安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ルネイ・ラフ AMONG THE STARS

2013-06-30 16:29:42 | ヴォーカル(L~R)

「信州物味湯産手形」という12の温泉施設に無料で入浴できるクーポン券を購入したのですが、先日、ようやくはじめて使うことができました。信州(長野県)の58施設(旅館や日帰り温泉)が登録してあって、その中から12選んで入浴できます。昼神温泉、大町温泉郷、別所温泉などの有名な旅館も入っていて、定価は1260円なので温泉好きな方には役にたちます。僕がこれを使って入浴した昼神温泉は、「美人の湯」と言われ肌がつるつるになるそうです。美形のヴォーカルを。

RENEE RAFF (ルネイ・ラフ)
AMONG THE STARS (Audio Fidelity 1964年録音)

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ルネイ・ラフは、南アフリカのケープタウン生まれで、ロンドンの音楽大学で学んだ後、同地のジャズクラブにピアノ弾き語りで出演。パリを経て1963年にアメリカに渡り結婚し音楽活動は続けることに。1969年、高級クラブ「ジりーズ」に出演中に、フランク・シナトラから歌を褒められています。以上は、ライナーノートからですが、ロック時代に入ったこともあり、結局このLP1枚が残されただけです。

曲は、スタンダードとオリジナルというか作者不明なものからなります。作者がわかっているものは、「Starting Tomorrow」、「Let There Be Love」、「Willow Weep Foe Me」(柳よ泣いておくれ)、「Jan Pierewiet」、「Mad About The Boy」、「Little Girl Blue」、「Butterfly With Hiccaps」、そしてボーナスで入っている1970年代録音の「Waters of March」(三月の水)。作者不明なものは、「In The Interim」、「Please Don't Leave Me」、「Among The Stars」、「He lied」、「April's Fool」。

編曲は、ビリー・バイアース。伴奏陣が豪華です。メンバーは、ジェローム・リチャードソン(ts,fl)、J.J.ジョンソン(tb)、ハンク・ジョーンズ(p)、バリー・ガルブレイス(g)などで、ソロも入ります。オーディオ・フィデリティのオリジナルLPのジャケットとは異なりますが、このCD(XQAM-1045)のジャケは魅力的です。

ルネイ・ラフの声は、わずかハスキーながら聴きやすいものです。早いテンポで快活な「Starting Tomorrow」、ボッサリズムの「Among The Stars」、バラードの「Willow Weep Fo Me」は快唱のうちに入るのではないでしょうか。曲によりかなりフェイクしているものもあります。「Jan Pierwiet」などノヴェルティソングといった趣きの歌もあり、それは僕には面白くなかったけれども、ヴォーカル・ファンなら持っていてもよいと思える作品です。

【信州物味湯産手形】

問合せ先:飯田観光協会 TEL:0265-22-4851

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ジョー・ハイダー ONE FOR KLOOK

2013-06-26 23:32:18 | ピアノ

涼を求めて、新九朗の滝(長野県下伊那郡豊丘村)に行ってきました。村の一番奥まった南アルプス方面にあって、林道の終点から歩いて30分ほどかかりました。道は一応ありますが、水が流れている沢筋を横切ったりするので、岩の上で滑らないように気をつけて進みました。ようやく到着した新九朗の滝は、三段になった岩場を流れており、落差は30メートルだそうです。水しぶきが舞い、冷気が漂っていて、爽やかな気分になりました。ほっと一息つける作品。

JOE HAIDER (ジョー・ハイダー)
ONE FOR KLOOK (Sound Hills 2004年頃録音)

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ジョー・ハイダー(p)・トリオだけで4曲、そこにダスコ・ゴイコヴィッチ(tp)が加わった4曲が収録されています。ジョー・ハイダーとダスコの共演は、1980年録音の「After A Long Time」(Ego)がありますが、それが素晴らしいものだっただけに約20年経っての再会セッションに興味が集まります。

メンバーは、ジョー・ハイダー(p)、レジー・ジョンソン(b)、サンゴマ・エヴェレ(ds)、ダスコ・ゴイコヴィッチ(tp)。録音場所はスイスのチューリッヒですが、録音年月日の記載がないので、発売日(2004年10月)から推測しています。日本のメーカーの制作ですが、この点がちょっと残念です。

曲は、ジョー・ハイダーの自作が「Remembering Duke」、「Marcelle's Granddaughter」、「Friends」と3曲、それにダスコ・ゴイコヴィッチ作「One For Klook」。あとは、スタンダードで、「I'll Take Romance」、「I'm Getting Sentimental Over You」、「All Of You」、「I Hear A Rhapsody」。

