どちらも現実を元にした話で迫力があり、歴史の裏側を知るのに役立ちます。
「グレート ディベーター」は黒人と白人の高校が分かれていた時代の話で、黒人校のディベート部が全米で優勝した実話を描いています。
ワシントンはそこの顧問教員で、差別に対しケンカで応じるコトしか出来なかった不良達に、言葉で応戦する術を伝授します。
ワシントンは労働組合の活動員でもあり、当時は労働運動が「アカ狩り」で弾圧されていて、地下活動を指揮したリーダーとして指名手配されます。
なかなか此処までシブい教員を描いた作品は無く、もう1人挙げるとしたら「アメリカン ヒストリーX」で刑務所に入れられた白人至上主義者の主人公を救った教員で、彼もアフリカ系でした。
私はアフリカ系の人達と、延べ一年ほど参加したアメリカ平和行進でけっこう親しめました。
概ね貧しい彼等は、その分暖かい心を持っており、アジア系(ネイティブ)と連帯しようとする機運も高まっております。
話を「遠い夜明け」に持って行きますと、これは南アフリカのアパルトヘイト(黒人弾圧)を描いた作品で、このジャンルでは「インビクタス」や「イン マイ カントリー」も紹介しましたが、ワシントン主演の「夜明け」は特別なリアリティがある作品です。
それは実在した活動家の生涯を描いており、彼は政府によって殺害されてしまいますが、その同胞達の暮らしの為に戦った「妙なる命」は、多くの虐げられし人々の心に勇気を与え、アパルトヘイトを打ち破る「力」となりました。
他にもワシントンには数々の名作があり、トム-ハンクスと共演した法廷モノの「フィラデルフィア」や、核戦争の危機をリアルに描いた「クリムゾン タイド」などが特にお勧めです。