安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ウディ・ショウ MASTER OF THE ART

2014-01-29 22:07:30 | トランペット・トロンボーン

名古屋市内に出かけるのに、名古屋高速など市内の交通網に慣れていないので、繁華街までは自分の車をあまり使う気になりませんでした。それでも、たまにはと、先日、栄まで自分の車で行ってきました。途中、恵那峡サービスエリアで休憩をとりましたが、そこから御嶽山がくっきりと見えて、木曽路の入り口でもあったのだと改めて気付かされました。高速な曲も全く苦にしないトランペッターです。

WOODY SHAW (ウディ・ショウ)
MASTER OF THE ART (Elektra 1982年録音)

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来日も重ね、日本でも人気のあったウディ・ショウ(tp)ですが、残念なことに1989年に44歳という若さで亡くなってしまいました。CBSに有名作品がありますが、これは、ニューヨークにあったジャズスポット「ジャズ・フォーラム」におけるライブ作品です。当時のレギュラーメンバーにボビー・ハッチャーソンが加わっていることと、曲目に「Sweet Love of Mine」が入っているので、買ったアルバムです。

メンバーは、ウディ・ショウ(tp、flh)、スティーヴ・ターレ(tb)、マルグリュー・ミラー(p)、スタッフォード・ジェームス(b)、トニー・リーダス(ds)、ボビー・ハッチャーソン(vib)。ヴァイブが加わることにより、トランペット、トロンボーンとで面白いサウンドが作られています。ハッチャーソンのリーダー作「Live at Montreux」(Blue Note 1973年録音)にショウが参加するなど共演歴も長いので、息もあっているようです。

曲は、ウォルター・デイヴィス・ジュニアの「400 Years Ago Tomorrow」、スタンダードの「Diane」、セロニアス・モンクの「Misterioso」、ウディ・ショウの自作「Sweet Love of Mine」、最後に、ウディ・ショウへのインタヴューが収録されています。ジャッキー・マクリーン(as)のアルバム「Demon's Dance」(Blue Note 1967年録音)に収録された「Sweet Love of Mine」は、作曲者としてのウディ・ショウの名を知らしめることになりました。

ウディ・ショウ(tp)の快調さに加え、グループとしてのまとまりがあり、完成度が高いのではないでしょうか。「400 Years Ago Tomoroow」は、ラテンリズムも加味した華やかな演奏で、ショウの突き抜ける音やハッチャーソン(vib)の早いパッセージが興奮を呼び起こします。「Diane」では、ショウはフリューゲルホーンを使って抒情的なプレイを繰り広げています。「Sweet Love of Mine」は、踊り出したくなるようなリズムに乗った、哀愁を帯びた愛らしいメロディを聴けるだけで嬉しく、ショウとハッチャーソンのソロも美しい。

【中央道恵那峡サービスエリアからの御嶽山と名古屋テレビ塔】

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    雪をかぶっているのが御嶽山です。

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夜、栄(名古屋市)のホテルから散歩に出たらテレビ塔がライトアップされていたのでスマホで撮ってみました。植え込みもライトで装飾されていて、幻想的な光景でした。


レッド・ガーランド SOUL JUNCTION

2014-01-26 10:06:28 | ピアノ

先週、岐阜県にある明知鉄道に乗りました。JR中央線の恵那駅に接続する「恵那駅」から「明智駅」まで路線距離25.1km、駅数は11(起終点駅含む)というローカル鉄道です。2つの峠を越える急勾配と曲線が連続する路線として知られています。明知鉄道は様々な営業努力を行っていて、今回乗ったのはイベント企画の「じねんじょ列車」で、素朴で懐かしい味のとろろ汁やお料理をいただきながら、冬の田園風景を楽しみました。接続駅「Junction Station」から、「Soul Junction」を。

RED GARLAND (レッド・ガーランド)
SOUL JUNCTION (Prestige 1957年録音)

   Soul_junction

プレスティッジのブローイングセッションの一つで、ハードバップの代表的な一枚です。また、僕がはじめてジョン・コルトレーン(ts)に惹きつけられたアルバムです。ジャズを聴き始めて間もないころ、彼のインパルス後期盤を聴いていたのですが、ハード過ぎてどうにも馴染めないでいる時に、これを聴いたところ、ソノリティ(音の響き)やフレーズが安らいで聴こえるので感激しました。

メンバーは、レッド・ガーランド(p)、ドナルド・バード(tp)、ジョン・コルトレーン(ts)、ジョージ・ジョイナー(b)、アート・テイラー(ds)。サイドメンでは、コルトレーンやバードに注目が集まりますが、堅実派と思われているアート・テイラー(ds)のフィリー・ジョー・ジョーンズばりの強力ドラムプレイや、ジョージ・ジョイナーのベースも聴きどころになっています。

曲は、レッド・ガーランド作「Soul Junction」、ガレスピーの「Woody'n You」と「Birks Works」、エリントンの「I've Got It Bad and That Ain't Good」、ヴィンセント・ユーマンス作「Hallelujah」の全5曲。それぞれ、セッションの素材として、当時よく使われた曲だったのでしょう。「Soul Junction」は、ガーランド作ですが、その場で作り上げたと思われるようなブルーズ曲です。

