安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ルース・プライス RUTH PRICE AT THE MANNE HOLE

2018-01-31 20:28:21 | ヴォーカル(L~R)

札幌旅行関連の話ですが、現地で「まったく新しい札幌案内」(北海道冬Walker2018)というムックを買いました。映画「探偵はBARにいる3」のロケ地が出ていたり、「札幌最新ブーム」として飲食店情報などが載っていて、参考になると思ったからです。実際にはすぐ使うというよりも次回の参考ですが、綿密な取材がされていて、中身の濃い内容でした。歌と伴奏で中身の濃いアルバム。

RUTH PRICE (ルース・プライス)
RUTH PRICE  AT THE MANNE HOLE (CONTEMPORARY 1961年録音)

   

ルース・プライス(vo, 1938~)は、1960年代からアメリカ西海岸で活躍し、90年代もクラブ出演の傍ら録音を残すなど、長期間にわたる活動を行った歌手です。派手さはありませんが、インティメイトで聴きやすいイメージを彼女に対して抱いていて、レコードも何枚か持っています。中でも代表的なこのアルバムをたまに聴きます。

メンバーは、ルース・プライス(vo)、ラス・フリーマン(p)、チャック・バーボーファー(b)、シェリー・マン(ds)、リッチー・カミュカ(ts)、コンテ・カンドリ(tp)。プライスの歌もさることながら、伴奏がシェリー・マン・クインテットで、フリーマンやカミュカ、カンドリらのソロも入り豪華です。シェリー・マンの経営するクラブにおける実況録音で、雰囲気も抜群です。

曲は、スタンダードです。「I Love You」、「They Say It's Spring」、「Listen Little Girl」、「Dearly Beloved」、「I Know Why」、「Shadrack」、「Crazy He Calls Me」、「Nobody Else But Me」、「Nobody's Heart」、「All I Do Is Dream of You」、「Who Am I」、「Till The Clouds Roll / Look For The Silver Lining」の12曲。

ルース・プライス(vo)は、アドリブやスキャットでジャズ的にアプローチするというよりも、原曲を大事にしながらキュートに歌っています。はじめの「I Love You」や「Dearly Beloved」はスイングして快調で、どちらの曲もカミュカ(ts)のスムーズなソロが入ります。テンポの遅いものはバックのオブリガートも含め雰囲気がよく出ていて、じっくりと歌われる「I Know Why」、僕の好きな曲「Crazy He Calles Me」や思い切ったスローテンポの「Nobody's Heart」など、うっとりとして聴きました。伴奏陣もよく「Shadrack」では、シェリー・マン(ds)も活躍します。

【まったく新しい札幌案内(株式会社KADOKAWA発行)】

   

多分全国で売っているのだと思いますが、札幌だからこそ目についた本です。

   

目次。「いま札幌で見ておくべき10スポット」とか、「探偵はBARにいる3 体験」といった記事が目に留まりました。

   

見ておくべき3番目に、M'Sビルが挙げられていました。ビルは6つもあり、いずれも飲食店の入る雑居ビルです。

   

見ておくべき10スポットの8番目は、クラフトビールです。

   

   

このページに出ている3か所のロケ地は全部まわりました。改めてこの本で見てみると、札幌「すすきの」は古い景色が残っていて、そこに新しいものも加わり、魅力的な街です。


ミンガスコーヒー (ジャズ喫茶 北海道札幌市)

2018-01-30 20:04:55 | ジャズ喫茶

札幌市にはジャズ喫茶・バーは多くありますが、朝9時から営業をしているのは、この「ミンガスコーヒー」しかありません。ビジネス街のビルの最上階にあり、ジャズファンというよりもビジネスマンに愛好されている喫茶店といった趣です。しかし、オーディオ機器は往年の名機ばかりですし、そこから流れてくるヘレン・グレイコの歌声は、ドキットするほど肌理の細かなものでした。

朝からジャズ喫茶を回ろうとあちこち調べていたらこのお店に行きついたのですが、予想以上に本格的なジャズ喫茶でした。また、珈琲、シフォンケーキも美味しく、普通の優れた喫茶店でもあります。このようなお店が営業中とは驚きました。

大沢ビルの7階になります。この写真の一番手前のビルです。場所が少々わかりづらいかもしれませんが、テレビ塔の近くで、大通り公園駅から歩いて3分程度です。

入口。注意しなければわかりません。

   

