猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮

2018-04-24 23:07:44 | 日記
2012年のデンマーク・スウェーデン・チェコ合作映画「ロイヤル・アフェア 愛と
欲望の王宮」。

18世紀後半。英国王ジョージ3世の妹カロリーネ(アリシア・ヴィカンダー)は15歳
でデンマーク王クリスチャン7世(ミケル・ボー・フォルスゴー)と結婚する。しかし
精神を病んでいた王との結婚生活はすぐに絶望へと変わり、世継ぎが誕生して以降
はカロリーネは王宮で孤立してしまう。そんな中、外遊先で症状を悪化させた王は、
ドイツ人医師のヨハン・フリードリヒ・ストルーエンセ(マッツ・ミケルセン)を侍
医として採用、自国へ連れ帰る。ストルーエンセは王と友情を築き、徐々に信頼を
獲得していく。一方でストルーエンセが信奉する啓蒙思想は孤独な王妃カロリーネ
の心を捉え、2人は急速に接近していく。やがてストルーエンセは王を巧みに操り、
事実上の摂政として次々と改革を実行していく。

デンマーク国民なら誰もが知るという王室史上最大のスキャンダルを描いた映画。
英国王の妹カロリーネはデンマーク王クリスチャン7世と結婚することが以前から
決まっており、文学や音楽を愛するカロリーネは王も同じ趣味を持つ人であると聞
いていたためとても楽しみにしていた。ところが実際王に会ってみると彼は無礼で
少し異常なところのある人物で、カロリーネはたちまち絶望してしまう。王は王で
真面目な王妃にうんざりし、娼館通いをするがカロリーネにとってはそんなことは
どうでもよく、ただ「体面を考えて」と言うだけだった。そんな日々の中で王が連
れてきた町医者のストルーエンセの知性にカロリーネは惹かれ、2人が恋愛関係に
なるのに時間はかからなかった。もちろん王は知らず、侍医であるストルーエンセ
に絶大な信頼を寄せ、政治のこともストルーエンセに相談して決めるようになる。
そんなストルーエンセに対して王の部下たちが反感を抱かないわけがない。
これは簡単に言ってしまうと王、王妃、王の侍医の三角関係の物語である。王はど
うやら統合失調症であったらしいことが現在ではわかっている。下品で突飛な行動
をする王に、王妃は全く愛情を持てなかった。昔の王室では(王室でなくても)顔も
知らない相手と結婚なんてよくあることだったであろうから、カロリーネのような
気の毒な人はたくさんいただろう。それでも彼女は世継ぎを産んで王妃らしく生き
ていこうと決意したのだ。割り切ったと言うべきか。そこへ現れたドイツ人医師と
彼女は愛し合うようになってしまう。そして医師のストルーエンセは野心家で、決
断力のない王に代わって政治に口出しするようになる。
ストルーエンセは様々な改革を行うが、それは客観的に見ると正しいものばかりだ
ったらしいが、当時の王室ではなかなか受け入れられなかった。王の心を操り、王
に代わって改革を行う町医者ふぜいのストルーエンセは王室での恨みを買ってしま
う。ストルーエンセを演じるのはデンマークの大スター、マッツ・ミケルセン。こ
の人の映画は他には「偽りなき者」しか観ていないが、素晴らしい俳優だと思う。
とてもおもしろかった。中世ヨーロッパの話は好きだし、実話というのもいい。カ
ロリーネはかわいそうだったが、ラストでカロリーネの息子であるフレデリク王子
が成長して母親の仇を討ったことは救いだろう。




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コメント (2)
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