広島県にある日本百名城を巡る旅の二泊目は、広島市内のホテルをとった。
夕暮れ時、宿泊客はそれぞれ夜の街に繰り出していく。
我々は、例によって、土地のおいしいものが食べられそうな店を捜して街中をぶらつく。
結果は、すでに満席とのことで二軒に断られ、何とか三軒目で「なでしこ食堂」さんに落ち着くことができた。
店長にいただいた名刺には「B級グルメ」とあり、「なでしこ」の名の通り女性だけで切り盛りしているお店である。
第一印象、気に入った(私の勝手な好み)。
ちょっとレトロな雰囲気のある、「居酒屋ってこうだよね」と思わせてくれるお店であった。
最近多くなったタブレット端末から注文するようなスタイルではない。
もちろん、「今日のおすすめ」などは、その日の日付の入った手書きのメニューであり、あれこれ女性スタッフに訊きながらオーダーする。
取り敢えずのビール。
お通しの「ヒジキの煮物」は、ちょっぴりカレーの味を利かせてあり意外だった。
居酒屋では、ポテトサラダは、それがあれば必ずといっていいほど頼むメニューだが、お店によって個性がある。
ここのは柔らかめに仕上がっていて、サラダにちょっとかかっているタレとポテトがいい相性である。
ハート型の小さな紙のプレートが立っていて、「おいしいヨ」と書かれていたのには思わず笑ったが、その通りおいしかった。
お刺し身は、カンパチ。
広島とくれば牡蠣を外せないが、当然、今日のおすすめにあった「焼き牡蠣」をチョイス。
牡蠣のうまい時期になり、塩加減もよくおいしかった。
おすすめメニューのもう一点は、珍しかったので「せせりの竜田揚げ」。
お酒(地酒)のメニューは多くて悩んだが、その中から「宝剣」というお酒に決めた。
このお酒を知っていたわけではないが、メニューに書いてあった「魚によく合う究極の・・・」というコメントに押された。
このテーブルによく合う徳利とお猪口である。
メニューには「ママの気まぐれ・・・」というものが少なからずあったのが面白い。
少し気まぐれな(?)調理や味付けなどされていて、いずれも良かった。
いくつかの料理とお酒を楽しんだ後、近くのテーブルから「ナポリタン」という声が聞こえてきた。
郷に入ったら郷に従え!、誘われるようにそれで〆ることにした。
玉ねぎや、赤いソーセージとスパゲッティをたっぷりのケチャップで和えてあり、目玉焼きが載っている。
メニューの定番「ママの鉄板ナポリタン」は、なつかしさがよみがえる味がした。
入店の時、私たちが最後の一卓で、そのあとに来た人は断られていた。
仕事帰りの人、出張で来たらしい人、旅行客、みなさん「なでしこ食堂」の料理と雰囲気を楽しんでいるようだった。
大勢の客なのに、注文したお料理がそう待つことなく出てきたのにも感心した。
この点は店長、スタッフに拍手。
ホテルをとった「大手町」は飲食店が集中しているエリアではないが、偶然にも良いお店が見つかったのはラッキーだった。