全保障理事会で、米国と協調して制裁強化決議を全会一致で採択させたのだ。米中接近の背景として、日中対立を見据えた「日米離反工作」が指摘されている。安倍晋三首相は、この事実を知っているのか。ジャーナリストの加賀孝英氏による衝撃リポート。
米韓両軍は11日から、合同軍事演習「キー・リゾルブ」を開始した。北朝鮮軍が総攻撃を仕掛けてきたとの想定で、韓国軍約1万人、米軍約3500人が参加している。
これに対し、北朝鮮は「戦争演習だ」と反発し、「朝鮮戦争の休戦協定を白紙化する」と宣言。「第2次朝鮮戦争も辞さず」「核攻撃でソウルだけでなくワシントンも火の海にする」と威嚇するなど、朝鮮半島は緊迫している。
非常警戒態勢にある韓国政府の関係者がいう。
「北朝鮮は、日本海と黄海に船舶と航空機の航行・飛行禁止区域を設定し、潜水艦と上陸用小型特殊潜航艇も出動させている。米韓に圧力を加えるために、ミサイル発射と4度目の核実験を同時に行う動きもある」
「次の核実験は、広島・長崎原爆の数倍の威力があるブースト型核分裂爆弾(水素爆弾の前段階)を使うとみられる。地下核実験場を覆う土壌まで吹き飛ばされ、放射性物質が広範囲に拡散する危険がある」
実は、朝鮮半島危機の前後、中国は「日本を出し抜く」ために、驚くべき外交戦術に出ていた。以下、旧知の米国防総省関係者の話だ。
「制裁決議が採決されたのは、中国が北朝鮮擁護の姿勢から一転して、米国と共同歩調を取ったことに尽きる。ホワイトハウスも『中国は変わった』と評価している。中国の存在感はますます無視できなくなった」
「最も驚いたのは、中国が非公式ルートで、北朝鮮の極秘情報を提供してきたこと。金正恩体制の内情や軍の動向、金正恩第1書記の叔母である金敬姫政治局員の病状などで、初めてだ」
そして、こう続けた。
「中国の狙いは、米国に『米中二大国』時代を認めさせ、協力体制を構築すること。つまり『米中接近』だ。オバマ大統領以下、第2期政権の中枢は『沖縄県・尖閣諸島は、主権問題は棚上げし、日中双方が話し合いのうえで共同開発がいい』に傾きつつある」
対中強硬派だったヒラリー前国務長官の後任には、親中派として有名なケリー国務長官が着任した。これを受け、中国は新しい駐米大使に、前駐日大使の崔天凱外務次官を起用する人事を決めた。要は、中国は朝鮮半島危機に乗じて米国を籠絡し、「日米離反」を仕掛けているのだ。
日本は、中国の巧みな外交戦術で追い込まれつつあるのだが、内なる危機も抱えている。
警察庁関係者が語る。
「民主党政権時代に、治安や司法、防衛に絡む組織はボロボロにされた。かつて日本の公安当局といえば、北朝鮮の金正日総書記の健康状態や血液型、心拍数、薬、DNAまで、すべてを把握し、米国を驚かせた。中国に負けなかった。全力で立て直している」
官邸周辺も明かす。
「安倍政権は発足以来、各省庁から『民主党政権下で何が行われたか』をヒアリングしている。正直、信じられない案件ばかり。『国家への破壊工作』としか思えないものもある」
悲しいことに、現時点で、日本の外交力や情報収集力は、中国の後塵を拝している。安倍首相、どうか経済再生とともに、国家機能再建にも取り組んでいただきたい。
■加賀孝英(かが・こうえい) ジャーナリスト。1957年生まれ。週刊文春、新潮社を経て独立。95年、第1回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞受賞。週刊誌、月刊誌を舞台に幅広く活躍。一昨年11月、月刊「文藝春秋」で「尾崎豊の遺書・全文公開」を発表し、大きな話題となった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
安倍晋三首相の所属する自民党清和会は、米国共和党の牙城CIAが岸信介などと作り上げたことから、本来オバマ民主党からは嫌われる存在だろう。それでも日本嫌いで有名だったヒラリー・クリントンは中国より日本の肩を持ってくれる発言を繰り返した。中国の行き過ぎた行動に明らかにけん制の意味が込められていた。
しかし第二次オバマ政権は、後任にバリバリの親中派ジョン・フォーブズ・ケリー(John Forbes Kerry )を持ってきた。フォーブス一族は、民間企業に偽装した中国共産党政府「経営」の、民間中堅・中小企業の経営コンサルティングの中核を担っている。
安倍首相の先日の訪米時には国賓待遇ではなく晩餐会も催されず、ただの昼食会で済ますという明らかに扱いのランクを下げられた。これは安倍政権に対しTPP参加と政策要求を早く実施に移せと言う脅しに等しい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2013年3月14日 朝刊
自民反対派、あっさり了承 TPP交渉
