安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

二コール・ヘンリー THE VERY THOUGHT OF YOU

2014-09-28 10:10:35 | ヴォーカル(L~R)

9月23日の祝日、日帰り温泉に行った際、松川村にある「安曇野ちひろ美術館」に寄ってみました。いわさきちひろの生涯や作品の展示、外国の絵本作家の作品なども展示されていました。この美術館の特徴は、広い庭園が整備されていて、周囲の景色と溶け込んでいるところだと思います。全国から人が訪れる人気スポットですが、美術館自体はもちろん、いろいろな楽しみ方ができます。多彩な歌が聴けます。

NICOLE HENRY (二コール・ヘンリー)
THE VERY THOUGHT OF YOU (Banister 2005~2007年録音)

   Theverythoughtofyounicolehenry

二コール・ヘンリーは、マイアミ大学で、広告と演劇を学び、モデルや女優、R&Bシンガーとして活動。ジャズを歌うようになって、2004年にはファースト・アルバム「The Nearness of You」を録音し、これが評判を呼びました。2005年4月に初来日して、来日も重ねていて、今年の夏のコットン・クラブ出演時の様子を見ると、スケールが大きく、ソウルフルな歌い方をしています。

4回に分けて録音されていて、メンバーは、二コール・ヘンリー(vo)、ブライアン・マーフィー(p)、マイク・オルタ(p)、Joul Schneider(p)、Jamie Ousley(b)、Poul Shewchuk(b)、Danny Burger(ds)、Orlando Hemondez(ds)などです。ギターやキーボードも使っています。編曲は、基本的に4ビートですが、ポップス調のものもあります。

曲は、スタンダードが「That's All」、「Almost Like Being in Love」(恋をしたみたい)、「I Can't Be Bothered Now」、「What'll I Do」、「All The Way」、「The Very Thought of You」、「I'm Gonna Lock My Heart」、「At Last」、「Make It Last」、「Moon River」(日本盤のみのボーナストラック)。アントニオ・カルロス・ジョビン作のボサノヴァ「Water of March」(3月の水)、K.J.デナート作でポップス調の「I Found You」、二コール・ヘンリーとジェイムズ・マッコラム作「All That I Can See」の全13曲。

本作は、二コール・ヘンリーの3作目で、ジャズ色が濃いものです。彼女は、なめらかでききやすい声を持ち、声量があり、リズムへの乗りがよい本格的な歌手です。抑え気味に出て、ピアノソロを挟んで後半盛り上げる「That's All」やスインギーな「Almost Like Being in Love」がジャジー。ボサノヴァの「Waters of March」やコンテンポラリー系の「I Found You」なども快調ですが、バラード「I Thought About You」はピアノ伴奏だけでしっとりと歌われ、スローテンポのものもなかなか聴かせます。

【安曇野ちひろ美術館】

所在地:長野県北安曇郡松川村西原3358-24
ホームページ:安曇野ちひろ美術館ホームページ

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美術館の建物の前には芝生広場があります。右から2番目の屋根のところが入り口です。     

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廊下の様子。中央の扉の向こう側は展示室の一つです。      

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ミュージアム・ショップ。画集や絵の複製、プリントしたTシャツなどいろいろとあります。

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駐車場前の、美術館の公園の様子。

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美術館の裏手には花壇があります。後方は北アルプスです

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美術館のパンフレット2種類   


カーティス・フラー TWO BONES

2014-09-24 21:53:42 | トランペット・トロンボーン

東御市の海野宿(うんのじゅく)に先日初めて行ってきました。寛永2年(1625年)に北国街道の宿駅として開設され、享和3年(1803年)の記録によれば、伝馬屋敷59軒、旅籠屋23軒があって、たいへん賑わったそうです。江戸時代の旅籠屋作りの建物や、養蚕最盛期に建てられた蚕室造りの建物が街道沿いに並んでいて、歩いていたら、江戸~明治時代にタイムスリップしたような気分になりました。ハードバップのその時代にタイムスリップできるアルバム。

CURTIS FULLER (カーティス・フラー)
TWO BONES (BLUE NOTE 1958年録音)

   Twobonescurtisfuller

いささか旧聞に属しますが、今年の4月に、ブルーノート・マスター・ワークス「世紀の発掘コレクション」として、30タイトルのCDが発売になりました。録音時には発表されなかったものばかりですが、その中の10タイトルは、マイケル・カスクーナの発掘により、1979~80年に日本のKingレコードから初めて発売されています。僕はそのLPを数枚持っていますが、これは持っておらず、聴きたかったものなので、今回のCD化はありがたいです。

メンバーは、カーティス・フラー(tb)、スライド・ハンプトン(tb)、ソニー・クラーク(p)、ジョージ・タッカー(b)、アル・ヘアウッド(ds)。トロンボーンが2本ですが、フラーの相方が、スライド・ハンプトンなのにはびっくりしました。二人が正面切って共演しているのは、これだけのようです。ピアノはソニー・クラークで、聴く前からワクワクします。