ベテラン二人による寛いだセッション。トリオによる「Remembering Duke」はスロー~ミディアム・テンポで、ハイダー(p)は寂しさをにじませたプレイをしています。「I'll Take Romance」では、ダスコ(tp)はミュートで得意のフレーズをちりばめながら明るく吹き、「All Of You」でもミュートを用い、じっくりとテーマを浮かび上がらせていて惹きこまれます。「One For Klook」は、快活な早いナンバーで、ダスコはオープンで軽やかに吹き、ハイダーはスインギーに弾いていて楽しいハードバップ曲です。

【新九朗の滝】

  所在地の豊丘村のご紹介 豊丘村ホームページ  

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               「新九朗の滝」全景

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               「新九朗の滝」上部拡大

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                  滝に通じる道

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                 滝のすぐ下のところ。   


リー・モーガン TOM CAT

2013-06-23 13:29:34 | トランペット・トロンボーン

400メートルほどの隧道(水路トンネル)の貫通の現場見学に誘われたので、阿智村(長野県下伊那郡)に行ってきました。最後の壁を発破で崩したのですが、ドンという音とともに空気が押し出されてきて、なかなか迫力がありました。先端まで全員で歩いて行き集合したところで、請負会社の人が崩した岩石の上に、塩をまき、お酒もまいて、お清めをし、その後、皆で万歳をして、御神酒をいただきました。音がよく出ているトランペッター。

LEE MORGAN (リー・モーガン)
TOM CAT (BLUE NOTE 1964年録音)

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EMIジャパンから出されたブルーノートのBNLTシリーズ(限定盤、定価999円)は、発掘ものですが、さすがにこのレーベルだけあって、お宝がいっぱいあります。このリー・モーガンのものは、アルバム「Sidewinder」の大ヒットによって、モーガンのハードバップ系の録音を棚上げにした会社の方針によって単にお蔵入りしていたに過ぎません。

3管編成で、メンバーの組み合わせがよいです。リー・モーガン(tp)、カーティス・フラー(tb)、ジャッキー・マクリーン(as)、マッコイ・タイナー(p)、ボブ・クランショー(b)、アート・ブレイキー(ds)。タイナー(p)は、後年のようなタペストリー状に音を羅列するような激烈さはなく、コードをフレッシュに響かせ、右手は高音を多用したリリカルなプレイを行っています。

曲は、リー・モーガン作が4曲で、「Tom Cat」、「Exotique」、「Twice Around」、「Riggarmortes」、マッコイ・タイナー作の「Twilight Mist」と全5曲です。「Tom Cat」は、猫の歩みを表現したようなイントロとテーマ。「Exotique」は、ちょっと東洋風の響きが入る箇所があります。「Twice Around」は、3本の管楽器で演奏するテーマが、アップダウンのあるコースを自転車で疾走している光景を想いおこすようなかっこいい曲想。タイナーの「Twilight Mist」は繊細なバラード。

リー・モーガン(tp)の絶頂期ともいうような演奏が楽しめます。派手な装飾音、自在な長いラインのソロ、速射砲のような音の繰り返し、わざと遅めの乗り(レイドバック)など、この人ならではのプレイが続きます。マクリーン(as)も「Tom Cat」におけるソロをはじめ健闘しているし、タイナー(p)、ブレイキー(ds)のリズム陣もよくて、とても発掘された中に入っていたとは思えません。「Tom Cat」、「Twice Around」、「Riggarmortes」あたりが充実。

【阿智村内の水路トンネルの工事現場】

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      現場に向かう4人乗りのモノレール。すごい勾配のところがあります。

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          トンネル内の様子               貫通によって外の明りが見えました

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貫通地点がほぼトンネル出口です


ケニー・バロン THE MOMENT

2013-06-19 21:14:33 | ピアノ

この前の日曜日、安曇野インターから高速道路に乗り快調に走行してきたら、中央道の岡谷ジャンクションと伊北インター間で、工事のための渋滞に巻き込まれました。規制をかけて一車線通行にしただけですが、その手前で8kmも車がつながりました。ストップと発車の繰り返しで、時間がただ経過するだけなので、気を紛らわせるために持っていたCDを大きな音量でかけました。長野県内でこれだけの渋滞を起こすのは珍しいことです。車中で聴いていたCDです。

KENNY BARRON (ケニー・バロン)
THE MOMENT (Reservoir 1991年録音)

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ケニー・バロン(p)は、古くから活動している人ですが、日本でにわかに注目されたのは、スタン・ゲッツ(ts)と共演したアルバム「People Time」あたりによってでしょうか。いまや、ジャズピアニストの代表の一人ですが、今年も来日して演奏を披露していますし、まだまだ元気で活躍が期待できます。