学生時代の下宿で、隣の部屋の先輩が自作したスピーカーの試聴会を催した際に、これを初めて聴きましたが、モダンジャズの楽しさ、面白さが理屈抜きで伝わってきました。「Soul Junction」におけるガーランド(p)のゆったりとして寛いだソロからコルトレーン(ts)が登場するところは、鳥肌ものですし、「Birks Works」のコルトレーンのソロは、エネルギーが溢れています。「Hallelujah」における、ジョージ・ジョイナー(b)をバックにしたコルトレーンやバード(tp)のソロは、スリル満点で、ジョイナーの動きも、ダイナミックです。

【明知鉄道】

ホームページ:明知鉄道ホームページ

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                恵那駅に停車中の「じねんじょ」列車

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                   明智駅に置いてあったSL

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                                    明智町の路地

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岐阜県恵那市明智町は、「日本大正村」と名付けて観光に力を入れています。山際の白い建物が、「大正ロマン館」で、高峰三枝子さんの映画ポスターなど展示品が多数ありました。     


モニカ・マンシーニ MONICA MANCINI

2014-01-22 22:09:00 | ヴォーカル(L~R)

長野県の天然記念物に近々指定される貴重な樹木があると聞いたので、散歩がてら見てきました。飯田城跡地にある「イスノキ」ですが、マンサク科の常緑樹で、四国や九州に分布し、県内で自生はしていないとのころです。どうやら、江戸時代以前に植えられて、そのままここにあるようです。信州でも比較的暖かい当地なので、「イスノキ」も育つことができたのでしょう。音楽環境抜群の家庭に育ったシンガーです。

MONICA MANCINI (モニカ・マンシーニ)
monica mancini (PBS Records 1998年録音)

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映画音楽の代表的な作曲家の一人である、ヘンリー・マンシーニが作った曲を、娘のモニカ・マンシーニが歌ったアルバム。モニカは癖のないよく伸びる声で、ゆったりとレガートで歌うものが多く、ヘンリーが書いた美しい旋律を際立てています。1998年という時点で、このようなゴージャスなアルバム制作が行われたことに驚くと同時に、制作者に感謝したくなります。

編曲と指揮は、パトリック・ウィリアムス。彼は、映画音楽を手がけたり、ビッグバンドを率いてアルバムを制作しているので、任されたものでしょう。オーケストラのメンバー表がライナーにありますが、ストリングスはもちろん、ハープやフレンチホルンも動員されていて、贅沢な楽器編成となっています。歌の間に入るソロでは、ヒューバート・ロウズ(fl)やビル・ワトラス(tb)といったジャズミュージシャンも起用されています。

ヘンリー・マンシーニ曲集ですが、スタンダードといっても差し支えないものが多くみられます。「Moment to Moment」、「Two For The Road」(いつも2人で)、「Dreamsville」、「Crazy World」、「Anywhere The Heart Goes」、「Loss of Love」(ひまわり)、「Whistling Away The Dark」(暁の出撃)、「Charade」(シャレード)、「The Days of Wine and Roses」(酒とバラの日々)、「Slow Hot Wind」、「Dear Heart」、「Moon River」(ムーン・リバー)、「Music on The Way」の13曲。

モニカ・マンシーニが、ゴージャスな伴奏に乗り、滑らかに美しいメロディーを歌いあげています。「Moment to Moment」は、映画の方は有名ではありませんが、ジョニー・マーサーの歌詞とともに素晴らしい曲で、僕はこのアルバムでこの歌は知りました。「Loss of Love」は、このタイトルでは、すぐに「ひまわり」とはわかりませんが、哀切なメロディは、ソフィア・ローレン主演の映画の内容とともに忘れることができません。ピアノの伴奏や弦の響きが効果的な「Tow For The Road」、ジャジーな「Charade」、スローテンポの「Moon River」なども伴奏も含めてよいです。

【桜丸のイスノキ】

所在地:飯田市追手町長野県合同庁舎敷地内

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高さ約12m、幹回りは太いところで約2.3m。現在は飯田市の指定文化財(天然記念物)になっています。桜丸は、飯田城の三の丸のことで、通称を桜丸といったところからのようです。  


ケニー・バロン GREEN CHIMNEYS

2014-01-19 10:07:13 | ピアノ

1月15日に、飯田市の城山公園で行われた飯那地区交通安全祈願祭に行ってきました。主催は交通安全協会で、警察署や関連の業界団体が集まりました。この場所には、松尾城主小笠原定宗の弟の貞長が貞和年間(1345~50)に築城した九米ヶ城が、戦国中期まで200年間建っていました。360度の視界が開ける眺望のよい公園で、信州サンセットポイント100にも選定されています。見通しのよい演奏を。

KENNY BARRON (ケニー・バロン)
GREEN CHIMNEYS (Criss Cross Jazz 1983年、1987年録音)