自民党は十三日の環太平洋連携協定(TPP)対策委員会で、安倍晋三首相(党総裁)の交渉参加方針を受け入れた。コメが日米の事前協議で議題にならないことが判明。日本が関税を撤廃せずに聖域として残したい項目がどこまで守られるのか不安が高まる中、自民党はあっさりと交渉入りを受け入れた。 (清水俊介)
自民党は、首相が先月下旬の日米首脳会談後に「聖域なき関税撤廃が交渉参加の前提条件ではないことを確認した」と表明したのを受けて、党執行部が交渉参加の判断を首相に一任。事実上、参加を容認していた。
TPP反対派は、交渉参加自体は「政府の専権事項」であるためやむを得ないと判断。分野ごとに具体的な要求を政府に突きつけることで妥協した。
首相は高い支持率を維持している。現状では、反対派も表立っては反対しづらい。夏の参院選を前に、党内ががたついている印象を与えるのは得策ではないとの判断もはたらいた。
十三日の会合で、議員が発言したのは一時間程度。首相を激励したり注文を付ける議員はいたものの、徹底抗戦を主張する議員はなく、最後は交渉参加を容認する決議が約百五十人の出席者の拍手で了承された。
執行部が当初提示した決議案は「脱退も辞さない覚悟で交渉に当たるべきだ」との文言だったが、「脱退も辞さないものとする」と表現を強めることで納得してしまった。修正されたのは二カ所だけだった。
反対派議連会長の森山裕氏は会合後、記者団に「(首相が)熟慮して判断するなら、尊重しないといけない」と述べた。
しかし、カナダ、メキシコ両国が昨年交渉参加した際、既に参加していた米国など九カ国から不利な条件の受け入れを求められたことや、米側が日本との事前協議で自動車や保険に関して「あまりに不公平」(民主党の前原誠司衆院議員)な要求をしていたことが明らかになった。日米政府間の事前協議で、コメなどの農産品の関税維持はこれまで議題にせず、今後も議題として取り上げないことも分かった。
TPP参加が国民生活に大きな影響を与えないのか、分からないままだ。首相は決議にあるように、十分な情報を国民に提示し、戦略的方針を確立することが求められる
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013031402000128.html
2013年3月15日 07時07分
TPP事前協議 米の関税維持要求のむ
環太平洋連携協定(TPP)をめぐる日米両政府の事前協議は、米国が乗用車を輸入する際にかけている2・5%の税金(関税)を五年超、トラックの25%は十年超残すことで大筋合意した。日本はTPPに参加するため米国の要求に応じる。乗用車五年、トラック十年とした米韓自由貿易協定(FTA)を一つの基準にして、それより長期の関税維持を認める。交渉関係筋が十四日明らかにした。
日本が米国の自動車関税の維持を受け入れることで、「日本をTPPに参加させるかを判断する米議会を、米政府が説得しやすくなった」(交渉関係筋)と、政府は見込んでいる。米国側は自動車産業を保護するため、輸入車への関税を守ることを優先して協議していた。大筋合意を受けて、安倍晋三首相は十五日に交渉参加を表明する。
日本政府の交渉関係者によると、米国側は「米韓FTA以上」を求める根拠を、「日米の貿易規模は韓米よりはるかに大きく、関税を撤廃した場合に米国の自動車産業が受ける影響も大きいため」と主張している。
このほか、書類上の簡単な安全審査だけで日本への輸入を認めている米国車の対象車種も拡大する。現在、「年間二千台以下の車種」とする条件を「年間五千台以下の車種」にする。米国の自動車メーカーにとっては安全試験の手続きが減り、検査費用も安くなるメリットがある。
政府関係者は「参加表明後に詰める項目も多く残っている」と述べ、本交渉を終えてTPPの協定が発効するまで、政府は事前協議の経過を公表しない見通し。
一方、米国の自動車関税問題がメーカー業績に跳ね返る日本の自動車業界の幹部は「事前協議の状況がまったく分からない」と戸惑いを示した。
(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013031590070750.html
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
予想通り自民党の偽装反対派は政府のTPP交渉参加をあっさり了承した。農家に配慮して、反対のポーズを採っていただけなのだろう。先の選挙で当選した自民党議員295人のうち205人が、公報もしくは新聞社のアンケートで「TPP参加反対」を表明している。なのに、あっという間に腰砕けだ。国会議員の有権者に対する約束などこんなものだ。他党のもんくなど言えた義理じゃない。
