ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

シルビアのいる街で

2010-08-06 14:36:58 | さ行
主人公が甘~いハンサムです。


「シルビアのいる街で」73点★★★


スペイン期待の新星
ホセ・ルイス・ゲリン監督の作品。

映像の特性を存分に使った
実験的かつ魅力ある映画です。


フランスとドイツの国境近く
ストラスブールという街にやってきた
主人公の美青年

“シルビア”という名の女性を探して
街をさまよう話。


極端言うと
ナレーションも音楽もない
「世界ふれあい街歩き」のような感じでしょうか。


退屈な人には退屈極まりないかも
しれないんですけどね。

セリフもないまま
ジーッと主人公を映すだけのシーンがあったり
ある街角を定点観測するシーンがあったり。


映画のルールを欺きながら
人の視覚と“思い込み”を駆使した遊びを入れたり。


しかしそれが
日常で我々が味わう風景に極力近いんです。


だから
観客は彼の目線で街を歩き
彼の目線でカフェに座って
周囲で談笑する女性たちをスケッチしたりできる。


一人の美人にカメラが止まると
「お、この人がヒロイン?」と思うじゃないですか。

でも
またカメラは別の人を映して

そうすると見ながら
「あ、こっちの人もいいかも・・・」(笑)


誰からストーリーが始まってもおかしくない
想像の海をゆっくりたゆとう感覚。

誰をヒロインにしようか
主人公と一緒に思いを巡らせている感覚が
たまらなくいいんですねえ。



舞台が異国なのもポイントで
街のささやき声とかが全てBGMになってる。

これが日本語で、どこかの日本の街だったら
まして大阪だったりしたら
絶対成り立たないだろうなあ、この映画。

いや、大阪好っきやけどね。


★8/7からシアターイメージフォーラムで公開。ほか順次公開。

「シルビアのいる街で」公式サイト
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする