猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

光のほうへ

2019-11-09 22:37:01 | 日記
2010年のデンマーク・スウェーデン合作映画「光のほうへ」。

アルコール依存症の母親から育児放棄された兄弟は、年の離れた赤ん坊の弟
の面倒を見ている。兄弟は赤ん坊のためにミルクを万引きし、洗礼のまねご
とをするなど、赤ん坊を心からかわいがっていた。ところがある日、赤ん坊
は突然死してしまい、兄弟は深い心の傷を負う。月日は流れ、大人になった
兄ニック(ヤコブ・セーダーグレン)は、恋人と別れたショックから行きずり
の男に暴力を振るい、刑務所に入っていたが、3ヵ月前に出所し、シェルタ
ー(臨時宿泊施設)で暮らしていた。一方、ニックの弟(ペーター・プラウボ
ー)は2年前に妻を交通事故で亡くし、幼い息子マーティン(グスタフ・フィ
ッシェル・キャエルフ)を1人で育てていた。だが麻薬常習者であるために、
生活は困窮を極めていた。そんなある日、母親の死をきっかけに兄弟は再会
し、再び気持ちを通わせようとする。

偽りなき者」のトマス・ヴィンターベア監督のヒューマン・ドラマ。とて
もかわいそうな物語だった。アルコール依存症の母親から育児放棄され、赤
ん坊の弟をかわいがって育てていた。が、弟は死んでしまう。それから兄弟
が大人になるまでの過程が描かれていないので、どんな人生を歩んできたの
かはわからない。よくちゃんと大人になれたものだ。兄のニックは刑務所帰
りでシェルターで暮らしている。しかし、別れた恋人の兄が同じシェルター
にいる女性を殺してしまい、ニックが捕まってしまう。そしてニックの弟は
生活のために麻薬の売人をすることになり、順調にさばいていたが、やはり
捕まってしまう。
ニックと弟が子供だった時、手を差し伸べてくれる人はいなかったのか。そ
うすれば兄弟の大人になってからの不幸もなかったかもしれないのに。福祉
大国の北欧でもこんな闇はあるのか。ニックと弟は怒りや悲しみ、苦しみに
もがきながら大人になっていったのだろう。兄弟にとって赤ん坊の死はとて
も辛いものだった。
刑務所の中庭で兄弟が再会する場面はとても印象深い。弟はニックに、「あ
の頃俺たちは悪くなかった。いい兄貴だったよ。俺も頑張った」と、兄を慕
う言葉と、別れの言葉を口にするが、その場面が胸を打った。ラストは少し
だけ救いがあるが、とても悲しくやりきれない物語だった。



今日はベルの16歳の誕生日。人懐こくてかわいいベル。これからも元気でね。
長生きしてね。














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コメント (4)
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