幸隆の国から

歴史の跡、自然、いい湯などを訪ねて出掛けたときの記録。
また、四季折々、日々の雑感です。

食にも秋の気配

2024-09-15 | グルメ

相変わらず暑い日が続くが、日中はセミの声はなく、陽が落ちると虫の声が聞こえるようになった。

ちょっとずつではあるが、秋が近づいている変化を感じる。

いつもおじゃまする「橙や」さんにも、その装いやメニューに秋がやってきている。

 

入り口にはすすきの穂に秋の野菜や果物が置かれ、秋らしさが演出されている。

 

そうは言っても、まだまだ暑かった一日を閉めるのはビール。

茄子の煮浸しで・・・。

 

さあ、秋のメニューをいただこう。

牛のステーキには「松茸」が添えられている。

和風のたれを掛けた牛がとてもおいしく、マツタケの香りとシャキっとした歯触りがちょっと贅沢な気分にしてくれる。

 

秋といえばサンマも欠かせない。

メニューには丸のままの塩焼きもあったが、山椒の風味を利かせて甘辛く煮たものにした。

焼酎によく合った。

 

仕上げは、季節メニューの「冷やしかけうどん」にする。

細うちのうどんに、よくダシの利いた冷えたつゆがかけられた夏メニューである。

もうすぐ、これはメニューから消えてしまうはずである。

トマト、キウリ、ナス、みょうがなどの夏野菜は変わらないが、最近、以前のエビ天に替わり、青森産の地鶏焼きが載っている。

好みにより「レモンのしぼり汁又はオリーブオイルをどうぞ」と言われ、オリーブオイルをほんの少し鶏にかけてみた。

冒険(?)もここまで・・・、「和」の領域は越えなかった。

 

今は、往く夏を惜しみながら、本格的な秋を待つ端境期に当たろう。

夏と秋、季節が入り混じったような食事を楽しんだ。


日本三大仏「岐阜大仏」

2024-09-13 | 旅行

岐阜市の観光スポット「岐阜大仏(正法寺)」は、日本三大仏の一つとされる。

そもそも日本三大仏とはどこなのか?、調べて見る。

「奈良の大仏」と「鎌倉の大仏」に加え、もう一つは、「岐阜大仏」のほか「高岡大仏」とする説もあるようである。

 

奈良、鎌倉、高岡、いずれの大仏様を見ているが、今回訪れた岐阜大仏は構造が異なるようである。

いただいたパンフレットを読んでみる。

「周囲1.8mの大イチョウを真柱として木材で骨格を組み、表層は竹材で編み、粘土を塗った・・・」。

粘土の上に「阿弥陀経など、一切経を重ね、その上に漆を塗り金箔を置いた」、そのようなことが書いてある。

それまで、粘土で造られた仏様だとは知らなかった。

 

下からお顔を見上げると、優しいまなざしでこちらを見てくれている。

 

それを収める「大仏殿」は三層の屋根から成る大きな建物である。

13mを超える大仏を収納する、大きな空間を作り出している。

 

岐阜大仏は、その構造から「籠大仏」とも言われる。

そう思って見ると、金属とは違った柔らかさ、やさしさを感じ、そのお姿や表情に癒された。

 


長良川うかいミュージアム

2024-09-12 | 旅行

長良川の鵜飼い観覧船の近くに「長良川うかいミュージアム」がある。

後になって思うと、このミュージアムを見学してから「鵜飼」を観る順番の方が良かった。

 

長良橋のたもとから「長良川プロムナード」という、川沿いの遊歩道を行くとミュージアムが見えてくる。

陽射しを遮るものが何もなく暑さには参ったが、脇を流れる長良川の景色が多少涼しさを感じさせてくれる。

 

土手を越えたところにあるミュージアムは、鵜のような黒を基調にしている。

 

ロビーに展示されている、鵜匠の装束を付けたマネキン、鵜を入れる籠、かがり火など。

 

内部には、鵜飼や鵜匠、鵜舟などについて知るための、説明パネル、写真、動画など豊富に公開されている。

原寸大の鵜舟の置かれたシアターでは、大画面の映像と音により鵜飼を体感出来る。

一段下のフロアからは、水中で鵜がアユを獲る様子の映像を見ることもできる。

また、寝転がって、2Fのラウンジからは長良川、金華山(岐阜城)の景観を楽しむことができる。

 

建物の外に出ると、鵜飼で活躍する「鵜」を観ることができる。

 