安倍は高い支持率に支えられているから反対しづらい? イカサマ世論調査で数字を操作しているだけなのにふざけた言い訳である。 14日付け記事の末尾に「TPP参加が国民生活に大きな影響を与えないのか、分からないまま」なんて寝惚けた一文があるが、甚大な影響があるに決まっているじゃないか。カナダ、メキシコ、韓国の現状を少し調べるだけで分かるはずだ。TPP参加でこの国の経済のみならず文化も破壊されるだろう。
TPP参加は売国の所業 株高の裏で進むこの国の破滅
(日刊ゲンダイ2013/3/13)
国民を騙し国民に隠してTPP参加は既成事実化している
TPPをめぐる議論がヤマ場を迎えている。自民党は5つのグループに分かれ、部会レベルでTPPの検討を行っているが、きょう(13日)夜、党としての「決議案」をまとめる。これを受けて、15日に安倍首相が正式に交渉参加を表明する方針となったが、ふざけた話だ。
自民党は先の衆院選挙で「TPP反対」を公約に掲げ、6割の議員がそれを「売り物」に選挙を勝ち抜いてきたのである。民主党の公約破りをあれだけ非難しながら、自分たちは平気で有権者を裏切る厚顔無恥。あきれ返った連中だ。
TPPの議論で許し難いのは、こうやって、平気で国民にウソをつく国会議員が大勢いることだ。というか、TPPに関しては、何から何までウソとインチキで塗り固められている。ここが異常で恐ろしいところだ。
自民党議員が選挙公約を無視して、最後は容認に転じる大義名分は、安倍首相が先の日米会談で「聖域」を確認し、石破幹事長も「守るべきものは守る」なんて声を張り上げているからだ。しかし、これがまずウソ。「TPPで景気回復」も、もちろんウソ、「今、交渉に参加しないとルール作りに加われず、乗り遅れる」というのも真っ赤なウソ。それどころか、こんなもんに参加したら、日本は米国に骨までしゃぶられてしまう。元外交官の孫崎享氏は「幕末の開国時よりもひどいことになる。日本は主権を奪われてしまう」とまで断じている。
「TPPでバラ色の未来」は冗談みたいな話なのだが、恐ろしいことに、そうした情報はちっとも新聞に出てこない。政治家とメディアが一体となって、情報を隠し、ウソを流布する。国民には何も知らせず、だまくらかして、その間に自分たちだけで勝手に亡国の交渉を進めてしまう。これが今のTPPの議論なのである。
東大大学院教授の鈴木宣弘氏は「世界」4月号でこうした状況を「信じがたい事態」「許しがたい背信行為」と書いた。まさしく、TPPの本質を射抜いている。
◆ウソをつかなければ交渉参加はできないのか
TPPをめぐるウソを挙げていけばきりがない。が、どうしても強調しておきたいのは次の3点だ。
「輸出が伸びて景気回復なんてあり得ないこと」「交渉次第なんて大ウソであること」、その結果、「日本は食の安全や皆保険制度まで脅かされ、国全体がボロボロにされてしまう」ということだ。
「TPPに参加すれば、どれだけ経済効果があるのか。経済産業省は10・5兆円のプラスとはじき、農水省は7・9兆円の損失といっています。間を取って、内閣は2・7兆円プラス。それじゃあ、議論にならないから自民党の部会でも『政府としての統一見解を出せ』となった。しかし、いまだに試算は出ていません。出したくても出せないんですよ。出せば、TPPのメリットなんてほとんどないということがバレてしまいますからね。交渉参加表明の後に、後出しジャンケンで出す。そんな筋書きで、こういうところにTPPの正体が見える。国民を騙(だま)さなければ、交渉参加は無理なのです」(横田一氏=前出)
◆不利な情報をひた隠しの亡国官僚
しかも、今後の交渉次第で日本の利益が増える可能性があるかというと、とんでもないのだ。
民主党の前原前政調会長が国会で、米との事前交渉の「内幕」を暴露した。それによると、米政府は野田政権時代から、「米国が輸入乗用車にかけている関税を一定期間、維持すること」「米国の安全基準を満たした車は日本で安全審査なしとし、輸入枠を設けること」などを要求してきたという。「事前交渉ってなんだ?」じゃないか。米国の関税は乗用車2・5%、トラック25%。こんなもんを維持されたら、日本車が売れるわけがない。何のためのTPPなのか、ということになる。2番目の要求にいたってはムチャクチャで、前原は「あまりに不公平なのでわれわれは妥協しなかった」と言っていたが、自民党政権はこうした事前交渉をどんどん進めているとみられている。それをしなければ、日本の参加の是非を判断する米議会の承認がスムーズにいかないと、圧力をかけられているからだ。
自民党議員は「これじゃあ参加表明前に全面武装解除して、白旗を掲げるようなものだ」と嘆いていたが、おそらく、裏ではどんどん譲歩を強いられているのだろう。
そのうえ、日本がこれから交渉に参加しても「すでに確定した内容に口出しできず、文言修正も認められない」。これも最近になって分かったことだ。政府はこうした情報をひた隠しにしてきたのである。
