19-150「明治東京恋伽」（日本）

物の怪は約束を絶対守るから
　ごく普通の女子高生・綾月芽衣は、自称・奇術師のチャーリーによって少し不思議な明治時代の“東亰”にタイムスリップしてしまう。
　そして迷い込んだ鹿鳴館で、森鴎外や菱田春草、川上音二郎、泉鏡花といった歴史上の人物たちと出会うのだったが。（「allcinema」より）


　奇術師のチャーリーによって明治時代へとタイムスリップしてしまった女子高生、綾月芽衣が、歴史上の人物と出逢い、恋に落ちていくというラブ・ファンタジー。

　ドラマ放映があったようで、冒頭はこれまでのあらすじを流し、芽衣が森鴎外や川上音二郎、泉鏡花らと出逢っての恋愛譚らしきものが描かれる。

　そして映画である本作では、実業家である岩崎桃介と出逢い、彼の研究室に寝泊りさせてもらうことになった芽衣との関係が描かれる。

　恋愛ファンタジーゲームが基となっている作品だったんだな。

　更に恋愛だけでなく、芽衣は物の怪が見える魂依の能力を持つという設定で、現れる物の怪による事件を解決するという展開もある。

　明治時代を舞台にしているので、恋愛にも物の怪にも、ちょっとしたレトロ感を期待するかな。

　歴史上の人物たちとの恋愛ということであったが、どちらかと言えば、芽衣は彼らに迫られる方。

　そして本作では、岩崎桃介から迫られる。

　岩崎桃介は、実業家で、電気を日本中に普及するため尽力した人物で、後に福澤諭吉の婿養子となり、福澤桃介となった人物。

　川上音二郎とも親交があったよう。

　そのあたりは事実に則っているんだな。

　そんな桃介との恋愛もどき、更に桃介にまとわりつくという物の怪の謎が明かされるという展開。

　現代の芽衣の姿を見ていないので、ハッキリとは言えないが、芽衣が明治の時代を経験することによって成長する姿を描いた話でもあったよう。

　果たして、芽衣の恋愛譚はどうなるのかと思ったが、ある意味落ち着くところに落ち着いたなという印象。

　ハッピー・エンドのようであるが、この先の人生はどうなるんだろうという疑念は残ったな。

/５

監督：副島宏司
出演：伊原六花、小林豊、宮崎秋人、岩永徹也
　　　松島庄汰、とまん、山崎大輝、髙橋真佳把、久保田悠来
於：シネマート新宿