安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ユタ・ヒップ JUTTA HIPP WITH ZOOT SIMS

2011-05-29 10:08:05 | ピアノ

お茶の水のディスク・ユニオン「Jazz Tokyo」に初めて入りました。先週、東京へ行ったのですが、用事の合間をぬって、なんとか30分ほど店内を見て回ることができました。とりあえず雑誌「Jazz Perspective」を買いましたが、LP、CDとも在庫が豊富で、これからはここへよることが多くなりそうです。久しぶりに、東京都内をあちこちと駆けまわったらかなり疲れました。癒し系のアルバムで。

JUTTA HIPP (ユタ・ヒップ)
JUTTA HIPP WITH ZOOT SIMS (BLUE NOTE 1956年録音)

 With_zoot_sims_jutta_hipp

リーダーのユタ・ヒップ(p)には失礼ながら、ズート・シムズ(ts)目当てで購入したアルバム。1956年のズートは絶好調で、「Zoot」(Argo)、「Zoot Sims」(Ducretet Thomson)、「The Modern Art of Jazz」(Dawn)など代表作を作っています。また、リード・マイルスによる、ジャケットは鍵盤を模したデザインでしょうか、色づかいも鮮やかで、1500番台の中で異彩を放ち、明るいこの作品のムードを表しているようです。

メンバーは、ユタ・ヒップ(p)、ズート・シムズ(ts)、ジェリー・ロイド(tp)、アーメド・アブダリ・マリク(b)、エド・シグペン(ds)。ジェリー・ロイド(tp)のプレイは、中音を中心とした落ち着いたもので、ちょっとチェット・ベイカーを思わせるところがあります。

曲は、ズートの自作「Just Blues」、マット・デニス作の「Violet For Your Furs」(コートにすみれを)、ジェリー・ロイドの「Down Home」、J.J.ジョンソンの「Wee-Dot」、ミュージカルナンバーの「Too Close For Comfort」の6曲。僕はマット・デニスのファンなので、名曲の「Violet For Your Furs」が入っていると、ヴォーカル、インスト問わず、期待をもって聴くことが多いです。

一番のお目当ては、ズートの吹くバラード「Violet For Your Furs」ですが、1曲目の「Just Blues」から乗りまくるズートのプレイが楽しめます。一般には火を噴くようなヴァージョンが多い「Wee-Dot」ですが、ここでは、皆で軽くやろうというムードで演奏されており、異色ですが悪くはありません。ユタ・ヒップも各曲でソロをとっていますが、やはり「Violet For Your Furs」におけるプレイが美しくて印象に残ります。

ホームページのジャズに、ユタ・ヒップ(Jutta Hipp ピアノ)を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう ユタ・ヒップ 

Jazz Tokyo】と【Jazz Perspective

  Diskyunionjazztokyoiriguchi_4    Jazzperspective201105_2    


ディーター・ライス A HAPPY AFTERNOON

2011-05-22 18:59:36 | ピアノ

いよいよ地上デジタル放送を見ることのできるテレビを買うことになりました。使えるものは使おうと今まで我慢してきたのですが、とうとう奥さんも我慢しきれず、なんでもいいから買おうと長野市若里にあるケーズ電気(家電量販店)に行ってきました。いろいろな製品をみてまわったのですが、画面は大きくて写りもよく、録画もでき、昔のものに比べてはるかに使い勝手がよくなっています。これでDVDも見られるのは嬉しい気分です。そんな時に相応しいタイトル作品。

DIETER REITH (ディーター・ライス)
A HAPPY AFTERNOON (MPS 1966年録音)

 Ahappyafternoon

「A HAPPY AFTERNOON」(幸せな午後)とはよくつけたタイトルです。そんな気分の時もないわけではないし、タイトルどおりにハッピーなアルバムです。風変わりなジャケットでも昔から知られていて、「時計のライス」という通称で呼ばれることもあります。ディーター・ライスはドイツのピアニストですが、このアルバムでは固いというイメージは一切ありません。

これを買った時にパーソネルを見たら、ベースとドラムスの2人はクラシックのジャズ化を行ったピアニストのオイゲン・キケロ・トリオのメンバーであったので、一瞬びっくりしました。ディーター・ライス(p)、ペーター・ウィッテ(b)、チャーリー・アントリーニ(ds)というメンバー。ベースは堅実ですが、アントリーニ(ds)は結構奔放にプレイしています。

ライスのオリジナルが3曲で「A Happy Afternoon」、「Blues」、「How About a Blues」に、「Days of Wine and Roses」(酒とバラの日々)、「On Green Dolphin Street」、「Wives and Lovers」、「Just in Time」、「Fly Me to The Moon」という有名曲の合わせて8曲。自作にブルースという言葉が入っていますが、洗練されていてヨーロッパにおけるブルースという雰囲気です。

「Blues」と「Fly Me To The Moon」の2曲はピアノ・ソロ。トリオでやった曲は、早いテンポにおけるピアノが快調で、加えてアントリーニ(ds)があおったりと充実したプレイが聴けます。ライスの自作では「A Happy Afternoon」がテーマに迫力があり、「How About a Blues」はオスカー・ピーターソンばりに派手です。力の入った「On Green Donphin Street」、ライスの右手のシングルトーンの美しさがよくわかる「Just in Time」あたりでことにハッピーになれます。