「これでは今後、日本が何を言っても交渉になりませんが、官僚はこうした事情を知っていて口をつぐんできたわけです。おそらく、国会議員も知らされていないでしょうね。とんでもない情報隠しが行われ、ウソの情報で、国全体がTPP参加に向けて突っ走っているのです」(元外交官・天木直人氏)
こうした不平等条約を一つ一つ考慮すれば、TPP参加で日本が享受できるメリットなんて、何もないことがすぐ分かる。一体、何のための交渉参加なのか。奇々怪々と言うしかない。
◆社会、文化まで変えさせるTPPの怖さ
鈴木宣弘教授はTPPの本質を「1%の、1%による、1%のための協定」と表現した。この協定でトクするのは米国の富の40%を握る1%の人々、つまり多国籍化した巨大企業だ。
日本企業は蹴散らされ、それでも生き残るためには自由化されたアジアの労働市場に進出するしかない。国内はますます、空洞化し、内需はどんどん細っていく。若者は職にあぶれ、相変わらず、二極化が拡大していくことになる。
食の安全や環境だって危機である。2011年12月、米国の公聴会ではマランティスUSTR次席代表が「日本が不透明で科学的根拠に基づかない検疫措置で米国の農産物を締め出しているのは是正すべきだ」と発言した。今後はBSE規制を撤廃させ、遺伝子組み換え食品もどんどん入れる。スーパーが遺伝子組み換え表示をしようものなら、「自由貿易の妨げだ」とか噛み付く。撤回しなければ、ISD条項の発動だ。企業が自由な企業活動を邪魔されているとして、国際裁判所に訴え、国の制度を変えさせてしまう「毒薬条項」のことだ。こうやって、TPPは国民の社会常識、ルール、慣習、文化までを変えてしまうのだが、韓国にはいい例がある。
◆交渉参加すれば国民皆保険も風前の灯
この調子だと、TPPに参加した途端、日本も同じようにやられてしまう。TPPの交渉分野は農業や自動車に限らず、保険、医療など社会のセーフティーネットの分野にまで及ぶのだから、なおさらヤバイ。
「現在も米国は官民挙げて日本の医療改革を要求しています。あからさまに国民健康保険をやめろとは言わないまでも、医療の株式会社参入や薬価・医療技術の規制緩和を求めてくるでしょう。そうなれば、国民皆保険は、なし崩しになっていく。抵抗しても、ISD条項で訴えられれば、米国の投資家の利益が日本の法律よりも優先されてしまう。まさに主権の喪失で、私が幕末よりもヒドイ状況と嘆くのはそういう意味です」(孫崎享氏=前出)
世間は株高に浮かれているが、その裏でこの国は壊れつつある。円安・株高だっって、どうせ米国の投資家の利益だ。その後はお決まりのバブル崩壊。日本は再び、焼け野原になって、米国にやりたい放題やられてしまう。そのツールがTPPなのである。
TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉参加についての結論が、大詰めの状況にありながら、TPPに関する情報は不足している。政府はこの点を認めつつも、本音では議論も説明もするつもりなどなさそうだ。
しかし、TPPの正体を知る上で格好の分析対象がある。TPP推進論者が羨望する米韓FTA(自由貿易協定)である。
TPPは、日本が参加した場合、交渉参加国の経済規模のシェアが日米で9割を占めるから、多国間協定とは名ばかりで、実質的には“日米FTA”とみなすことができる。また、米韓FTAもTPPと同じように、関税の完全撤廃という急進的な貿易自由化を目指していたし、取り扱われる分野の範囲が物品だけでなく、金融、投資、政府調達、労働、環境など、広くカバーしている点も同じだ。
そして何より、TPP推進論者は「ライバルの韓国が米韓FTAに合意したのだから、日本も乗り遅れるな」と煽ってきた。その米韓FTAを見れば、TPPへの参加が日本に何をもたらすかが、分かるはずだ。
だが政府もTPP推進論者も、米韓FTAの具体的な内容について、一向に触れようとはしない。その理由は簡単で、米韓FTAは、韓国にとって極めて不利な結果に終わったからである。
◆韓国は無意味な関税撤廃の代償に環境基準など米国製品への適用緩和を飲まされた
まず、韓国は、何を得たか。もちろん、米国での関税の撤廃である。
しかし、韓国が輸出できそうな工業製品についての米国の関税は、既に充分低い。例えば、自動車はわずか2.5%、テレビは5%程度しかないのだ。しかも、この米国の2.5%の自動車関税の撤廃は、もし米国製自動車の販売や流通に深刻な影響を及ぼすと米国の企業が判断した場合は、無効になるという条件が付いている。
そもそも韓国は、自動車も電気電子製品も既に、米国における現地生産を進めているから、関税の存在は企業競争力とは殆ど関係がない。これは、言うまでもなく日本も同じである。
グローバル化によって海外生産が進んだ現在、製造業の競争力は、関税ではなく通貨の価値で決まるのだ。すなわち、韓国企業の競争力は、昨今のウォン安のおかげであり、日本の輸出企業の不振は円高のせいだ。もはや関税は、問題ではない。
