BELOVED

好きな漫画やBL小説の二次小説を書いています。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。

龍の護り人 第1話:運命の出会い

2024年03月30日 | FLESH&BLOOD 和風転生シンデレラパラレル二次創作小説「龍の護り人」
「FLESH&BLOOD」の二次小説です。

作者様・出版社様は一切関係ありません。

海斗が両性具有です、苦手な方はご注意ください。

最期に憶えていたのは、紅蓮の炎に包まれた故郷だった。

―父様、母様!

燃え盛る炎の中で必死に家族を捜している中、何者かに殴られ、気絶した。

そこで、記憶は途切れた。

「海斗、早くしなさい!」
「はい・・」
「全く、クズなんだから!」
両親を事故で亡くし、東郷海斗は眠い目を擦りながら、“部屋”から出て行った。
夏の陽射しが容赦なく彼女の肌を灼いたが、海斗は母屋の中へと入っていった。
「遅かったわね、何をしていたの?」
「申し訳ありません。」
「もういいわ、仕事なさい。」
そう言ったのは、海斗の伯母で料亭『五十鈴』の女将・恵子だった。
「はい・・」
「辛気臭い顔ね。あなたを見ていると苛々するわ!」
恵子は海斗にそんな言葉を投げつけると、そのまま自室へと去っていった。
海斗が厨房に入ると、板長の理太郎が彼女に菓子の包みを手渡してきた。
「今日は忙しいから、これ食べて元気出せ。」
「ありがとうございます。」
「海斗ちゃん、おはよう。」
「おはようございます。」
「今日も暑いね。」
「ええ・・」
厨房は風通しが悪く、夏の間は地獄のように暑かった。
「海斗、柳の間に定食運んで!」
「はい!」
夜になると、『五十鈴』の厨房は猫の手も借りたい程忙しくなった。
その日は暑くて、夜になっても蒸し暑かった。
海斗は溜息を吐き、井戸の水で少し手を洗った。
「その髪は、染めているのか?」
「え?」
突然背後から声がしたので海斗が振り向くと、そこには黒いスーツ姿の男が立っていた。
「いいえ、地毛です。」
「眉と睫毛だけは黒いな。それにその瞳・・黒真珠のような美しさがある。」
「あの・・」
男の美しい蒼い瞳に見つめられ、海斗は急に気を失いそうになった。
「大丈夫か?」
「すいません・・」
「後で、時間あるか?」
「はい・・」
「そうか。じゃぁ、ここで待っている。」
男はそう言うと、海斗の手に名刺を手渡した。
そこには、男が泊まっている宿の名前があった。
仕事が終わり、海斗は男の名刺に書かれてあった宿へと向かうと、そこは新しく出来たレンガ造りの美しいホテルだった。
「あの、こちらにジェフリー=ロックフォードさんという方は・・」
「来てくれたのか。」
海斗がホテルのフロントで男の名刺を従業員に見せていた時、丁度彼がホテルのロビーを通りかかった。
「部屋へ行こう。」
「はい・・」
男に部屋へと連れて行かれ、海斗は彼にベッドの上に押し倒された。
「あの・・」
「力を抜け。」
男に唇を塞がれ、海斗は身体の奥が熱くなるのを感じた。
“カイト・・”
(誰?この人、知っているような気がする・・)
海斗は、男の腕の中で蕩けた。
―カイト、約束だ。必ずお前を・・
懐かしい夢を見たような気がした。
「ん・・」
小鳥の囀りを聞いた海斗が目を開けると、隣にはあの金髪碧眼の男が眠っていた。
彼を起こさぬよう部屋から出てホテルを後にした海斗は、料亭に戻った時、両親の形見を部屋に忘れてしまった事に気づいた。
(どうしよう・・)
そんな事を思いながら、海斗が仕事をしていると、座敷の方から賑やかな笑い声が聞こえて来た。
「随分とお昼から賑やかですね。」
「何でも、貴族院議員の先生が来ているんだとよ。」
「へぇ・・」
海斗が、貴族院議員が居る華の間へ酒を運ぶと、そこには彼女の幼馴染で、元婚約者の森崎和哉が居た。
「失礼致します。」
海斗は和哉に気づかれないように座敷から出ると、和哉が彼女に気づき、彼女を追い掛けて来た。
「海斗!」
「久し振りだね、和哉。」
「ここで、働いているの?」
「まぁね。」
「仕事が終わったら、話せる時間はあるかな?」
「少しは・・」
「そう。じゃぁ、ここで待ってる。」
和哉は別れ際、海斗に行きつけの喫茶店の住所が書かれたメモを手渡し、座敷へと帰って行った。
「お疲れ~」
「お疲れ様~」
仕事を終え、昼休憩に入った海斗は、和哉に渡されたメモの住所を頼りに、喫茶店「シルビィ」へとやって来た。
「いらっしゃい。」
海斗を出迎えたのは、長身で強面のマスターだった。
「海斗、こっちだよ。」
「和哉、久し振り。今まで、手紙を一通も書かなくてごめんね。」
「いいんだよ。あんな事があった後だし・・それにしても、海斗はまた箏を続けているの?」
「お客さんの前で演奏することがあるから、続けているよ。和哉は、ヴァイオリンは続けているの?」
「まぁね。お昼だから、何か食べない?このお店は、ビーフシチューが美味しいよ。」
「じゃぁ、それを食べようかな。」
昼休憩を終えて海斗が料亭に戻ると、何やら店の前に人だかりが出来ていた。
「どうしたんですか?」
「海斗、あんたに会いたいって人が・・」
「え?」
女将と海斗がそんな事を話していた時、店の前に停まっていた車から、金髪碧眼の美男子―ジェフリー=ロックフォードが降りて来た。
「やっと見つけたぞ、カイト。俺の、運命の花嫁。」