エレベーターを降りるとミンガスコーヒーのドアが見えます。

広い店内は、しきりで二つの空間に分けられています。こちらはテーブル席。右の方にカウンター席があります。

カウンター席

カウンターの中には、スピーカーの多分「ランサー101」やアンプ類などが置いてあります。

キースジャレットのアルバムジャケットが飾ってあります。

アルテックの劇場用スピーカー

マッキントッシュのアンプなど。

かかっていたヘレン・グレイコ「After Midnight」。ストリングス入りの深夜用のアルバムを朝から聴くことができ、装置もいいせいか素晴らしくよく聴こえました。

フレンチ珈琲。お店の女性従業員の方と話していたら、札幌は濃い目のフレンチを出す店が多いそうです。久しぶりに美味しいフレンチ珈琲をいただきました。

器もきれいです。

シフォンケーキとおかわりで普通の濃さの珈琲をいただきました。少なくとも、街の中の有名喫茶店に肩を並べるくらいの味です。

【ミンガスコーヒー(MINGUS COFFEE)】

住所:北海道札幌市中央区南1条西1丁目 大沢ビル 7F
電話:011-271-0500
営業:09:00〜24:00 定休日:不定休(お休みは電話をかけて確認してください)
ホームページ:ミンガスコーヒー(facebook)


映画「永遠のジャンゴ」を観ました (1月25日 長野市千石劇場)

2018-01-29 20:04:51 | 映画・DVD・テレビ

ジャズファンの間で話題になっている映画「永遠のジャンゴ」が長野市でも上映されたので、観てきました。ジャンゴ・ラインハルト(g、1910年~53年)は、ジプシー出身のギタリストで、ステファン・グラッペリ(ヴァイオリン)と結成したフランス・ホット・クラブ五重奏団での演奏で有名になりますが、「Minor Swing」や「Nuages」(雲)、「Melodie au Crepuscule」(たそがれのメロディ)といった名曲も残しています

   

   

ジャンゴ・ラインハルトの作った名曲も流れているのですが、全体のストーリーは、ジプシーを迫害したナチスに対する抵抗を描いた映画といっていい内容です。例えば、架空のジャンゴ・ラインハルトの愛人が出てきますが、彼女はレジスタンス(抵抗)の一員であるという設定の人物として描かれ、ジャンゴ自身も次第にナチスに対する抵抗の気持ちを高めていくように描かれていました。

   

以下、写真はパンフレットからです。

驚いたのは、ジャンゴ・ラインハルトが、同胞を悼んでレクエイムを作曲していたことです。一部しか楽譜が残されていないので、この映画を制作するに当たり、作曲し直しされ演奏が披露されますが、これは感動的なシーンです。ジャンゴは、一般にはジプシー・スイングの音楽家と言われますが、作った曲を聴くと、ドビュッシーやラヴェルなどからの影響が見受けられるように思います。

   

ストーリーの展開で、つながりがわからなくなってしまったことが何度かありましたが、それは地理的、歴史的な背景を承知していないので、物語の舞台や時間が飛ぶと、そうなったのだと思います。しかし、脱出の場面などスリリングなところもあり、全体の暗いトーンとあいまって、第二次世界大戦中の出来事だということが痛切に伝わってきました。

   

戦時中の一断面を描いた映画として、意義深いところがあり、そのへんがベルリン国際映画祭のオープニング上映に結びついたのではないでしょうか。最初から最後まで音楽というよりストーリーを追いかけた映画で、観に行ってよかった映画でした。


ロイ・ハーグローブ EMERGENCE

2018-01-28 10:03:02 | トランペット・トロンボーン

汽車旅の楽しみは駅弁にもありますが、それは新幹線でも変わりません。今回の札幌旅行では、帰りに新函館北斗駅で購入した「みがき弁当」(函館みかど製造)がなかなか美味しく、北海道らしさもあってよかった。「数の子」が3本と「身欠きにしんの甘露煮」が3切れのっているのは、見た目に豪華で、さらに甘じょっぱい柔らかなにしんにプリッとした数の子が相まって味もよく、駅弁の傑作といっていいものでした。ジャズの方も傑作アルバムを。

ROY HARGROVE (ロイ・ハーグローブ)
EMERGENCE (Groovin' High 2008年録音)

   

ロイ・ハーグローブ(tp, 1969年生)については、人気トランぺッターですが、ポストハードバップだと疲れるからいいやという気持で、関心を寄せることはありませんでした。ところが、昨年末にディスクユニオン新宿ジャズ館で、CDを物色している時に、このCDの「September in The Rain」がかかり、いいなあと反応して、即購入してきました。歌ばかりでなくインスト部分もなかなかで、現在、彼への関心が高まっています。 

