今回の旅の締めくくりになるが、津山の城下町を歩く。
津山城の東、宮川を渡ったところ一帯が「城東伝統的建造物群保存地区」になっている。
初秋の人影も少ない平日の午後、ご城下を、これと言って目標を定めず、の~んびりと歩いた。
お城の石垣を下り出雲街道に出て、宮川に架かった「大橋」を渡る。
振り返ると、民家越しに津山城の石垣、備中櫓が見える。
ここからが、伝統的な建物が保存されている地区になる。
ここで、街道はカクン、カクンと90度に二度折れている。
城の御門に見る「枡形」の形にできている。
しばらく進むと、格子戸の家が何棟か見られるようになる。
言い古された言葉を使えば、昔にタイムスリップしたような雰囲気である。
白壁の土蔵に火の見やぐら。
てっぺんに上れば、町全体が見渡せる高さであろう。
出火元を確認しながら、威勢よく半鐘をたたく人の姿が目に浮かぶ。
まるで時代劇を見るようではないか。
津山では、映画「男はつらいよ」のいくつかのシーンが撮られた場所がある。
それを示す、こんな碑が立っている。
街並みの雰囲気を壊さないように、新しく生まれたお店もある。
ここは、昔の銭湯の形を残しながら、Cafeに形を変えたところである。
オーナーは地元の青年で、街のお年寄りが集い、茶飲み話でもできる場所を提供したいという気持ちがあったようだ。
冷たいものでも飲もうと、寄らせていただいた。
内部も銭湯の姿が残っていて、コーヒーを飲みに立ち寄るお年寄りたちには懐かしいはずである。
コーヒーを飲みながら、「昔はああだった、こうだった」なんて話も楽しそうではないか。
湯上りのおしゃべりを楽しんだころが戻ってくるようであろう。
立派な焙煎機があるコーヒーのお店ではあるが、汗がにじむほどに歩いたので冷たいものをお願いした。
ブルーベリーのスムージーとりんごジュースが気持ちよく喉を通った。
この街を行き交う人も少なく、ゆったりと時が流れているようだった。
改めて「寅さん」のビデオを見て、映像に残された街のあちらこちらを思いだしてみるのが楽しみである。