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ケニー・バロン(p)は、1943年生まれで、既に50年以上に及ぶキャリアを持ち、有名アルバムもたくさん作っていますが、1980年代には、オランダのクリス・クロスやドイツのエンヤといったヨーロッパのレーベルにも録音を残しています。このアルバムの録音場所はアメリカですが、新興レーベルによるリリースだけに、LPを手にした時には、ジャケットを含めて新鮮な気持ちがしました。

ピアノ・トリオによる演奏で、メンバーは、ケニー・バロン(p)、バスター・ウィリアムス(b)、ベン・ライリー(ds)。この3人は、1982年7月のセロニアス・モンクの没後、彼へのトリビュートバンドとして、チャーリー・ラウズ(ts)とともに「Sphere」というグループを結成し、多くの録音も残しています。したがって、この3人は共に活動していたわけなので、息のあったところが期待できそうです。

オリジナル盤の収録曲は、1983年録音のものだけで、スタンダードの「Softly As In A Morning Sunrise」(朝日のようにさわやかに)、「Don't Explain」、「There Is No Greater Love」、「Time Was」と、モンク作の「Green Chimneys」と「Straight No Chaser」を加えた6曲。CDはそこに「Time Was」の別テイクと87年録音のバロンのソロピアノによる「Skylark」、「When Lights Are Low」、「Morning Blues」の3曲を加えて全10曲。

ケニー・バロンを中心としたトリオの小気味よい演奏が楽しめます。「Softly As In A Morning Sunrise」は、早いテンポで、テーマの終わりに奏されるモーダルな響きが印象的です。「There Is No Greater Love」は、バロン(p)の切れのよさに加え、バスター・ウィリアムス(b)のうなるベースやベン・ライリー(ds)のシンバルワークが気持ちよく、11分という演奏時間の長さを感じさせない素晴らしいトラック。「Green Chimneys」は、テーマこそモンクらしい不協和音気味の曲ですが、バロンのアドリブは調和のとれたもので、これもよかった。

【城山公園(飯田市)からの眺望】

住所:長野県飯田市九米
観光案内:南信州ナビ 城山公園

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         曇りではっきりしませんが飯田市街地方面です。

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                  南アルプス方面


ズート・シムズ TONITE'S MUSIC TODAY

2014-01-15 22:19:15 | テナー・サックス

今週は、寒気団が日本列島をすっぽりと覆っていて、寒い毎日が続いています。外へ出る気が起きないので、昨年大ヒットしたテレビドラマの「半沢直樹」のDVDを借りてきて、ぼつぼつと見ています。池井戸潤原作の小説の方は読んだことがありますが、ドラマティカルに仕立て上げたドラマの方もなかなか面白い。寒いので、ほんのりと暖かい音楽を聴きたくなったので、ズート・シムズ(ts)のリーダー作を取り出しました。

ZOOT SIMS (ズート・シムズ)
TONITE'S MUSIC TODAY (STORYVILLE 1956年録音)

   Tonitesmusictodayzootsims

ズート・シムズ(ts)が、バルブ・トロンボーンのボブ・ブルックマイヤーと組んだアルバムです。タイトルは、「Tonite's Music Today」で、直訳すると「今日の今夜の音楽」という、このアルバム名も気に入っています。曲目には、「Zoot's Tune」や「Bobby's Tune」という演奏者の名前を付けただけの曲もあるなど、内容も手作り感一杯で、親密な音楽が楽しめそうです。

メンバーは、ズート・シムズ(ts)、ボブ・ブルックマイヤー(valve tb)、ハンク・ジョーンズ(p)、ワイアット・ロイサー(b)、ガス・ジョンソン(ds)。ブルックマイヤーのトロンボーンの音自体は、詰まった感じがして、あまり好みではありませんが、このアルバムではそう気になりません。ズートとブルックマイヤーのアンサンブルは柔らかで、アルバムコンセプトに相応しいものです。

曲は、スティーヴ・アレン作の「Mr.Moon」、ジェリー・マリガン作「The Chant」、ズート・シムズ作「Zoot's Tune」、ボブ・ブルックマイヤー作「Bobby's Tune」、トラディショナルの「Blues」、あとはスタンダードで「I Hear A Rhapsody」、「How Long Has This Been Going On」(いつの頃からか)、「Blue Skies」の全8曲。「Mr.Moon」は、1954年から放映された米NBCテレビのトーク番組「The Tonight Show」のテーマ曲です。

ズート・シムズ(ts)は、絶好調で、クール気味なトーンもさせながら、スインギーに吹いています。ブルックマイヤー(vtb)と対位法的なからみも行い、ディキシーのムードも醸しだしています。「Mr.Moon」は曲の冒頭から横揺れし、「Blue Skies」は曲想が優しくてよくスイングしています。「I Hear A Rhapsody」におけるズートの演奏は、短いながらバラードの極致なのではないでしょうか。ハンク・ジョーンズ(p)の簡潔で美しいソロにも注目しました。

【半沢直樹DVD】

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