ビッグバンド作品です。メンバーを書ききれないので、曲を提供したり、アレンジを行った人などを記載しておきます。ロイ・ハーグローブ(tp, vo)、ジェイソン・マーシャル(bs, fl)、マックス・シーゲル(tb)、Saul Rubin(g)、ジェラルド・クレイトン(p)、ゲストとして、ロバータ・ガンバリーニ(vo)。

曲は、「Velera」、「Ms. Garvey, Ms. Garvey」、「My Funny Valentine」、「Mambo For Roy」、「Requiem」、「September in The Rain」(九月の雨)、「Everytime We Say Goodbye」(いつもさよならを)、「La Puerta」、「Roy Allan」、「Tschpiso」、「Trust」の全11曲。「My Funny Valentine」、「September in The Rain」と「Everytime We Say Goodbye」)がスタンダードで、あとは、ロイ・ハーグローブが作曲したものが多くなっています。

ビッグバンドジャズの多彩な楽しさ、面白さが詰まった傑作アルバム。木管、金管を全て使った柔らかくて厚いハーモニー、楽器のコンボ的な扱い、ハーグローブ自身の美音によるソロ、そして、ロバータ・ガンバリーニの名唱と、最近聴いた新しめの器楽作品の中でも傑出したアルバム。シャッフルリズムに乗せてバウンドする楽しい「Ms. Garvey, Ms.Garvey」、ハーグローブのソロが見事なバラード「My Funny Valentine」、ジョー・ウィリアムスの歌を髣髴とさせるハーグローブの歌う「September in The Rain」など素晴らしく、圧巻はクールなハーモニーをバックに長いフレーズを綴っていくロバータ・ガンバリーニが歌う「Everytime We Say Goodbye」でしょうか。ロイ・ハーグローブの実演を聴きたくなりました。

   

指揮をしているハーグローブ。

バンドのメンバー。

【にしんみがき弁当など帰りの車内】

札幌駅では昼食後に特急に乗ったので、サッポロクラシックとおつまみ。

新函館北斗駅で夕食用に購入。

にしんなので、骨がありますが、それも食べれます。どういう製法をとっているかわかりませんが、お年寄りにも大丈夫だと思いました。

拡大

新函館北斗では、「北海道づくり」ビールを購入。夕食は電車の中でしたが、今回のお弁当は大当たりで、旅の最後まで美味しくいただきました。


雨ふり (ジャズ喫茶 北海道札幌市)

2018-01-26 20:01:35 | ジャズ喫茶

先週の札幌旅行で、初めてジャズバーの「雨ふり」を訪れました。ディスク・エヴァンスでレコードを買って市電で静修学園前からすすきのへ戻り、その足でこちらのお店に入りました。開店したばかりでしたが、店内は瀟洒で落ち着いた雰囲気でした。時間が早く客は僕一人だったので、購入して持っていたデクスター・ゴードンの「Gettin' Around」を大きめの音量でかけてくれました。

スピーカーは、JBL社から発売された「C45 METREGON 」(メトロゴン)で、初めて見ましたが、ゴードンのテナー・サックスが太い音でぐっと迫ってきて、素晴らしい再生音がしていました。マスターは、アン・バートン(vo)のオリジナルレコードは全て持っていると話されていて、店内のインテリアや、音、さらにはコレクションなど、こだわりが感じられました。

外観。窓には、フランソワーズ・アルディの「もう森へなんか行かない」のジャケットが見えていて、フレンチポップスもお好きなのかもしれません。

看板

店内。奥の方から入口に向かって撮りました。

さりげなくレコードやカメラが飾られてあります。

訪問時には使っていませんでしたが、壁際に置かれたオーディオ機器。

壁には、ジョー・ヘンダーソンのレコード・ジャケット。

カウンター席もあります。

スピーカーは、JBLのタイプC45 メトロゴンで、1958年の発売です。パラゴンの弟分のような外観ですが、仕組みが若干異なるようです。外観といい、音質といい、素晴らしいと思いました。

相変わらずビールです。

コースターは、ブルーノートのレーベルを模したもの。

デクスター・ゴードン「GETTIN' AROUND」(Blue Note)。

【雨ふり】

住所:北海道札幌市中央区南4条西6丁目8−3 晴ればれビル
電話:011-231-2706
営業:18:00~翌1時  定休日:日曜、祝日
ホームページ:ahmefuri