労基法32条や労基法35条に違反して時間外や休日に労働させた場合に成立する罪の法定刑を教えて下さい。
労基法32条や労基法35条に違反して時間外や休日に労働させると,6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる可能性があります(労基法119条1号)。
労基法違反は民事事件にとどまらず,刑事事件にもなり得ることを理解する必要があります。
労基法32条や労基法35条に違反して時間外や休日に労働させた場合に成立する罪の法定刑を教えて下さい。
労基法32条や労基法35条に違反して時間外や休日に労働させると,6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる可能性があります(労基法119条1号)。
労基法違反は民事事件にとどまらず,刑事事件にもなり得ることを理解する必要があります。
労基法に基づく残業代(深夜割増賃金)計算の基礎となる深夜労働時間とは,どのような時間のことをいいますか。
労基法に基づく残業代 (深夜割増賃金)計算の基礎となる深夜労働時間とは,深夜(22時~5時)に労働させた時間のことをいいます。
昼間の仕事の場合には,深夜労働は,時間外労働でもあるのが通常ですが,夜勤の場合には,深夜労働ではあっても時間外労働ではないこともあります。
休日に出張先へ移動するよう命じた場合,出張先への移動時間を労働時間として取り扱う必要がありますか。
休日に出張先へ移動するよう命じた場合,単なる出張先への移動であれば労働時間として取り扱う必要はありませんが,物品の監視・配送や人の引率を伴う等,移動自体が業務性を有している場合は,出張先への移動時間を労働時間として扱う必要があります。
解釈例規では「出張中の休日はその日に旅行する等の場合であっても,旅行中における物品の監視等別段の指示がある場合の外は休日労働として取り扱わなくても差支えない。」(昭和23年3月17日基発461号,昭和33年2月13日基発90号)とされており,「企業においては,このような解釈によりつつ,出張手当や日当などで対処するのが普通である。」(菅野『労働法〔第10版〕』336頁)との考えが一般的です。
単なる出張先への移動であれば,通常の通勤と同様,業務性がなく,使用者の指揮命令下に置かれているとは評価できませんので,労基法上の労働時間には該当しません。
他方,物品の監視・配送や人の引率を伴う等,出張先への移動自体が業務性を有している場合は,使用者の指揮命令下に置かれていると評価することができますので,出張先への移動時間を労働時間として扱う必要があります。
休日の出張先への移動時間が労働時間となる場合,法定休日の移動であれば休日労働になりますし,法定休日でない場合も労働時間が1日8時間,週40時間(特例措置対象事業場では週44時間)を超えている場合には,時間外労働時間になります。
代休を取得させた場合に残業代(休日割増賃金)の支払は必要ですか。
代休とは,休日労働をさせた代わりに取得させる休日のことをいいます。
代休を取得させた場合であっても,休日労働をさせたことに変わりはないため,事前に36協定の締結・届出をしておく必要がありますし,残業代 (休日割増賃金)の支払も必要となります。
残業代(休日割増賃金)は35%増しになりますので,通常の労働日の賃金の135%に相当する時間単価になるのが通常ですが,代休を取らせた場合は100%部分については填補したことになりますので,35%部分についてのみ支払えば足りることになります。
休日の振替がなされた場合,残業代(休日割増賃金)の支払が必要ですか。
労働契約で休日の振替が認められている場合には,事前に振り替わる休日と労働日を特定することにより,休日を変更することができます(休日の振替)。
休日の振替により,元々休日だった日は休日ではなくなりますので,この日に働かせても休日労働にはならず,残業代 (休日割増賃金)の支払は不要です。
ただし,休日を振り替えた結果,週40時間又は1日8時間を超えて働かせることになった場合は,週40時間又は1日8時間を超える労働時間の労働は時間外労働となりますので,週40時間又は1日8時間を超える労働時間については残業代(時間外割増賃金)の支払が必要となります。
毎週1回の休日を与えるのが原則ですが(労基法35条1項),4週間に4日以上の休日を与えるものとすることもできます(労基法35条2項,変形休日制)。
変形休日制を取る場合には,就業規則等において,4日以上の休日を与えることとする4週間の起算日を明らかにする必要があります(労基法施行規則12条の2第2項)。
休日を定めずに毎日働かせ続けた場合,休日労働に対応する残業代(休日割増賃金)を支払う必要はありますか。
労基法35条1項は,「使用者は,労働者に対して,毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。」と定めていますが,「週」は「起算日から計算して7日の期間」を意味し,この期間が休日付与義務の単位期間になります。
したがって,休日を定めずに毎日働かせ続けた場合であっても,勤務開始日を起算日とした7日の期間を単位期間として,少なくとも1回の休日を与えなければならないと考えられますから,勤務開始から7日目,14日目,21日目…と,7の倍数の日は法定休日となり,これらの日の労働に対しては,休日労働に対応する残業代 (休日割増賃金)を支払う必要があります。
休日を与えることは労基法35条により使用者に義務づけられていますので,休日をなしにする旨社員と合意したとしても当該合意は無効となり,労基法35条で定められた休日(法定休日)を与えなければならないことになります(労基法13条)。
したがって,社員との合意により休日をなしにすることはできません。
休日なしの連続勤務が必要な場合は,労基法35条所定の休日は定めた上で,休日出勤させるという扱いになるものと考えられます。この場合,法定休日に出勤させるわけですから,36協定の締結・届出や残業代 (休日割増賃金)の支払が必要となります。
「休日」(労基法35条)とは,労働契約において労働義務がないとされている日をいいます。
「休日」は,原則として,「午前0時から午後12時までの24時間」の暦日で与えなければなりません(昭和23年4月5日基発第535号,ただし,昭和57年6月30日基発第446号,昭和63年3月14日基発第150号・婦発第47号,平成11年3月31日基発第168号等)。
労基法に基づく残業代(割増賃金)計算の基礎となる休日労働時間とは,どのような時間のことをいいますか。
労基法に基づく残業代 (休日割増賃金)計算の基礎となる休日労働時間とは,労基法35条の法定休日(1週1休)に労働させた時間のことをいいます。
土日が休日の週休二日制で祝祭日が休日の会社において,休日である土曜日や祝祭日に労働させた場合であっても,日曜日が法定休日の場合は,ここでいう休日労働には該当しません(週40時間(特例措置対象事業場では週44時間)を超えて労働させた結果,時間外労働に該当する可能性はあります。)。
「休憩時間」(労基法34条)中の外出を制限することはできますか。
休憩時間中の外出を許可制とすることも,事業場内において自由に休憩し得る場合には必ずしも違法にはなりません(昭和23年10月30日基発第1575号)。
休憩時間中の外出を許可制としたとしても,労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間と評価することができるのであれば,労働時間ではなく「休憩時間」(労基法34条)と評価されることになりますが,休憩時間中の外出を許可制としている場合,実態として電話や来客の対応が義務づけられがちであり,労働からの解放が保障されていなかったと評価されるリスクがありますので,休憩時間中の外出を許可制とする場合は,労働からの解放が保障されているといえるよう十分に配慮した労務管理を行う必要があります。