BELOVED

好きな漫画やBL小説の二次小説を書いています。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。

焔の果て 第1話

2024年02月25日 | FLESH&BLOOD 転生オメガバースパラレル二次創作小説「焔の果て」

素材は、てんぱる様からお借りしました。

「FLESH&BLOOD」二次小説です。

作者様・出版社様とは一切関係ありません。

海斗が両性具有設定です、苦手な方はご注意ください。

オメガバースについてはこちらを参考にしてください。

オメガバースに嫌悪感を抱かれている方は閲覧しないでください。

性描写が含まれます、苦手な方はご注意ください。

「カイト、逃げなさい!」
「そんな・・」
「早く、逃げなさい!」
紅蓮の炎に包まれる村に背を向け、海斗は走り出した。
家族の事が気になったが、今は生きてここから脱出する事だけを考えなければ―海斗がそう思いながら炎の中を駆けていると、彼女の背後から女達の悲鳴と怒号が聞こえて来た。
『娘は見つけ次第すぐに捕えろ!王への献上品にするのだ!』
『抵抗する者は殺せ!』
海斗が叢の中に隠れて息を潜めていると、風が唸る音と共に、海斗の爪先から数センチの所に一本の矢が地面に突き刺さった。
「ひぃっ!」
「騒ぐな。」
そう言いながら海斗の口を塞いだのは、金髪碧眼の美男子だった。
自分を見つめる男の蒼い瞳の美しさに、海斗は暫し見惚れた。
「お前、名は?」
「海斗・・」
「この叢を抜けたら、街道へ出る。奴らに見つからない内に早く行け。」
「ありがとう・・」
「また会おう、カイト。」
男は別れ際に、海斗に美しいラピスラズリの首飾りを渡した。
「生活費代わりだ。」
海斗の姿が闇の中へと消えてゆくのを、男は静かに見送った。
「ジェフリー様、こちらにいらしたのですか!」
「おいおいユアン、そんなに堅苦しい話し方をするなと言っただろう?」
「すいやせん、おかしら。」
ユアンがそう言って頭を掻いていると、遥か彼方から雷鳴のような蹄の音が聞こえて来た。
「畜生、あいつら・・」
「ここには留まっては危険だ、退くぞ!」
男達が燃え盛る村から立ち去った後、奴隷商人達が虐殺から辛うじて生き残った娘達を次々と荷馬車へと乗せていった。
その中に、逃げ遅れた海斗も居た。
彼女は手足を縛られ、他の娘達と共に奴隷市場へと連れて来られた。
『おい、この娘、両性のオメガだぞ!』
『へへ、運が良いな。競りに出す前に味見してやろう!』
「嫌だ、離せ!」
海斗は自分を犯そうとする商人達から逃げようとしたが、多勢に無勢だった。
『大人しくしろ!』
商人達から威圧フェロモンを飛ばされ、海斗は身動きが取れなくなった。
三ヶ月に一度、“発情期”を迎えるオメガは、人口の大半を占める聡明なベータや、特権階級に属するアルファと違って、劣等種とされ、奴隷として売り飛ばされていた。
商人に拉致された娘達も、大半がオメガだった。
『やめろ、大切な商品に傷をつけるな。』
『何だ、てめぇ!』
海斗と商人達の間に割って入ったのは、金髪碧眼の長身の男だった。
『これ以上騒ぎを起こすな。』
男に睨まれ、商人達はその場から去っていった。
『助けてくれて、ありがとう。』
『勘違いするな、お前の商品価値が下がると俺の稼ぎが無くなるからな。』
そう言った男の、海斗に向ける眼差しは優しかった。
『ここで会ったのは何かの縁だ。俺はヤン、お前の名は?』
『カイト。』
『カイト、これを持って行け。』
そう言って金髪の男―ヤンが海斗に手渡したのは、短剣だった。
『これで、万一の時があったら己の身を守れ。』
『わかった。』
海斗はヤンと別れ、他の奴隷達と共に部屋へと向かった。
「あんた、カイトだろ?」
「あなたは・・ミュシャさん?」
部屋に入った海斗は、そこで故郷で自分によくしてくれたミュシャと再会した。
彼女は、怪我や病気で苦しむ村人達に薬草やハーブを調合した薬で治療したりする医師だった。
「あんたとこんな所で会えるなんて、喜んでいいのかどうかわからないわね。ねぇカイト、あんたあいつらには、“例の力”の事は知られていないわよね?」
「うん・・」
海斗は、ある能力を持っていた。
それは、未来を予見する力だ。
「絶対にあいつらには知られてはいけないわよ。」
「うん、わかっているよ・・」
海斗は、そっとあの男から渡されたラピスラズリの首飾りを握り締めた。
「それは?」
「俺を助けてくれた人がくれたんだ。名前は聞かなかったけれど、とても綺麗な人だったよ。」
「そう・・」
何日か海斗達は同じ部屋で過ごしたが、一人、また一人と娘達は何処かへ売られていった。
そして―
「カイト、元気でね。」
「ミュシャさんも、お元気で。」
海斗は、奴隷商人にある場所へと連れて行かれた。
そこは、神殿だった。
『例の娘を見つけました。』
『そう、ご苦労。』
一人の神官は、そう言って淡褐色の瞳で海斗を見た。
「あの、あなたは・・」
「お前が、予言の力を持つオメガ?」
「いいえ・・」
「そう。」
海斗の言葉を聞いた神官は、突然興味を無くしたかのように、右手を振った。
『この者を連れて行きなさい。』
『はい。』
あの神官の部屋から出た海斗は、自分の隣に居る神官にこう尋ねた。
