BELOVED

好きな漫画やBL小説の二次小説を書いています。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。

この夜を止めてよ 第1話

2024年04月09日 | FLESH&BLOOD 転生昼ドラ不倫パラレル二次創作小説「この夜を止めてよ」
「FLESH&BLOOD」の二次小説です。

>作者様・出版社様は一切関係ありません。

海斗が両性具有設定です、苦手な方はご注意ください。

二次創作・BLが嫌いな方はご注意ください。

カチカチと、時計を刻む音が室内に響き、海斗は徐にベッドから起き上がった。

シーツの中から這い出ようとした海斗を、太くて逞しい男の手が、その中へと引き摺り込んだ。

「もう帰るのか?」
「うん。そろそろあの人が帰って来る頃だから。」
「そうか。」
蒼い瞳が、名残惜しそうに海斗を見つめた。
「また、連絡するね。」
「あぁ。」
シャワーを浴びて服を着た海斗は、ジェフリーを部屋から残して、ホテルから出て行った。
誰にも見られていない―そう思っていた海斗だったが、考えが甘かった。
「まさか、と思っていたけれど、やっぱりね。」
背後から冷たい声がして海斗が振り向くと、そこにはジェフリーの妻・ラウル=デ=トレドが立っていた。
全身をハイブランドで固め、獲物を狙う蛇のように黄金色の瞳で海斗を睨みつけた彼女は、有無を言わさず海斗の腕を掴み、海斗をホテルの地下駐車場へと連れて行った。
「乗って。家まで送るよ。」
「どうしてここが・・」
「わかったのかって?君達を泳がせておいたのさ。安心おし、この事は誰にも話さないから。」
「その代わりに、あんたの言いなりになれって?」
「これ、これ。打てば響くとはまさにこの事だね。」
ラウルはそう言うと、海斗を見た。
「あの時、わたしを虚仮にした報いは、ちゃんと受けて貰うよ。」
邪悪な光を放つ悪魔の瞳に見つめられ、海斗は思わず持っていたショルダーバッグを握り締めた。
「じゃぁ、連絡するよ。」
やがてラウルが運転する黒のフェラーリは、海斗と彼女が住むタワーマンションの地下駐車場に停まった。
「海斗。」
「あなた、今日は帰りが遅い筈じゃぁ・・」
「仕事が早く終わったんだよ。」
海斗の夫・実は、そう言うと海斗と共にエレベーターの中に入ると、海斗のワンピースの中に潜った。
「こんな所、誰かに見られたら・・」
「君が欲しい・・」
「部屋に着くまで、待って・・」
部屋に入ると、実は海斗を玄関先に押し倒した。
「どうしたの、今夜は積極的だね?」
「別に。」
いつもは淡白な実が、その日に限って激しく海斗を求めて来た。
「海斗、そろそろ子供を作らないか?」
「どうして?この前子供は作らないって話し合った筈でしょう?」
「実は、お袋が孫の顔を早く見たいって・・」
「加奈さんに産んで貰えばいいんじゃない。」
「海斗、君・・」
「ごめん、シャワー浴びてくるね。」
海斗は自分を抱き締めようとする実の手を邪険に振り払うと、浴室ん入った。
実が不倫をしている事は、半年前から知っていた。
相手は、海斗の後輩でこのマンションの10階に住んでいる奥山加奈。
いつも可愛い服やメイクをして、ショートカットでパンツスタイルの海斗とは対照的な加奈は、実とマンション内のパーティーで会った。
以前から加奈が実に対して好意を抱いている事を知っていた海斗は、わざと彼らを二人きりにさせた。
(俺、いつの間にこんな腹黒い人間になっちゃったんだろう・・)
実とは、互いの親同士が決めた政略結婚だった。
共働きだし、子供が居ないので互いに没交渉でいられて気楽だった。
(ジェフリーと再会した時は、嬉しかったなぁ。)
ジェフリーと海斗は、前世では恋人同士だった。
恋人同士として過ごした記憶を持ったまま再会した二人だったが、ラウルとジェフリーが結婚している事は意外だった。
(世間って、狭いんだな・・)
そんな事を思いながら海斗が身体を洗っていると、ジェフリーに愛された部分が熱くなっている事に気づいた。
(もう・・)
男女両方の性を持つ海斗は、熱くなった部分を自分で慰めた。
海斗が浴室から出て、洗面所で髪を乾かしていると、玄関のドアが誰かに開けられる音が聞こえた。
(誰だろ、こんな時間に?)
海斗がそっと洗面所兼浴室のドアを少し開けると、実と加奈が居間のソファでセックスをしていた。
(俺が居るってわかっているのに、良くやるよね・・)
海斗はスマートフォンで二人の行為を撮影した後、そのまま浴室から出て寝室に入った。
二人の事をいつ公にしようかと迷っている海斗だったが、自分も不倫しているのに二人を責める資格は無いと思った。
(もう、実さんは夫婦ではいられない。)
海斗が深い眠りに就いた頃、タワーマンションの屋上でラウルは一人の主婦に詰め寄られていた。
「どうして、絶対に儲かるって言ったじゃない!」
「この世に、“絶対”という言葉はないんだよ。それに、お前みたいな人間が、わたしは一番嫌いなのさ。」
「止めて、何をするつもり!?」
「怯える事はないさ。まぁ、お前は“用済み”だけどね。」
翌朝、海斗は警察車両と救急車のサイレンで目を覚ました。
(何だろ・・)
―30階の太田さん、自殺ですって。
―可哀想に、詐欺で無一文になって・・
海斗が葬儀会場に行くと、参列者の間からそんな声が聞こえて来た。
「カイト、ちょっといいか?」
「ジェフリー・・」

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