安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ジャック・ウィルソン THE JACK WILSON QUARTET FEATURING ROY AYERS

2013-03-31 11:57:39 | ピアノ

今年は桜の花が咲くのが早く、飯田市内でもあちこちで見られるようになりました。出かけたいところですが、今シーズンは花粉症がひどく、外出を躊躇する日も多くなっています。外出時にはサージカルマスクをかけ、薬も朝晩飲んでいます。薬は、知り合いの薬剤師さんお薦めの「アレグラFX」で、鼻炎用ですが、結構効くので助かっています。スカッとした演奏を聴いてみました。

JACK WILSON (ジャック・ウィルソン)
THE JACK WILSON QUARTET FEATURING ROY AYERS (ATLANTIC 1963年録音)

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ジャック・ウィルソン(p)の振幅が大きい速いパッセージによるソロは爽快感があります。1960年代から70年代にかけての、アトランティック、ブルーノート、ディスカヴァリーなどに残した彼の諸作は、編成は様々ですが、面白いものが多く、一時期集めました。ウィルソンの初リーダー作でもあるこのアルバムは、朝からでも聴けるような爽やかなもので、低い音でかけているとBGMにも適しているようにも感じます。

編成は、モダン・ジャズ・カルテットと同じで、ウィルソン(p)、ロイ・エアーズ(vib)、アル・マッキボン(b)、ニック・マルティニス(ds)というメンバー。ウィルソン=エアーズのコンビは、60年代を通して活動しましたが、なかなかの名コンビです。ウィルソンもエアーズもテクニシャンで、速いところは一糸乱れることがなく、スロー部分ではたっぷりと歌うなど、共通点があります。また、フレーズが明るめな点もこのコンボの特徴でしょうか。

曲は、1曲目の「Corcovado」(コルコヴァード)はスタンダードですが、あとはウィルソンの自作が5曲で、「Jackleg」、「Blues We Use」、「Harbor Freeway」、「De Critifeux」、「Nirvana & Dana」の全6曲。5曲も自作を提供しているのは意欲の表れでしょうし、「Blues We Use」や「Harbor Freeway」は印象的なテーマを持つ曲で、初リーダー作から作曲の才を示しています。

ボッサ・リズムの「Corcovado」では、魅力的なテーマがピアノで静かに奏され、ヴィイブがそれを繰り返し、次第に華やかなアドリブに入っていき、気持ちがよい演奏。「Jackleg」は急速調で、ウィルソン(p)、エアーズ(vib)ともスピード感溢れる快活なプレイを繰り広げています。「Blues We Use」ですが、ウィルソンはトレモロや速いパッセージを交えたソロをとり、エアーズもここではミルト・ジャクソンを髣髴とさせるような伝統的なフレーズを用いて、グルービーさを醸し出しています。

【アレグラFX】

      Allegrafx


ヴィヴィアン・ロード ROUTE 66

2013-03-27 21:51:03 | ヴォーカル(S~Z他)

先日、松本市でかつて一緒に仕事をしていた仲間6人で同窓会を久しぶりにやりました。女性3人のうちの1人が京都市へ転勤になるので、その激励を兼ねたものですが、彼女は京都へいっても、松本の街を忘れずに、また戻ってくると宣言していました。会場のフレンチレストラン「レストロリン」のお料理もたいへん美味しく、いい時間を過ごしました。味わい深いヴォーカル作品。

VIVIAN LORD (ヴィヴィアン・ロード)
ROUTE 66 (CBSSONY 1986年録音)

 Route66vivianlord

ヴィヴィアン・ロード(vo)は、この録音当時は既にベテランの歌手兼ピアニストで、弾き語りなどでクラブ出演を行っていたようですが、録音がそう多くないだけに、この作品は貴重なものとなりました。また、このアルバムは、2013年3月現在、再発されていないので、プレミアムがついているようです。

伴奏陣が豪華です。メンバーは、ヴィヴィアン・ロード(vo)、ケニー・カークランド(p)、アンソニー・コックス(b)、ロニー・バラージ(ds)、ジェリー・ゴンザレス(tp)。ヴィヴィアン・ロードは、ジュリアード音楽院出身なだけに、ピアノの演奏にも長けていたようですが、このアルバムでは歌に専念しています。ケニー・カークランドのピアノにも注目が集まります。

曲はよく知られたスタンダードです。「Route 66」(ルート66)、「'Round Midnight」、「Try A Little Tenderness」、「Blue Skies」、「Gee, Baby Ain't Good to You」、「Trav'lin' Light」、「Black Coffee」、「My Foolish Heart」(愚かなり我が心)、「If You Could See Me Now」、「I Hear Music」の10曲。「Route 66」は、ボビー・トゥループの作詞作曲で、ナット・キング・コールがヒットさせましたが、なんといってもローリング・ストーンズのロック・バージョンがよく知られています。

