My ordinary days

ようこそいらっしゃいました!
ふと思い立ち第2のキャリアを始めてしまった、流されがちなひとの日々を綴るブログです

ユベール・ロベール展「時間の庭」

2012-04-22 14:03:22 | 日記
ご用があり京浜東北線に乗り、ついでにそのまま上野に寄ってから帰ろう、そして国立西洋美術館でユベール・ロベール展を観て帰ろう、と計画・実行。

ロベールさん、いつの時代のどんな画家か?
時代としては18世紀、フランスはブルボン朝ルイ15世~16世の治世に活躍し、そう、おもいっきりフランス革命のときに宮廷画家であり国王の庭園デザイナーをしていましたから革命政府により牢獄に収監もされ、獄中で皿に絵を描いて売っていたともいわれており(お皿も残っている)その後解放されてまた絵を描きながら1808年に75歳で亡くなった、という画家です。廃墟の画家、と呼ばれたのは11年に及ぶイタリア留学中に得た古代ローマ遺跡のモティーフを多用したから。彼自身の想像を加えたカプリッチョ(奇想画)は廃墟のある風景の中で人々が日々の営みを繰り返し生きています。
「自然と人工、空想と現実、あるいは想像上の未来と幸福な記憶を混淆させ、絵画と庭園の中にアルカディア(理想郷)を作り上げ」たという説明がまさにその通り!

ほとんどがサンギ―ヌと呼ばれる赤いチョークで書かれた作品でしたが、古代遺跡とともに洗濯をする女たちなど日常の生活を送る人々が描きこまれており 不思議な雰囲気の絵でしたね~

年代別に6セクションに分かれていて:
Ⅰイタリアと画家たち
Ⅱ古代ローマと教皇たちのローマ
Ⅲモティーフを求めて
Ⅳフランスの情景
Ⅴ奇想の風景
庭園からアルカディアへ

18世紀というのはポンペイやヘルクラネウムなどの遺跡が発掘されて古代ローマブーム?が沸き起こっていた時代だそうです。私たちからすれば、歴史!昔のこと!!、とひとくくりになってしまうけれど、当時の人たちにとっても古代ローマは昔々の「古代」のものなんだよね。1600年代も1800年代も2012年からすれば過去!の一言だけれども18世紀のロベールにとっても200年前に作られそのまま放置されている教皇の別荘なんかもものすごい昔の建物。草木が生い茂り建物は古び・・・逆だ、 古びていく建物に生き生きと成長する木々。そして生きている人々の普遍の営み。様々な時間が凝縮されて一枚の絵画世界を構成しています。

今回のお気に入り(番号は展示番号):70 羊飼いの礼拝 81 思索中に驚かされる修道士 88 宮殿の階下の魚釣り


奇想画:(カプリッチョ、というイタリア語も可愛らしい感じ~「奇想曲」もカプリッチョですね)想像によって構成した都市景観画のことを概ね表すらしいですが実際にはあり得ない風景を描いたものとはいえロベールの描く遺跡は(おそらく今も)存在をし、しかも遺跡として、遺跡のままにずっと存在し続ける。

300年くらい後の人たちからしたら、私たちも「ムカシ」のこととひとくくりになるでしょう。この生活も遺跡化していく。それがずっとずっと続くのです。

ああ、時間の庭で迷子決定なわたし・・・・