さて、韓国は、この無意味な関税撤廃の代償として、自国の自動車市場に米国企業が参入しやすいように、制度を変更することを迫られた。米国の自動車業界が、米韓FTAによる関税撤廃を飲む見返りを米国政府に要求したからだ。
その結果、韓国は、排出量基準設定について米国の方式を導入するとともに、韓国に輸入される米国産自動車に対して課せられる排出ガス診断装置の装着義務や安全基準認証などについて、一定の義務を免除することになった。
つまり、自動車の環境や安全を韓国の基準で守ることができなくなったのだ。また、米国の自動車メーカーが競争力をもつ大型車の税負担をより軽減することにもなった。
米国通商代表部は、日本にも、自動車市場の参入障壁の撤廃を求めている。エコカー減税など、米国産自動車が苦手な環境対策のことだ。
◆コメの自由化は一時的に逃れても今後こじ開けられる可能性大
農産品についてはどうか。
韓国は、コメの自由化は逃れたが、それ以外は実質的に全て自由化することになった。海外生産を進めている製造業にとって関税は無意味だが、農業を保護するためには依然として重要だ。従って、製造業を守りたい米国と、農業を守りたい韓国が、お互いに関税を撤廃したら、結果は韓国に不利になるだけに終わる。これは、日本も同じである。
しかも、唯一自由化を逃れたコメについては、米国最大のコメの産地であるアーカンソー州選出のクロフォード議員が不満を表明している。カーク通商代表も、今後、韓国のコメ市場をこじ開ける努力をし、また今後の通商交渉では例外品目は設けないと応えている。つまり、TPP交渉では、コメも例外にはならないということだ。
このほか、韓国は法務・会計・税務サービスについて、米国人が韓国で事務所を開設しやすいような制度に変えさせられた。知的財産権制度は、米国の要求をすべて飲んだ。
その結果、例えば米国企業が、韓国のウェブサイトを閉鎖することができるようになった。
医薬品については、米国の医薬品メーカーが、自社の医薬品の薬価が低く決定された場合、これを不服として韓国政府に見直しを求めることが可能になる制度が設けられた。
農業協同組合や水産業協同組合、郵便局、信用金庫の提供する保険サービスは、米国の要求通り、協定の発効後、3年以内に一般の民間保険と同じ扱いになることが決まった。
そもそも、共済というものは、職業や居住地などある共通点を持った人々が資金を出し合うことで、何かあったときにその資金の中から保障を行う相互扶助事業である。それが解体させられ、助け合いのための資金が米国の保険会社に吸収される道を開いてしまったのだ。
米国は、日本の簡易保険と共済に対しても、同じ要求を既に突きつけて来ている。日本の保険市場は米国の次に大きいのだから、米国は韓国以上に日本の保険市場を欲しがっているのだ。
◆米韓FTAに忍ばされたラチェット規定やISD条項の怖さ
さらに米韓FTAには、いくつか恐ろしい仕掛けがある。
その一つが、「ラチェット規定」だ。
ラチェットとは、一方にしか動かない爪歯車を指す。ラチェット規定はすなわち、現状の自由化よりも後退を許さないという規定である。
締約国が、後で何らかの事情により、市場開放をし過ぎたと思っても、規制を強化することが許されない規定なのだ。このラチェット規定が入っている分野をみると、例えば銀行、保険、法務、特許、会計、電力・ガス、宅配、電気通信、建設サービス、流通、高等教育、医療機器、航空輸送など多岐にわたる。どれも米国企業に有利な分野ばかりである。
加えて、今後、韓国が他の国とFTAを締結した場合、その条件が米国に対する条件よりも有利な場合は、米国にも同じ条件を適用しなければならないという規定まで入れられた。
もう一つ特筆すべきは、韓国が、ISD(「国家と投資家の間の紛争解決手続き」)条項を飲まされていることである。
このISDとは、ある国家が自国の公共も利益のために制定した政策によって、海外の投資家が不利益を被った場合には、世界銀行傘下の「国際投資紛争解決センター」という第三者機関に訴えることができる制度である。
しかし、このISD条項には次のような問題点が指摘されている。
ISD条項に基づいて投資家が政府を訴えた場合、数名の仲裁人がこれを審査する。しかし審理の関心は、あくまで「政府の政策が投資家にどれくらいの被害を与えたか」という点だけに向けられ、「その政策が公共の利益のために必要なものかどうか」は考慮されない。その上、この審査は非公開で行われるため不透明であり、判例の拘束を受けないので結果が予測不可能である。
また、この審査の結果に不服があっても上訴できない。
仮に審査結果に法解釈の誤りがあったとしても、国の司法機関は、これを是正することができないのである。しかも信じがたいことに、米韓FTAの場合には、このISD条項は韓国にだけ適用されるのである。