ヴィヴィアン・ロード(vo)は、潤いのあるアルト・ヴォイスで、フェイクを交えながら快調。中でも、タイトル曲の「Route 66」は、明るくスインギーで、ハイウェイを気持ちよく飛ばしている感じです。ケニー・カークランド(p)の伴奏、ソロも推進力があります。「Blue Skies」も同傾向でさわやかな歌唱。バラードでは、カーメン・マクレーをちょっと想起させるところがあり、「'Round Midnight」や「Black Coffee」をじっくりと聴かせてくれます。前者では、ジェリー・ゴンザレス(tp)のミュート・プレイも効果的。

【レストロ リン プラス ユイット】
長野県松本市にあるフレンチレストラン。ワインなどお酒も豊富。ランチのコースで、サラダ、お魚料理、お肉料理、デザートなど美味しかった。

住所:長野県松本市大手3-2-27 松本城大手門駐車場北棟1F
電話:0263-32-8911
営業:11:30~13:30(L.O)、17:30~22:00(L.O) 月曜定休
http:http://restrorin.com/

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アーネット・コブ SIZZLIN'

2013-03-24 17:03:48 | テナー・サックス

20日(水)の祝日、中部国際空港(セントレア)のイベントスペースで行われた「南信州うまいものフェスティバル」に主催者の一人として参加してきました。長野県の飯田・下伊那地方から16事業者が出展し、500円と100円のワンコイングルメへの人気投票や食品・果物などの販売を行った催しです。ステージでは、名古屋のアイドルグループ「アイドル教室」のライブやクラシックギター、ハンドベルの演奏なども行われ、大勢の方が来場してくれましたが、疲れました。飯田市に帰ってから、アフター・アワーズ的なセッションを聴いて疲れを癒しました。

ARNETT COBB (アーネット・コブ)
SIZZLIN' (PRESTIGE 1960年録音)

 Sizzlin   

アーネット・コブ(ts)というと、リズム&ブルーズないしはモダン・スイングスタイルでハードにブローするテナー・サックス奏者というイメージが強く、癒し系の演奏といってもあまりピンとこないかもしれません。このアルバムでは、ピアノにレッド・ガーランド(p)が起用されたこともあって、スローテンポの曲を中心として寛げる演奏が収録されています。

メンバーは、アーネット・コブ(ts)、レッド・ガーランド(p)、ジョージ・タッカー(b)、J. C. ハード(ds)。アーネット・コブの実演には一度接したことがありますが、ハードな音でアップテンポで演奏していたのが記憶として残っています。既に晩年でしたが、音圧といいかなりな迫力でした。

曲は、コブのオリジナルが2曲で、「Blue Sermon」と「Sizzlin'」、イリノイ・ジャケー作「Black Velvet」、あとはスタンダードで「Sweet Georgia Brown」、「Georgia On My Mind」(我が心のジョージア)、「The Way You Look Tonight」(今宵の君は)の6曲。コブとジャケーのオリジナルはそれぞれ佳曲ですが、ことにジャケーの「Black Velvet」は、曲想自体がブルージーで、スタンダードと比べても遜色ありません。

アーネット・コブ(ts)は、「Sweet Georgia Brown」では、テンポも速くややブロー気味のプレイですが、続く「Black Velvet」ではゆったりとして哀愁も漂うプレイが聴けます。レッド・ガーランド(p)もバラード「Blue Sermon」においてイントロ、ソロと実力発揮で、深夜のジャズクラブにあたかもいるような気分にさせてくれます。ラテンリズムで始まる「The Way You Look Tonight」も快演で、ちょっとデクスター・ゴードンの乗りに近い感じもしますが、コブの方が年上ですね。

【南信州うまいものフェスティバルにおける「アイドル教室」のステージ】    

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    Idolclasscd    
    3曲入りCD「今はじまるストーリー」。このグループのプロデューサー(主宰者)の方といろいろ
話をしていたら、買うことになりました。 


テッド・カーソン THE NEW THING & THE BLUE THING 

2013-03-17 22:01:07 | トランペット・トロンボーン

所用があって名古屋へ行ってきました。ついでに、ちょっと足を伸ばして、地下鉄東山線の本山駅から歩いて5分ほどのところに位置する、ジャズ喫茶「Days」に寄ってみました。入り口の扉を開けると、LPレコードの収納棚があり、大きなスピーカーが目について往時のジャズ喫茶を髣髴とさせるたたずまいです。音量も適度でうるさくなく、素晴らしく落ち着ける空間でした。ミシェル・サルダビーの「Night Cap」がかかっていました。このアルバムもフランスのピアニストが演奏しています。

TED CURSON (テッド・カーソン)
THE NEW THING & THE BLUE THING (ATLANTIC 1965年録音)