海斗の前に跪いたジェフリーは、そう言うと彼女の手の甲に接吻した。

(え、えぇ~!)

これが、海斗とジェフリーの、運命の出会いだった。

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つ、疲れた・・

2024年03月27日 | 日記
今日は職場(スーパー)の特売日でした。
開店直後から目が回る程の忙しさで疲れてしまいました。
明日は休みなので、ゆっくり疲れを取りたいと思っています。
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希うものは 4

2024年03月25日 | 薔薇王の葬列 ヴィクトリア朝パラレル二次創作小説「希うものは」
「薔薇王の葬列」二次創作小説です。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。


「どういう事だ?」
リチャードがそう言ってバッキンガムを睨むと、彼はリチャードの華奢な方を抱きながら祖母が待つダイニングルームへと入っていった。
「まぁヘンリー、そちらの素敵な方はどなたなの?」
「俺の、婚約者です。お祖母様、俺はこちらのリチャード=プランタジネット嬢と結婚致します。」
「何ですって!?あなたが・・」
ミセス=スタフォードは、そう叫ぶと美しく着飾ったリチャードを見た。
「そのような事は、許しませんよ!」
「わたしはもう成人を迎えたのですよ、お祖母様。わたしはあなたの許しなどなくても、リチャードと結婚します。」
「そんな・・」
ミセス=スタフォードは、突然胸を押さえて蹲った。
「大奥様!」
「誰か、お医者様を呼んで!」
彼女が倒れた事により、スタフォード家のダイニングルームはまるで蜂の巣をつついたような騒ぎとなった。
「済まない、俺の所為で・・」
「気にするな。」
バッキンガムは、入って来た時と同じように、リチャードの肩を抱いてダイニングルームから出て行った。
数日後、バッキンガムはリチャードの長兄・エドワードの元を訪れた。
「リチャードが見つかった?それは、本当なのか!?」
「はい。彼女は我が家でメイドとして働いていました。」
「まさに、“灯台下暗し”だな。それで、わたしに頼みとは、一体なんだ?」
「俺とリチャードとの結婚を、許して頂きたいのです。」
「許すも何も、君なら安心して妹を任せられる!」
エドワードはそう言って、白い歯をバッキンガムに見せながら笑った。
「ところで、今日はわたしの他にお客様がいらっしゃるのですか?」
「あぁ。ジョージが来ているんだ。」
「ジョージ様が?」
リチャードの次兄・ジョージは、渡米してビジネスで成功したと、風の噂で聞いていた。
「今度、ロンドンで大きなショーをするらしい。その宣伝もかねてここへ帰って来たそうだ。」
「そうですか。」
「リチャードは、どうしている?」
「今は少し動揺しているようです。」
「無理もない。そういえば、そういえば、エリザベスが君に怒っていたぞ、縁談を潰されたと。」
「わたしには、彼女の妹は勿体無いくらいです。」
「はは、相変わらず君は嘘を吐くのが上手いな。」
エドワードは、そう言うと大声で笑った。
同じ頃、リチャードはバッキンガム公爵邸でメイドの仕事に追われていた。
「リチャード、こっちもお願いね!」
「はい。」
「ねぇ、あの子なんでしょう?」
「そうよ・・」
「まさか、あの子がねぇ・・」
「大人しい顔をして、やるわね。」
同僚のメイド達に陰口を叩かれながら、リチャードはせっせと針仕事をしていた。
そこへ、メイド長がやって来た。
「リチャード、あなたのお客様よ。」
「わたしに、ですか?」
「ええ。」
リチャードが針仕事を中断してスタフォード家の温室へと向かうと、そこにはバッキンガムの婚約者であるキャサリンが立っていた。
「キャサリン様・・」
「あなたが、まさかここでメイドをしているなんて思いもしなかったわ。」
キャサリンはそう言うと、リチャードを睨んだ。
「あなたはわたしからヘンリー様を奪おうとなさっているのでしょうけれど、わたしはあなたにはヘンリー様を渡しませんからね!」
「キャサリン様、何か誤解なさっておられるようですが、わたしは・・」
「とぼけても無駄よ!」
キャサリンはそう叫ぶと、リチャードの頬を平手で打った。
「わたしが言いたかったのはそれだけよ。」
キャサリンが温室から出て行った後も、リチャードは暫く温室に居た。
「遅かったわね。」
「申し訳ありません。」
「まぁ、いいわ。キャサリン様とヘンリー様にお茶をお出しして。」
「はい、わかりました。」
リチャードが厨房でバッキンガムとキャサリンの為に紅茶を淹れていると、そこへ一人の青年が入って来た。
「おやぁ、誰かと思ったら“ヨークの白薔薇姫”じゃないか?」
「あの、あなた様は・・」
「まぁリッチモンド様、こちらにいらっしゃったのですね。」