曲は全てオリジナルです。フラー作が、「Fuss Budget」、「Oatmeal Cookie」、「Da-Baby」、「Pajama Tops」、「Loquacious Lady」、「Mean Jean」の6曲に、ハンプトン作「Slide's Ride」の合わせて7曲。全て参加ミュージシャンのオリジナル曲という思い切った選曲ですが、どこかしら聴いたことがあるメロディも出てきます。

2本のトロンボーンの柔らかく丸みを帯びたアンサンブルやソロ、タッカーの重量級ベース、クラークの哀愁ピアノと、聴きどころが多い作品。「Fuss Budget」は、2本のトロンボーンの掛け合いで始まるマイナー調の佳曲。フラー(tb)やクラーク(p)も快調で一番よかった。「Da-Baby」は、タッカー(b)の粘りのあるソロが入るブルージーな演奏。唯一のハンプトンの自作「Slide's Ride」は、アップテンポで、うなりを伴うテーマ部をはじめハンプトン(tb)の豪快なプレイが印象的。

【海野宿】

所在地:長野県東御市本海野
紹介ホームページ:東御市ホームページ 海野宿

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海野宿の入り口にある標識。縦に「海野宿」と入っています。

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続く家並みに、柳や水路があったりして、宿場町の面影を残しています。

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「重要伝統的建造物群保存地区」と「日本の道百選」が刻まれている道標。

      

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立派な家で、うだつが見えます。

      

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ニ階の格子は、長短二本の組み合わせ模様が美しい海野格子というもののようです。

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資料館の前に小林一茶の句碑が建っていました。『夕過ぎの臼の谺(こだま)の寒さかな』


ウィントン・マルサリス LIVE AT THE HOUSE OF TRIBES

2014-09-21 09:58:12 | トランペット・トロンボーン

自宅の庭で、数年ぶりに朝顔がよく咲いています。特に種を播かなくても、毎年朝顔の蔓は地上を這ってわずかに花も付けるのですが、今年は、それを立ち上げて蔓がニ階まで伸びてもいいようにしました。ちょっと手をかけてやっただけですが、効果はてきめんで、目を楽しませてくれています。朝顔といえば、喇叭(ラッパ)ですね。

WYNTON MARSALIS (ウィントン・マルサリス)
LIVE AT THE HOUSE OF TRIBES (BLUE NOTE 2002年録音)

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ウィントン・マルサリス(tp)は、ジャズファンの間で好き嫌いが分かれるトランペッターのように思います。ハードバップの熱くメロディアスな演奏に慣れていると、クールで、整い過ぎているというイメージで否定的にとらえがちです。しかしながら、このライブ・アルバムは、白熱したパフォーマンスを記録していて、結構楽しめました。

メンバーは、ウィントン・マルサリス(tp)、ウェス・アンダーソン(as)、エリック・ルイス(p)、中村健吾(b)、ジョー・ファンズワース(ds)。曲により、パーカッションも加わります。アンダーソンのアグレッシブなアルトやファンズワースの刺激的なドラムスも聴きものです。ベースに中村健吾が起用されているのも嬉しいところです。

曲は、セロニアス・モンクの「Green Chimneys」、チャーリー・パーカーの「Donna Lee」、スタンダードの「Just Friends」、「You Don't Know What Love is」(あなたは恋を知らない)、「What is This Thing Called Love」(恋とは何かしら)、そしてニューオーリンズ・スタイルの「2nd Line」の全6曲。ライブなので、最終曲の「2nd Line」を除いて、演奏時間は長めです。

マルサリス(tp)をはじめコンボの全員が一体となってスイングし、エキサイティングな演奏を行っています。「Green Chimneys」は、スタッカートの歯切れのいいテーマに続き、マルサリス、アンダーソン(as)がブルージーなソロをとっています。「Just Friends」は、マルサリスのテーマ吹奏がクールでフレッシュなのがよく、中村健吾(b)のソロも聴け、バラード「You Don't Know What Love Is」では、低音部を使ったルイス(p)のソロも面白い。アップテンポの「Donna Lee」は、マルサリスが軽々とトランペットをあやつり、胸のすくようなプレイを行っていて、このアルバムの白眉。

【自宅(長野市)の朝顔 2014年9月】

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リチャード・グラサー MEETS "THE LEGEND" CLARENCE WEBB

2014-09-17 22:54:33 | ピアノ

所用で東京へ行ってきました。夕方からは、新宿伊勢丹近くにある洋食店「満天屋」で高田馬場に住んでいる子供と食事。御茶ノ水に移動し、ディスクユニオン「Jazz Tokyo」でCD、LPを買い、ライブハウス「NARU」で、山口真文(ts)の演奏を聴き、午後10時過ぎに線路沿いに歩いて、秋葉原ワシントンホテルに戻りました。秋葉原に泊まったのは初めてですが、JRや地下鉄で都内各所に行くのに便利で、さらに御茶ノ水や神田は徒歩圏内なので、気に入りました。購入したCDです。

RICHARD GLASER (リチャード・グラサー)
MEETS "THE LEGEND" CLARENCE WEBB (richardglasermusic 2012年録音)

   Meetsclarencewebbrichardglaser

 