 Thenewthingandthebluethingtedcurson

テッド・カーソン(tp)といっても、名前は聞いたことはあるけれど、彼のリーダー・アルバムを聴いている人はほんのわずかかもしれません。60年代におけるチャールズ・ミンガスとの活動で知られてはいるものの、比較的地味な存在といえます。ハードバップの枠におさまらず表現の幅を広げようとしたところは、ブッカー・リトル(tp)と共通項があるように感じます。

テッド・カーソンは、60年代の終わりから70年代半ばにかけて、ヨーロッパで活動をしていますが、その際の重要な共演者がジョルジョ・アルバニタ(p)で、フランスのfuturaレーベルにも両者で録音を残しています。本アルバムのメンバーは、カーソン(tp)、ビル・バロン(ts)、ジョルジュ・アルバニタ(p)、ハーブ・プシュラー(b)、ディック・バーク(ds)。

曲は、カーソンの自作が5曲で、「Straight Ice」、「Ted's Tempo」、「Nublu」、「Reava's Waltz」、「Elephant Walk」にスタンダードの「Star Eyes」で6曲。タイトル通り、新しいものとブルーズに根ざした曲、演奏が入っていて、3拍子の「Reava's Waltz」と6拍子の「Elephant Walk」と変拍子の曲もあります。ドラムスのディック・バークですが、レイ・ブラウン=ミルト・ジャクソン・グループでのシェリーズ・マンホールにおけるライブ録音しか知らなかったので、多彩なドラミングを行っていてびっくりしました。

タイトルに「The New Thing」とありますが、内容的にはハード・バップの延長といってよく、メインストリームの好きなファンも十分楽しめます。「Straight Ice」は、かなりブルージーですし、カーソン(tp)の柔かい美音でスローテンポで演じられる「Star Eyes」などは伝統的な系統の演奏。鋭角的なテーマを持ち、アルバニタ(p)ら各人のソロが展開される「Nublu」では、新しい方向性も出ていて意欲的です。

【Days】

所在地:名古屋市千種区猫洞4-30-7 prince of oranfe2F
電話:070-5694-2114
営業:13:00~22:00 水曜休み。(4月からお休みを増やすようです。)

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アンディ・ウィリアムズ YOUNG AT HEART

2013-03-10 18:46:05 | ヴォーカル(A~D)

愛知県豊橋市に所用があって行ってきました。到着時刻がちょうどよかったので、飯田市からJR東海の飯田線を走る特急「伊那路」に乗って行きました。飯田線は、天竜川にそってトンネルと橋梁が続く路線です。2時間半ほどかかりましたが、車両の乗り心地が良くて快適な旅でした。乗客にはお年寄りが目立ちましたが、皆さんかくしゃくとしていらっしゃいました。「Young At Heart」というタイトルです。

ANDY WILLIAMS (アンディ・ウィリアムズ)
YOUNG AT HEART (BounDEE 1960年録音)

 Youngatheartandywilliams

ポピュラー・ヴォーカルの大スターであったアンディ・ウィりアムズ(vo)にまさかのジャズ系の録音が残されていたとは驚きました。このCDは2011年12月の発売ですが、コメントをよくいただく、coffee windsさんのお店のCD鑑賞会で、最近取り上げられているのを目にして、購入したものです。ジャズ雑誌のリリース情報もたまに見ているのですが、見逃したのでしょう。

僕は、男性ヴォーカルも聴きますが、限られた歌手に留まっています。マット・デニス、バディ・グレコ、ボビー・ダーリン、ヴィック・ダモンの諸作を中心に、シナトラ、メル・トーメ、ナット・キング・コール、ジョニー・ハートマンといったところです。それにアンディ・ウィリアムズのこのアルバムを加えることができました。

ラジオ用の放送音源から作られたCDです。伴奏は、ハンク・ジョーンズ(p)、マンデル・ロー(g)、バリー・ガルブレイス(g)、エディ・サフランスキー(b)、ボビー・ローゼンガーデン(ds)。この伴奏のメンバーを見ただけでも興味が湧きます。曲はほとんどスタンダードで26トラック、各曲の録音時間は短く、長くて2分半ほどです。珍しいものでは、スティーヴ・アレン作「An Old Piano Plays The Blues」があり、ハンク・ジョーンズ中心の伴奏で歌っていて、なかなかいいムード。

フランク・シナトラの流れを汲んでいると思いますが、洒脱なところがあり、「You'd Be So Nice To Come Home to」や「Bye Bye Blackbird」などはそんな感じです。「But Not For Me」ではメンバーを紹介して、ゆったりスイングし、続く「Lucky Day」は軽快なテンポで明るく歌いあげます。もちろん「The Girl Next Door」といったバラードも歌っています。バラード歌手というイメージの強いアンディ・ウィリアムズですが、ジャズミュージシャンをバックにしたジャジーなものもあったのかと、それだけで喜んでいます。

【JR東海飯田線 特急「伊那路」】

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               飯田駅に停止中の伊那路

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            車両内です。なかなかいい乗り心地でした。