ジリオラ・チンクェッティのボックス・セット

イタリアのカンツォーネの歌手、ジリオラ・チンクェッティの紙ジャケットBOXが、5月25日に発売になります。5枚のアルバムがCDで復刻され、しかも充実した解説書つきで、手軽に聴けるようになりました。入手しにくいアルバムもあったので朗報です。ワーナーからの発売(WQCP952~956)です。

   Gigiliolacinquetticollectionomote  

      (ボックスの表)  

   Gigiliolacinquetticollectionura

      (ボックスの裏)

        


フランク・ウェス SOUTHERN COMFORT

2011-05-18 23:33:16 | テナー・サックス

今日は出張で、菅平高原(上田市)、佐久市、小諸市など東信地方(長野県の東部のことをいいます)に行ってきました。菅平高原は、夏のスポーツ合宿や冬のスキーで賑わう観光地ですが、訪れたのは二十年ぶりくらいなので、道路沿いにある「唐沢の滝」と「菅平ダム湖」の写真を撮ってみました。天気もよくて高原を爽やかな風が吹き渡っていました。今日はリズムが賑やかな作品を。

FRANK WESS (フランク・ウェス)
SOUTHERN COMFORT (PRESTIGE 1962年録音)

 Southerncomfortfrankwess

ジャズのフルート奏者は、かつては専業の人は少なく、ビッグバンドで持ち替えて演奏するという人が多かったように見受けられます。カウント・ベイシー楽団に在籍したテナー・サックス奏者のフランク・ウェスもその一人ですが、同楽団におけるソロ、そして多くのレコーディングでフルートを用いており、フルートも主楽器になっています。

メンバーは、フランク・ウェス(ts,fl)、オリバー・ネルソン(ts,arrange)、アル・アーロンズ(tp)、ジョージ・バロー(bs)、トミー・フラナガン(p)、ジョージ・デヴュヴィエ(b)、オシー・ジョンソン(ds)、レイ・バレット(コンガ)という8人編成のコンボで、コンガが入り、リズムが強化されています。コンガ入りの作品は、僕は敬遠気味でしたが、この頃では気にならなくなっています。

オリバー・ネルソンによる編曲が施されていますが、ぶっつけ本番の多いプレスティッジ・レーベルにしては珍しいかもしれません。曲は、ネルソン作「Southern Comfort」と「Shufflin'」、ウェス作「Gin's Beguine」と「Summer Frost」、Bob Bryant作「Blues For Butterball」、そしてスタンダードの「Blue Skies」、「Dancing In The Dark」。

ブルージーな「Southern Comfort」、「Blues for Butterball」では、ウェスがテナー・サックスでエキサイティングなソロをとり、ベイシー楽団の同僚アーロンズ(tp)はリズミカルなフレーズを連発して余裕のあるところをみせ、ドラムスとコンガの掛け合いがスリリング。ウェスのアルト・フルートの妙技が披露されるバラード「Summer Frost」、デヴュヴィエ(b)をフューチャーした「Shufflin'」と、中身がバラエティに富んでいます。フラナガン(p)のソロもありますが、リズム陣の予期せぬ活躍ぶりにも驚いた一作で、ネルソン編曲のアンサンブルが聴けるのも嬉しい。

唐沢の滝

菅平高原の入口にある、高さ15メートル、幅10メートルの滝。道路から近いので、季節を問わず見に行けそうです。新緑の中を水しぶきをあげて滝が流れ落ちます。

 Karasawanotakizenkeimannaka 

 Karasanotakishikin

菅平ダム湖

 Sugadairadamuko201105


トニー・ベネット WHEN LIGTHS ARE LOW

2011-05-15 13:45:37 | ヴォーカル(S~Z他)

先日tutayaでたまたま借りてきた映画(DVD)に、トニー・ベネット(vo)が歌手として出演していました。作品名は「アナライズ・ミー」で、ハロルド・ライミス監督、出演は、ロバート・デ・ニーロ、ビリー・クリスタルなどでコメディです。マフィアのボスが、ストレス性発作に悩まされて精神科医にかかり、騒動が起きるという内容ですが、最後に歌手としてトニー・ベネットが登場し、歌うのは、ハッピーエンドに相応しい「I've Got The World on A String」。ベネットのアルバムを聴いてみます。

TONY BENNETT (トニー・ベネット)
WHEN LIGHTS ARE LOW (COLUMBIA 1962年録音)

 When_lights_are_low_3

トニー・ベネットは、1950年代から大活躍し、60年代も62年の「I Left My Heart In San Francisco」や続く63年の「I Wonna Be Around」などで大ヒットを放ち、アルバムも多数ある代表的な男性シンガーの一人です。上記の映画は、1999年の製作なので、ベネットが73歳の時の出演になります。髪の毛は白くなったものの、歌う姿に惹きつけられます。