このCDは収録時間が長くて71分もありますが、聴いていると実際にはそう長く感じません。それは、メンバー、選曲、編曲といったところに気配りができている練られた企画のためでしょうか。メンバーは、ケニー・バロン(p)、ルーファス・リード(b)、ビクター・ルイス(ds)。ルーファス・リード(b)には、神経質な動きはなく、長めのどっしりとしたトーンを用いてソロを行っていて好感が持てました。

曲目は多彩で、ジャズ・オリジナル、スタンダード、自作がうまく配列されています。収録順に、ジジ・グライス作「Minority」、スティング作「Fragile」、バロンの自作「Silent Rain」、スタンダードの「I'm Confessin'」、セロニアス・モンクの「Jackie-ing」、バロンの自作「Tear Drop」と「The Moment」、マル・ウォルドロン作「Soul Eyes」、スタンダードの「How Deep Is The Ocean」の9曲。

ケニー・バロン(p)の優れたアルバムです。最初の「MInority」では、やや早めのテンポで、出だしの和音が気持ちよく、「Fragile」は、彼の美しいタッチが強調されているトラックです。「Silent Rain」は、そこはかとない哀愁も感じとれるバロンのオリジナル。同じくバロンの自作「Tear Drop」は近現代クラシカルな響きもしていて、バロン(p)は、ブルージーさを強調することもなく、オーソドックスながらハードバップから少し抜け出しているミュージシャンだと感じました。


ヘレン・メリル LIVE AT NEW LATIN QUARTER

2013-06-16 22:07:28 | ヴォーカル(E~K)

平日の昼食は、すぐ近くの食堂で定食を食べることが多いのですが、久しぶりに足を少し伸ばしてお蕎麦屋さんに行ってきました。飯田市内にも蕎麦屋は多いのですが、「かざこし」は、戸隠(長野市)で修業をされたご主人がやっていて、信州の南では珍しい戸隠そばのお店です。蕎麦はもちろん、天丼も美味しく、たまには寄ってみたいお店になりました。日本に住んでいたことのある女性歌手。

HELEN MERRILL (ヘレン・メリル)
LIVE AT NEW LATIN QUARTER (マースミュージック 1963年録音)

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ヘレン・メリル(vo)が、日本でショーに出演したライブ録音が残っているとは驚きました。出演した、「New Latin Quarter」は、昭和の時代に繁栄した高級ナイトクラブで、他にもナット・キング・コールやルイ・アームストロングの録音が今回発売されました。ヘレン・メリルのアルバムは、相当数持っていますが、実況録音は珍しいので、とりあえずゲットしたものです。

伴奏として来日したのは、ジョルジュ・グルンツ(p)だけで、曲により海老原啓一郎とロブスターズが加わります。田中功さん(元ニューラテンクォーター企画室)がライナーノートに書いた「ヘレン・メリルの思い出」の中で、”できればピアノトリオが必須とはいえ、諸経費を考えると無理だったのかなあ。ピアノも調律不足だったかもしれない”と記しています。そのとおりで、ヘレンの声が素晴らしいだけに、伴奏、編曲が今一つなのが残念なところです。経費面、ライブといった諸条件からすれば仕方ないかもしれませんが。

曲目はスタンダードで、歌われた順に記します。1回目のステージでは、「Just One of Those Things」、「Lover Man」、「Witchcraft」、「It Never Entered My Mind」、「I've Got You Under My Skin」、「All of Me」、「You Do Something To Me」。2回目のステージでは、「You'd Be So Nice To Come Home To」、「Little Girl Blue」、「I've Got You Under My Skin」、「All of Me」、「Night and Day」、「Yersterdays」、「Just One of Those Things」。7曲+7曲で全14曲が歌われました。

E.H.エリックが司会を務めていて、ヘレン・メリル(vo)の紹介からショーの雰囲気が漂っています。彼女の声が瑞々しくて、よく伸びていて、スタジオ録音のイメージとちょっと異なります。こういうヘレンが聴けるとは思っていなかっただけに、意外といい買い物になりました。テンポの早めの曲がよく、「Just One Of Those Things」、「You'd Be So Nice To Come Home To」、「Witchcraft」あたり、バラードでは、ハスキーな声の魅力全開の「It Never Entered My Mind」が印象に残りました。

【そば処 かざこし】

住所:〒395-0031 長野県飯田市銀座3丁目7番地 銀座堀端ビル1F
営業:11:00~15:00 夜は予約営業、三名様から。3日前までの予約が必要。
電話:0265-48-5511

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