このISD条項は、米国とカナダとメキシコの自由貿易協定であるNAFTA(北米自由貿易協定)において導入された。その結果、国家主権が犯される事態がつぎつぎと引き起こされている。
たとえばカナダでは、ある神経性物質の燃料への使用を禁止していた。同様の規制は、ヨーロッパや米国のほとんどの州にある。ところが、米国のある燃料企業が、この規制で不利益を被ったとして、ISD条項に基づいてカナダ政府を訴えた。そして審査の結果、カナダ政府は敗訴し、巨額の賠償金を支払った上、この規制を撤廃せざるを得なくなった。
また、ある米国の廃棄物処理業者が、カナダで処理をした廃棄物(PCB)を米国国内に輸送してリサイクルする計画を立てたところ、カナダ政府は環境上の理由から米国への廃棄物の輸出を一定期間禁止した。これに対し、米国の廃棄物処理業者はISD条項に従ってカナダ政府を提訴し、カナダ政府は823万ドルの賠償を支払わなければならなくなった。
メキシコでは、地方自治体がある米国企業による有害物質の埋め立て計画の危険性を考慮して、その許可を取り消した。すると、この米国企業はメキシコ政府を訴え、1670万ドルの賠償金を獲得することに成功したのである。
要するに、ISD条項とは、各国が自国民の安全、健康、福祉、環境を、自分たちの国の基準で決められなくする「治外法権」規定なのである。気の毒に、韓国はこの条項を受け入れさせられたのだ。
このISD条項に基づく紛争の件数は、1990年代以降激増し、その累積件数は200を越えている。このため、ヨーク大学のスティーブン・ギルやロンドン大学のガス・ヴァン・ハーテンなど多くの識者が、このISD条項は、グローバル企業が各国の主権そして民主主義を侵害することを認めるものだ、と問題視している。
関税自主権の放棄、治外法権(ISD条項を韓国にのみ適用)、不平等条約(片務的協約)、しかもそれが後戻りできない(ラチェット規定)。
気の毒に、韓国は上記の条項を受け入れさせれたのである。(日本も他人事じゃないんだが)
米韓FTAはまだ韓国の国会でもめているが、これが通ってしまった瞬間、韓国は「後戻りができない形の日米修好通商条約を締結した明治日本」になってしまうのです。韓国の国力では、明治日本のように数多の戦争を戦い抜き、不平等条約を改訂させるようなことはできないでしょう。(念のため、未だ韓国の国会は米韓FTAを通していないが)
本来、国家が「国民のこと」を考えて実施している規制や社会制度、システムなどが企業のビジネスの妨げになるのであれば、「企業の方が環境に合わせて製品・サービスを開発する」ことが王道というものだ。それをアメリカ(の企業)は、政府を動かし、規制や社会制度の方を変更させ、ビジネスを推進することを考えるようになってしまった。
しかも、それを自国内でやる分は勝手だが、現在のアメリカは何と外国にまで「社会制度、規制を変える」を押し付けてきているわけだ。しかも、現在のアメリカの「輸出」は投資や金融サービスがメインになってしまっているので、たとえ首尾よく相手国の社会制度を変えることに成功したとしても、アメリカ国民の多くには何の恩恵もない。
すなわち、現在のアメリカがやっている「自国の投資家のために、相手国の社会制度を変える」という手法は、まことにトリクルダウン「仮説」的なのである。
例えば、世界各国がアメリカの意向に従い、様々な自国の制度や非関税障壁を変えていったとしても、それにより所得を拡大できるのはアメリカのごく一部の投資家に絞られてしまうだろう。
すでに、上記の「トリクルダウン仮説」的な政策に反対するアメリカ国民が増え(当たり前だが)、反ウォール街のデモが広まっている。
結局のところ、わたくしたちは現在、1980年代に勃興した新自由主義的な資本主義(トリクルダウン含む)の最終的な攻防を目にしているだけなのだと思う。
1%の投資家のために、99%の日米とその他のTPP参加国の国民が犠牲になるということである。
マイナンバー制度と称した、国民総背番号制度が導入されようとしている。
この制度が導入された後は、この番号がクレジットカード番号、銀行口座番号、キャッシュカード番号に適用され「統一」される。
これで国民の財産は全て国家に把握され管理される。
多額の貯金を持っている者は、「資産課税」の導入によって、貯金に税金が課せられる。
国の財政赤字の穴埋めに、市民の貯金が「盗用される」。
勤務時間の3分の1しか「仕事をしていない」ため、外資系のコンサルティング会社の調査担当者が絶句した日本の公務員達の過剰な給与、過剰な職員数には一切メスを入れる事無く、国民の小額の貯金からも税金を取るためには「マイナンバー制度」が不可欠になる。
この番号制度によって、市民は、いつ、どの店で買い物をし食事をしたか、何を買ったか、夕食に何を食べたかを全て政府によって「管理」される。