ベネットの張りのある力強い歌声を聴くと、オペラのベル・カント唱法を想いうかべます。このアルバムでも、そんな箇所もありますが、全般的にはリラックスした歌声が聴けます。伴奏は、ラルフ・シャロン(p)、ハル・ゲイロード(b)、ビリー・エクスナー(ds)。

曲はスタンダードが多く、「Nobody Else But Me」、「When Lights Are Low」、「On Green Dolphin Street」、「Ain't Misbehavin'」(浮気はやめた)、「It's A Sin To Tell A Lie」(嘘は罪)、「I've Got Just About Everything」、「Judy」、「Oh! You Crazy Moon」、「Speak Low」、「It Had To Be You」、「It Could Happen To You」、「The Rules Of The Road」の12曲。「Judy」は、ホーギー・カーマイケルの曲ですが、ジュディー・ガーランドが好きな歌で、彼女の芸名は、この曲名からとられたそうです。

「It's A Sin To Tell A Lie」(嘘は罪)は、4ビートで絶妙にスイングし、シャロンのピアノと一体になった歌が聴け、絶品といっていいのではないでしょうか。他にも、ミディアムで快適にバウンドする「Nobody Else But Me」、すごいスロー・テンポでヴァースから歌う「On Green Dolphin Street」、情感を込めて歌う「Judy」など、伴奏陣の好演ともあいまって、忘れられない作品です。曲によりテンポの設定が思い切って行われていて、ベネットのこだわりが感じられます。

アナライズ・ミー】 DVD

 Analyzemedvd

アメリカでは大ヒットした映画のようですが、日本での受けはどうでしょうか。精神分析やサンサルティングが盛んなアメリカの世情を反映してヒットしたのかもしれません。ロバート・デ・ニーロなど達者な役者ぞろいで、大笑いをするというようなコメディではありませんが、さもありそうな話が愉快です。


アート・ペッパー THE ART OF PEPPER

2011-05-08 23:03:28 | アルト・サックス

きのうの土曜日は、松本市内で仕事がらみの展示会があり出席してきました。駅前で開催されたのですが、少し遠い「あがたの森公園」駐車場に車をとめて、あがたの県公園と市街地をぶらぶらと歩いてみました。ちょうどいい風が吹いて5月らしい季節を感じることができました。帰宅してから、爽やかな吹奏が聴けるペッパーの「オメガ・テープ」を聴いてみました。

ART PEPPER (アート・ペッパー)
THE ART OF PEPPER (Omegatape 1957年録音)

 Omegatapesartpepper          Art_is_the_art

                               (参考)日本盤LP(Trio)ジャケット                         

アート・ペッパー(as)の名作の一つですが、アラジン・レーベルへ録音されたものの同社の倒産により、オメガからオープンリール・テープで発売されたものです。そういうマイナーな扱いでもあったためか、書籍やディスコグラフィーによっては、1958年1月録音と記しているものもあります。僕はTrioから出された国内盤LPで楽しんできましたが、CD時代になってコンプリート盤も出され、ようやく全貌が明らかになりました。

メンバーですが、アート・ペッパー(as & ts)、カール・パーキンス(p)、ベン・タッカー(b)、チャック・フローレス(ds)。パーソネルの表記には、ペッパーはテナー・サックスも使用したことになっていますが、どの曲(あるいはどの部分)か不明です。どなたかわかる方がいれば教えてください。僕は、全てアルトではないかと推測していますが、ペッパーの音はかなり太く、「Holiday Flight」のはじめの方などテナーを吹いていると言われてもおかしくないような感じもします。

ペッパー自作の2曲「Holiday Flight」、「Surf Ride」、バド・パウエルの「Webb City」にスタンダードの「Too Close For Comfort」、「Long Ago and Far Away」、「Begin The Beguine」(ビギン・ザ・ビギン)、「I Can't Believe That You're in Love With Me」、「Summertime」(サマーマイム)、「Fascinatin' Rhythm」(魅惑のリズム)、「Body and Soul」(身も心も)、「Without a Song」そしてラテンの「The Breeze and I」(そよ風と私)の12曲。

どの曲もアート・ペッパーのアイデア溢れるフレーズの連続によって、スピード、スリル、陰影のある抒情などがぎっしりと詰まっています。自作の2曲はもちろん、早いものでは「Long Ago and Far Away」、「Fascinatin' Rhythm」、スローの「Summertime」、「Without a Song」など。パーキンス(p)のはじけるようなプレイも聴きもので、「The Breeze And I」において、ペッパーのバックでパーキンスが主旋律を弾き、両者がからみあう部分はことに気に入っています。惜しむらくは全体に録音がいま一つ。

松本市あがたの森公園

旧制松本高校の跡地に整備された公園で、同高校の建物も一部残されています。面積が61000㎡と広く、芝生、池、ベンチなどが整備され、市民の憩いの場所となっています。

  Agatanomorihodou

   並木道。左手の建物は旧制松本高校の講堂

  Agatanomoriyuuseikoukoukinennkan

   右手の建物は、旧制高校会館

  Agatanomorituuro

              遊歩道

  Agatanomoriike

               池