ジーン・ウールの不思議な旅

ジーン・ウールは不思議な女性です。姿を変えて過去にも未来にも現れます。
もしかしたら貴方の友人や奥様かも知れません。

イシュタルの首飾り 2

2006-07-16 06:54:38 | イシュタルの首飾り
2.
女主人公はアッダ・グッピ。バビロン王ナボポラサルの治世16年目のこと。神々の王ナンナル(エンリルとナンナルの子)は、自らの町と民に怒り、天界へと飛び去った。こうして町と民は廃れた。ハランの住民は神に見捨てられた都市を捨てた。しかし、女祭司アッダ・グッピだけはハランに居残った。彼女は何ヶ月も何年も、毎日休むことなく、昼も夜も神に見捨てられた神殿を訪れた。アッダ・グッピは裂けた衣をまとい、音もなく神殿を訪れては立ち去った。

そんなある日、荒れ果てた神殿でアッダ・グッピはナンナル神の礼服を発見した。その礼服は、ナンナル神在りし日のままのきらびやかさだった。アッダ・グッピは礼服の裾をにぎって、涙ながらに祈った。

「あなたが都に戻られるなら、黒き頭のものはみな、あなたを神として崇拝するでしょう」
アッダ・グッピは霊能力に優れた女祭司で、そうした幻視が見えたのでしょうか。

「ナンナル、天と地の神々の王は、われの善き行いに微笑んだ。神は我が祈りを聞き届け、わが誓いを受け入れた。神の怒りは鎮まった。エフルフル、ハランの神殿、神の喜びである神聖なる住居にて、神は妥協された。神は心を変えられた。ナンナル、神々の支配者は、わが言葉を受け入れられた。ナブネイド、わが息子、わが子宮より出でし者を、神は王と呼ばれた。シュメールの王と。エジプトの国境より上海(地中海)から下海(ペルシア湾)に至る地を、神は息子の手に委ねた」
そして、アッダ・グッピの息子ナブネイドが母親に代わって約束を果たしました。ナブネイドの石柱にアッダ・グッピの最後が記録されているそうです。
「ナブネイドの治世9年目のこと、天命により彼女は世を去った。ナブネイド、バビロンの王。彼女の息子、彼女の子宮より出でし者は、彼女の亡骸を葬り、王家の礼服と純白の亜麻布で包む。彼女の亡骸を美しい宝石で飾る。輝かしい黄金で飾る。彼女の亡骸に甘い香油を塗り、秘密の場所に埋葬する」

王母アッダ・グッピの死は、全メソポタミアの悲しみとなった。・・こちらは、とりあえずハッピーエンドです。

 ところで、どうしてネフェルティティのことを書くのかというと、ネフェルティティとアクナテンが信仰したのはアテン神で、アテン神はネフェルティティの故郷ミタンニの神で、ミタンニの神とは実はイシュタルで、今からイシュタルのことを書こうと思うからなのでした。ギルガメシュ叙事詩では、わがままな女神さまと書かれているけど、本当はとってもすごい女神さまかも知れない。

 
 この物語では、バビロニアのギルガメシュ叙事詩的イシュタルは描かない。
古代神話で「世界の乙女」と呼ばれ、一万もの名称をもつ女神がいる。フリュギア人は神々の母ペシナンティカ、アッティカ人はケクロプスのミネルヴァ、キュプロス人はパポスのウェヌス、クレタ人はディアナ・ディクチュンナ、シチリア人はペルセフォネ、エレウシスの人々は女神ケレスと呼ぶ。 ユノ、ベロナ、ヘカティ、ラムヌシア と呼ぶ人もいる。エチオピア人、アリ人、エジプト人は女王イシス、そしてバビロニア人はイシュタルと呼ぶ。


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