一般的には、ランニングをして受傷したものはすべてランナー膝と言われていますが、狭義では膝蓋軟骨軟化症がランナー膝として知られています。最近では、腸脛靱帯炎がランナー膝としてメジャーになってきたようです。膝の内側であれば鵞足部炎、後ろであれば腓骨筋炎などもあります。
いずれにしても、しっかりとした対応方法を取らない限り、復帰へのめどは立たず、時間ばかりを浪費してしまいます。原因を正確に把握し、痛みと恐怖のないランニングを行うために、今回ランナーの膝の痛みについて説明します。
ビフォーイメージ
○0代男性 競技レヴェル：サブスリー（フルマラソン）
週２〜３回前後のランニング習慣。
学生時代は野球。右投げ右打ち。
仕事はデスクワーク。車の運転、しばしば。
トラック練習も好き。
今回、痛みを感じたのは膝の前の外側。
しかし、膝蓋軟骨部ではないようです。
もう少し上部、大腿四頭筋腱付近が疑われます。
足の接地時に不安定性を伴い、痛みや違和感を感じるそうです。
上、ランニングにおいては、前後バランスがもっとも大事なのですが、
今回は左右差が生じているため、
後方から撮影して見比べてみました。
フィジカルチェックにおいても、
左脚の大腿四頭筋外側広筋の過緊張が認められ、
膝蓋骨付着部に近いところでは、腱膜のスライドも起きていないような状態でした。
当然、単純にゆるめれば済むという問題ではなく、
どうしてこのようなバランスになってしまったのかを紐解く必要があります。
アフターイメージ
一般に、ランナー膝というとストレッチ、アイシング、テーピング、インソール、補強、バランストレーニングなどが知られています。
しかし、やみくもに、また原因も不明瞭で何かしらのプログラムを行うことは非常に危険です。悪くなることはあっても、良くなることは運任せになってしまいます。
当KCCランニングクリニックでは、そのようなことは怖くてできません。明確に、そして確率の高い手順で行なっていきます。
そして、今回の例は右の腰に一番の原因があると解明しました。
もともと野球をされていた名残です。
右の腰部（腰方形筋）の動きが制限されていたために、骨盤の位置が傾斜し、股関節の動きが悪くなり、膝で代償していたという発生機序でした（←運動連鎖メカニズム）。
これらが解明できれば、あとは手順通りです。
もともとピストン走法で走るべきところを、スイング走法で走っていたことも問題ですが、野球で固まった腰や股関節を放っておいたのが一番の原因でした。
アフターでは、左右バランスが取れ始め、勝手に、スムースにスピードが上がってしまうとのことでした。
スポーツに怪我や痛みはつきものではありません。
しっかりと原因を解明して、
みなさんのスポーツ活動を応援するサポート、
ぜひ一度ご体験ください。
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