さて、実際に鵜飼を見て、鵜飼ミュージアムを見て、いろいろなことを知ることができた。

 ●鵜飼は「1300年」もの歴史がある。

 ●鵜匠は現在「6人」、その鵜飼の技術は世襲で代々その子に伝えられている。

 ●鵜匠は「宮内庁に所属」し、式部職という職にある。

 ●鵜飼に使われる鵜は、野生の「海鵜(ウミウ)」を茨城県で捕まえてきて訓練している。

浅学な自分は、恥ずかしいことに、以上のことは今回の旅(体験)を通して初めて知ったのだった。 


ホンモノの浮世絵を鑑賞

2024-09-11 | 旅行

偶然ではあるが、今回の旅で二つの美術館を見つけた。

ひとつは「中山道広重美術館」、もうひとつは「岐阜浮世絵春画美術館」である。

いずれも計画には無く、偶然に見つけたのであった。

 

「中山道広重美術館」(岐阜県恵那市)は、館名が示す通り中山道と広重をテーマとする作品を集めている。

1階の展示室には、日本橋を起点とし京都を終点とする木曽街道(中山道)六十九次の作品が通して展示されている。

歌川広重、渓斎英泉のホンモノの「木曽街道六十九次之内」を、胸をワクワクさせながら次々と観てまわった。

2階は資料館のようになっていて、展示のほか、版画を刷る体験もできる。

サンプルの「大井」(赤、黒、黄、青、茶)を刷ってみたが、ホンモノとは比べるべくもないが初挑戦ながらよくできた。

 

もう一か所の「岐阜浮世絵春画美術館」は、岐阜公園(岐阜市)の近くにある。

「こんな珍しい美術館があるんだ!」と驚きの気持ちを抱きながら入ってみた。

閉館直前の時刻であったが、館長さんが気持ちよく迎え入れてくれ、その上、親切に説明までしていただいた。

館長さんが40年以上の歳月をかけて集めた、2000点もの「春画」の中から順次展示されている。

肉筆画や版画、カラーや白黒、大から携行サイズまで、一枚ものから綴じた本まで多岐にわたる。

対象も、花魁からお公家様らしき人までもが描かれていて興味深い。

作者には、喜多川歌麿、歌川広重、鈴木晴信など、私でも知っている有名な浮世絵師も並んでいる。

実は、これはちょっと驚きであったが、さすがにきれいな絵を描いている。

 

以上の浮世絵の美術館二館の鑑賞は、今回の旅では想定外であった。

日常ではあり得ないと思っていたことが突然実現し、なんとも楽しい経験が出来た。

 


鵜飼観覧船で食べる鮎

2024-09-10 | 旅行

今回の岐阜への旅のお楽しみのひとつは、初めての「鵜飼」見物であり、事前に食事(弁当)付きの乗合船を予約しておいた。

 

夕日が沈むころになり、乗り場の近くでは、乗船の前に、鵜匠の説明を聞くことができる。

実演もあり、魚を呑ませてから、首をキュッと絞めて呑んだ魚を吐き出させる。

始めて見る者にとっては、ちょっとかわいそうな気もする。

 

船内での飲食は自由である。

予約しておいたお弁当を受け取り、近くでビールを買って指定された屋形船に乗り込む。

幸いにもこの船は「トイレ付」であり、「心配なく」飲める。

 

既に先に乗り込んでいた浴衣姿の女性4人組は、早くも始めている。

私たちも早速ビールを開け、弁当を開く。

弁当に「アユが入っているといいな~」、ちょっと期待していたのだが、あった!、塩焼きのアユがちゃんと入っていた。

「鵜飼を観ながらアユをかじる」、この状況がなにより食事をおいしくしてくれた。

川面を渡る風を感じつつ飲むビールがうまかった。

 

その日もお天気は良く、何艘もの観覧船が出ていた。

漁のポイントに着き鵜飼が開始されるまでの時間、食事をしながら過ごす。

意外だったのは、踊りを披露してくれる船もやってきて楽しませてくれる。

 

ビールが空き、食事がすむころ、パーン、パーンと漁の開始を告げる花火が打ちあがる。

一斉に鵜飼の舟が動き出し、かがり火の明かりに鵜匠の鵜を操る姿が見える。

鵜匠のさばく綱の先では鵜がせっせと潜り、魚を追っている。

 

いよいよ漁のクライマックス。

6艘の舟が協調し、横いっぱいに広がり、一方向に魚を追いこんでいく。

舟のへりをたたくバンバンと音が聞こえ、暗闇に、鵜舟のかがり火が一列になって進む幻想的な情景が拡がる。

 

1300年伝承されているといわれる「鵜飼」。

船を下りる時には、それまで、なにか違う世界にいたような感覚に陥った。

芭蕉は、「おもしろうて やがて悲しき 鵜舟かな」と詠んでいるという。