市民がどのような趣味を持ち、それに幾らお金を使っているかが、全て国家に把握される。
女性とデートした時のデートコースも、お金を使った場所を「追いかける」事で、全て国家にデータとして蓄積される。街頭の監視カメラが、これを補佐する。
不倫相手と食事をしホテルを利用した事を材料に、政治家は自分の主張とは正反対の法律に「賛成するように警察・国家によって強制される」。民主主義の破壊が行われる。
不倫相手と食事をしホテルを利用した事を材料に、民間企業の社長Aは経営する会社の機密情報・特許情報を「警察・国家に提出するよう強制される」。その情報はAの会社と敵対するBの会社に渡される。Aの会社は競争に負け倒産し、Bの会社が大企業に成長する。警察・国家官僚は、そのBの会社に天下りし、高額な年収を得る。官僚独裁国家の成立となる。
国家が戦争を開始した際、戦争に反対した人間は、銀行口座が閉鎖され現金が引き出せなくなり、クレジットカードが使えなくなる。戦争に反対した人間はホームレスとなり、餓死に追い込まれる。戦争を「強引に推進するための」システム作りが行われる事になる。(オルタナティブ通信)
地銀にダマされた中小企業を死に追いやる中国工業団地の実態
ビジネスジャーナル2013年01月15日09時00分
http://news.livedoor.com/topics/detail/7314231/
1月11日に閣議決定された緊急経済対策に、国際協力銀行(JBIC)と民間銀行などが出資するファンドを創設して、中小企業の海外進出を支援する事業が盛り込まれた。しかし、現実には中小企業が海外進出をするにはリスクも多い。これまでの中国進出ブームにおける多くの失敗を顧みるまでもなく、冷静な判断が中小企業には求められる。
ところが、その判断をゴーサインに追い込む状況が固められている。カギとなるのが、「中小企業金融円滑化法」(金融モラトリアム法)の期限切れである。この法律は、国民新党代表だった亀井静香議員の発案で2009年に施行され、中小規模の企業などの借り手から返済計画の変更(返済負担の軽減)を申し込まれた場合、銀行ができる限り要望に応じるよう義務付けられたもので、借り手の負担は大きく軽減されているものだ。
もともとは2011年3月末までの時限立法だったのだが、期限が2回延長され、いよいよ今年の3月末をもって終了するが、同法による影響の大きさは、以下の通り大きなものだ。
「金融庁がまとめた12年3月末時点の『貸付条件の変更等の実施状況』によると、それがハンパな金額でないことが分かる。
全国1521金融機関に対する申し込み件数(累計)は313万3742件で、条件変更が実行されたのは289万3387件。条件を見直した債権の合計は79兆7501億円に上る。すさまじい金額である。このほか、住宅ローンの返済条件を見直した個人が20万4260人で、見直し額は3兆1610億円である」(当サイト掲載記事『金融モラトリアム法の終了でペーパーカンパニーが乱立する?』<2012年10月26日付>)
つぎ込まれた資金が巨額だけに、その副作用も甚大だ。この289万件以上の条件変更がなされた債権の一定割合が、金融モラトリアム法の期限が切れた後に不良債権化すれば、その倒産件数や金額規模はすさまじい水準になる。
●詐欺に手を染める地銀・信金
その期限切れが近くなった現在、不穏な動きを見せている勢力がある。
中小企業に融資をしている、一部の地方銀行(地銀)や信用金庫(信金)だ。この不穏な動きの動機について、ある金融専門家はこう解説する。
「地銀も信金も金融モラトリアム法が期限切れになれば、融資先の倒産や不良債権化は避けがたく、担保価値の範囲内でも融資した資金の回収が危ぶまれる。さらに、現状は消費税の増税も決まっており、融資先企業の見通しも暗い。そこで、地銀や信金は、期限が切れて倒産する前に貸しはがしをして、早期に融資を回収しておきたい。しかし、露骨な貸しはがしには世論の目が光っているので、なんとかして貸しはがしの大義名分がほしい」
そこで、それらの回収を急ぐ両者が目をつけたのが、融資先の中小企業の、中国などアジアへの進出を推進する手口なのだ。先の金融専門家によると、その手口はこうだ。
「例えば、自宅や工場合わせて時価2億円程度を担保にしている融資先の中小企業があったとしても、日本国内の融資案件には融資金額規制があるため、銀行は一定金額(例えば、土地は公示地価の6割)までしか融資はできない。そこで、銀行員がそうした企業を訪問し、追加融資を断りながら、次のようにささやくんですよ」
それは、こんな内容だという。
「国内はもう需要がないから、中国やアジアなど海外市場に進出し、売り上げが伸びる事業計画にしたほうがいいのではないですか? それなら銀行の審査も通りやすいですよ。今は中国に○○業界の部品をつくっている日系企業が集まった工業団地があって、そこは大手メーカーの中国市場担当の偉い人がつくった工業団地ですから安心でしょうし、進出をサポートしている専門のコンサルタントも知っていますから、よかったら個人的にご紹介しましょうか?」