Jazz Tokyoの店頭では、売れ筋や売りたいCDをかけて流していますが、僕が入店した時に、このCDの「The Good Life」がかかっていました。メンバーの名前は聞いたことがありませんでしたが、テナーのサウンドが昔風なのに惹かれて購入したものです。ピアニストがリーダーですが、テナー・サックスのアルバムといってもいいものです。

メンバーは、リチャード・グラサー(p)、クラレンス・ウェブ(ts)、Geoff Rakness(b)、Mark San Filippo(ds)。リチャード・グラサーは、1974年生まれで、南カルフォルニア大学を卒業し、アメリカ西海岸のクラブやレストランにピアノ・トリオで出演しているようです。グラサーは、エリック・リードやビリー・チャイルズに教えを受けています。クラレンス・ウェブは、ロスアンジェルス在住で60年のキャリアがあるサックス奏者です。60年間もプレイしていますから、”The Legend”というに相応しいですね。

曲は、スタンダードが、「Willow Weep For Me」(柳よ泣いておくれ)、「I Could Write A Book」、「Who Can I Turn To?」、「How About You?」、「The Good Life」、クラレンス・ウェブのオリジナルで「Webbing」、タッド・ダメロン作「Our Delight」、ビリー・エクスタイン作「Second Balcony Jump」の全8曲。スタンダード、ジャズ・オリジナルともに親しみやすい曲が多いです。

1950~60年代ジャズの雰囲気が漂っています。クラレンス・ウェブ(ts)のプレイには、デクスター・ゴードンからの影響があり、「Willow Weep For Me」では、ゴードンの前奏を使っています。また、リチャード・グラサー(p)も「I Could Write A Book」における軽快なプレイなどちょっとウィントン・ケリーを髣髴とさせるところがあります。ウェブのやや掠れたトーンで演奏されるスローテンポの「Who Can I Turn To?」や「The Good Life」など、なごみ系でもあり、買ってよかったアルバム。

【御茶ノ水~神田界隈】

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ライブハウス「御茶ノ水NARU」入り口。サックスの看板が目立ちます。

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当夜は山口真文(ts)カルテットの出演でした。NARU店内は暗いので、僕のデジカメではここまで。

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マーチエキュート神田万世橋。万世橋高架橋が商業施設「マーチエキュート神田万世橋」として整備され、2013年9月にオープン。旧万世橋駅の遺構を活かしながら、カフェやショップが入居するほか、神田川を活かした親水デッキも設置されています。
 

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マーチエキュート神田万世橋。昼間撮ったものです。

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夜の万世橋。手前左が、マーチエキュートの万世橋側入り口。

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マーチエキュートのデッキから撮った、昼の万世橋。向かい側は秋葉原です。

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飲食店が並ぶ、マーチエキュート表側。  


大口純一郎トリオ 長野市バックドロップライブ

2014-09-16 22:36:32 | 演奏会・ライブ

先週の金曜日(9月12日)、長野市のバックドロップ主催の「大口純一郎トリオ」のライブに行ってきました。店内は、約20名のお客様で、始まる前の会話からは、楽器をやっている人が多そうでした。男女問わず若い人が目立ちましたが、飛び切り若かったのは、最前列に座った中学生くらいの男子で、どうやらドラムを習っているようです。若い人が聴きに来ていることは、日本のジャズシーンにとって心強いことです。

メンバーは、大口純一郎(p)、米木康志(b)、本田珠也(ds)。いずれも名の通った強力なミュージシャンです。「Stella by Starlight」(星影のステラ)で演奏がスタート。大口のきれいな前奏から、テーマ、アドリブと快調でした。他に、「ミスター・ピー・シー」、「チェルシー・ブリッジ」、「大口純一郎の新作」などで、各人のソロ・スペースをたっぷりとってあり、1曲の演奏時間はかなり長めでした。

ビル・エヴァンス的響きや、セロニアス・モンク的なタイミングや抽象的なアドリブ、そして本田の繊細にして強力なドラムスなど、モダン・ジャズのエッセンスが詰まったような演奏でした。大口純一郎は、ベテランのピアニストですが、フレッシュなプレイぶりで、お客様の拍手も多く、満足された方が多かったように思います。僕は、「チェルシー・ブリッジ」が落ち着いた演奏で特に気に入りました。

先々月、同じ会場で、スガダイロー(p)・トリオのフリーがかったライブも聴きました。今回のものも合わせて、面白くてよかったのですが、音量も大きく、年齢の高い僕にとっては、どちらのライブも前半はともかく、後半はちょっと疲れがきました。次は、都会のジャズクラブで、スタンダード中心のヴォーカルやピアノを、美味しい食事とともにゆったりと楽しみたいと贅沢なことを考えつつお店を後にしました。

【大口純一郎トリオ at  backdrop】

お店のホームページ:バックドロップホームページ

暗い中スマホでとったため、完全にボケています。

      Ooguchijunichirou20140912
            大口純一郎(p)

      Komekiysushi20140912
            米木康志(b)

      Hondatamaya20140912
            本田珠也(ds)