『あの方は、どなたなのですか?』
『あの方は、ラウル=デ=トレド様です。あの方は神官長様と同じ位に属していらっしゃるお方です。』
『つまり、神殿で一番偉い方ですか?』
『まぁ、そういう事になりますね。』
神殿で暮らし始めてから、海斗は先輩神官達から雑用を押し付けられ、多忙な日々を送っていた。
「あ~、今日も疲れた。」
海斗はそう呟きながら、神殿の近くにある泉で水浴びをしていた。
奴隷商人の所に居た時、入浴は月に一度で、しかも浴槽の中には藻が生えている汚い水だったので、美しい澄んだ泉で週三回水浴びできる環境はまるで天国のようだった。
そろそろ海斗が水浴びを終えようと思った時、一人の男が泉の近くにやって来た。
『そなたは・・』
男は美しい翠の瞳で海斗を見つめた後、海斗の腕を掴んだ。
『何をなさるのですか!?』
『見つけたぞ、わたしの女神!』
『いや、離して!』
「そこで何をしている!」
海斗と謎の男が激しく揉み合っていると、そこへあの時自分を助けてくれた男が現れた。
『彼女はわたしの女神だ。よって、彼女はわたしが貰い受ける。』
『寝言は、寝てから言え。』
男は蒼い瞳で海斗を攫おうとしている男を軽く突き飛ばした後、海斗を抱き上げた。
「あの男とは、知り合いなのか?」
「いいえ、初めて会った人です。」
「そうか。」
「あの、もう大丈夫なので、そろそろ下ろしてくださいませんか?」
「すまない。」
男はそう言って海斗を地面へと下ろそうとした時、彼女が首に提げているラピスラズリの首飾りに気づいた。
「まだ、持っていてくれたんだな。」
「はい・・」
男はそっと海斗を地面に下ろすと、宮殿の方へと消えていった。
「あなた、こんな所に居たのね、早く支度なさい!」
「え?」
「忘れたの、今日は宴があるのよ、準備を手伝いなさい!」
先輩神官達と共に、海斗は宮殿で宴の準備を進めていた。
「皆、ご苦労であった。」
「神官長様。」
神官長の隣に立っている屈強な兵士の顔を見た海斗は、その場で叫びそうになったのを必死で堪えた。
その兵士は、奴隷市場で自分を助けてくれたヤンだった。
(どうして、彼がここに?)
海斗がそんな事を思いながら宮殿の廊下を歩いていると、向こうから十数人程の従者を連れた高位貴族が歩いて来たので、彼女は慌ててその貴族に道を譲った。
「そなた、名を何という?」
「海斗と申します。」
「おもてを上げよ。」
海斗が俯いていた顔を上げると、ラピスラズリの瞳が自分を見つめていた。
「その炎のような美しい赤毛・・ジェフリーが話していた通りだ。」
「え・・」
「王、その娘をお気に召しましたか?」
「あぁ。」
「では、その娘を宴に出させましょう。カイト、わたしについて来なさい。」
「は、はい・・」
儀礼官・メフィスに連れられ、海斗は宴に出る為、身支度をした。
「え、化粧!?」
「そんな顔で王の御前に出るつもりなの!?」
宴を仕切る女官に化粧を施された海斗は、他の踊り子達と共に舞台に出る事になった。
(何で、俺が・・)
「今夜の宴は、美女揃いだなぁ。」
「お気に召されたようで、何よりですわ。」
そう言って王に微笑むのは、ラウルだった。
彼は男でありながら、王の愛妾だった。
ラウルは女好きの王の為に毎晩宴を開き、王の権力の威を借りて神殿内や宮殿内で権勢を振っていた。
「あの赤毛の娘、オメガなのか?」
「ええ。直接この目で確認する事は出来ませんでしたが、彼女には未来を予見する能力があるようです。」
ラウルの手を握った王は、ラウルの言葉を聞いてラピスラズリの瞳を煌めかせた。
「それは、本当なのか?」
「わたくしが、今まであなたに嘘を吐いた事がありますか?」
「あの娘を余の寝所へ。」
「わかりました。」
宴が終わり、海斗が一息ついていると、そこへラウルがやって来た。
「王の寝所へ行きなさい。」
「え?」
王の寝所へ行けとラウルから命じられ、海斗は赤面して俯いてしまった。
「その様子だと、お前はまだ生娘のようだねぇ?」
ラウルは少し揶揄うような口調でそう言った後、ある物を手渡した。
「これは?」
「媚薬だよ。これを飲むと痛みがなくなるよ。」
「そんな・・」
「王の寝所に侍る事は、名誉ある事なのだから、しっかり務めを果たしなさい、いいね?」
「はい・・」
海斗が重い足取りで王の寝所へ向かうと、そこには王の女官達の姿があった。
「媚薬は、もう飲んだ?」
「いいえ・・」
「では、この中に媚薬を入れなさい。」
「はい・・」
海斗がラウルから貰った媚薬を浴槽の中に入れると、それはたちまち水に溶け、薄紫色へと変わった。
「さぁ、入りなさい。」
海斗が浴槽の中に入ると、身体が急に熱を帯びてゆくのを感じた。
(これ・・)
「待っていたぞ。」
「王・・」
「では、わたくし達はこれで。」
女官達が部屋から去った後、王の天鵞絨のような舌が、海斗の乳首を舐めると、海斗は激しい快感に襲われた。
「あぁっ!」
「すぐに薬が効いてきたか。」
王は海斗の陰部に手を伸ばすと、そこは熱く濡れていた。
「力を抜け。」
王は海斗を四つん這いにさせると、己の肉棒で彼女を最奥まで貫いた。
「あぁぁ~!」
「最高だ・・」

激しい水音と、肉同士がぶつかり合う音が、王の寝所に響いた。

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