この進出の話の裏には、金融機関側にとって実においしい仕組みが用意されている。
金融機関は、海外案件なら融資額の規制が適用されないから、追加で貸せるようになる。しかも今は、政府から中小企業の海外進出にはさまざまな補助金がある。追加融資分の保証は信用保証協会などの政府機関がしてくれるため、金融機関は倒産時のリスクをとらずに規制枠を超えて貸すことができ、貸し出しが増えれば利子収入も増え、業績も上がる。
●ヒト・技術・カネを身ぐるみ剥がされる“死の”工業団地
しかし、話はこれだけではない。このような多くの中小企業が送り出される先は、中国やアジア諸国の実態に詳しい人の間では、裏では穏やかではない呼称で呼ばれている場所が多いのだ。
「日本の会社が、それこそ100社以上も進出しているはずの工業団地などを紹介される。なのに、それにしてはオフィスの数が少ないとか、もしくは、異様に“完成して間もない感”があふれ、過去を調べようがないという工業団地。そこに、工場ごと移転するわけです」(金融専門家)
しかし、そうした工業団地は、表向きは投資会社などが経営母体となっているが、実際には中国などの地元政府系組織が、実質上の経営者になっている例が多い。彼らが欲しいのは、日本の中小企業が持つ自動車や家電などの製造技術なので、移転した中小企業は、こんな目に遭ってしまう。
・現地採用の技術者が、情報とノウハウをもって退職する。
・現地の合弁相手が技術を盗む。
・技術者個人が持つ職人芸が重要な商品の場合は、その技術者だけをヘッドハントされてしまう。
こうして日本の技術は流出し続ける。そして早ければ移転後わずか3カ月程度で、近隣の中国などの地元企業が、その日本企業の製品とほとんど同じ製品を、現地の安い人件費を使って4~5割ぐらい安い価格でつくって販売する。こうなってしまうと、進出した中小企業は、お手上げ状態に追い込まれてしまう。親会社が取引先を安い中国の会社に切り替えてしまい、買い手がいなくなるのだ。
●撤退すらできず、自殺する経営者も
苦境に陥った中小企業は、中国で会社が立ち行かなくなり、日本に帰ろうにも、日本の財産はすでに地銀や信金の担保に押さえられている。中国から撤退しようにも、中国側からは違約金や工場の清掃費用など膨大な金額を請求され、それもままならなくなる。
そこで、そのような中小企業の多くが1年も持たず消えていき、まじめな中小企業の経営者の中には、最後は自殺に至る例も多い。ゆえに陰では、歴史的な強制収容所の名称にちなんで「◯◯工業団地」と呼ばれている。
こうして中国などの現地側は、進出した企業の技術も、工場への進出資金も、会社がつぶれた後の工場の設備も、うまくいけば技術者もタダ同然で手に入り、さらに親会社の作った商品の販売先とのコネクションまで確保できて、非常においしい。そして、これらカモとなる中小企業を見つけてきた“中小企業向けの中国進出コンサルタント”に、中国側から裏金が流れているケースもあるという。
●金融機関にはむしろメリット
金融機関側は、こうして送り出した中小企業が倒産した場合は、もともとの融資分は担保から回収して現金化すれば、モラトリアム法の期限切れ前に回収できてリスクを減らせる。回収した現金で国債を買えば、日銀の「日本の国債を買い支えるように」という要請にも応えられ、日銀からの評価も上がる。
特に信金においては、融資先企業はその見返りに信金に出資をしているケースが多く、信金は出資金に対して通常年間で4~5%という高い金利を支払っている。融資先が破綻してくれれば、金利払いが不要となる場合もある。海外に行かせることで融資先が破綻してくれれば、貸しはがしもできる上に、ただ単に貸しはがすよりもメリットが増えるのだ。
しかも、カモとなる中小企業を見つけたコンサルタントに、中国側が支払った裏金の一部を受け取っていると噂される信金の担当者などまでいる。これが事実ならば、担当者は業務実績とプライベートで二重においしい思いをしていることになる。
中小企業の間では、いまだに地銀や信金の信用力が高く、そこから紹介されるコンサルタントや工業団地なら、たとえ実際には営業担当者個人からの紹介であろうと、信用のできる案件と受け止めるのが通常ではないだろうか?
中国やASEAN諸国への中小企業進出に関する詐欺の手口は、実際には数多くある。主立ったものでは、現地の日本人経営者が日本企業を騙しにくる手口、「中国の公安部(警察に相当)に友達がいる」と嘘をついて報酬を得ている弁護士などが挙げられる。 海外進出は、このようなリスクが多い現実を理解した上で、慎重に検討することが、企業防衛の絶対条件であることを肝に銘じておきたい。
(文=編集部)