キャサリンはそう言った後、青年に向かって微笑んだ。

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希うものは 3

2024年03月25日 | 薔薇王の葬列 ヴィクトリア朝パラレル二次創作小説「希うものは」
「薔薇王の葬列」二次創作小説です。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。


「お前は一体何を言っているんだ?」
リチャードはそう言うと、バッキンガムを睨んだ。
「俺は、あんたしか要らない。」
バッキンガムは、軽くリチャードの手の甲にキスをした。
「あの方、誰なの?」
「確か、プランタジネット家の・・」
「何ですって!?」
バッキンガムの婚約者・キャサリンは、そう叫ぶと姉・エリザベスの方へと駆けて行った。
「お姉様!」
「どうしたの、キャサリン!」
「バッキンガム様が・・」
エリザベスは妹に泣きつかれ、バッキンガムの方を見ると、彼は謎の美女と談笑していた。
「あの方は、確か・・」
「リチャード=プランタジネット様ですよ。ほら、数年前に自殺した・・」
「そう。」
プランタジネット侯爵家の“宗教騒ぎ”の事は、まだ記憶に新しい。
宗教に入れあげ、財産を食い潰した侯爵夫人は拳銃自殺した。
まさか、その娘が、こんな場所に―
「ここは人目がある。」
「離せ。」
バッキンガムはリチャードの細腰を掴むと、大広間から出た。
「愛している、リチャード。」
寝台に入ったバッキンガムは、そう言うとリチャードを寝台の上に押し倒した。
「やめろ、俺は・・」
「あんたは、“男”でもあるが、“女”でもある。」
バッキンガムは、そう言うとリチャードのドレスの裾を捲り上げた。
「嫌だ!」
「今世は、あんたを縛る“荊棘”は何処にもない。俺は・・」
「ヘンリー、俺とお前とでは住む世界が違う。」
リチャードはそう言ってバッキンガムを押し退けようとしたが、彼の逞しい身体はビクともしなかった。
「リチャード・・」
黄金色の瞳に“女”の部分を見つめられるだけで、そこが疼くのをリチャードは感じた。
「あっ・・」
バッキンガムがその入口に指を這わせると、蜜が流れて来た。
「これだけで、こんなに濡れているのか。」
「言うな・・」
「リチャード、覚えているか?今世で、俺達が初めて会った時の事を?」
バッキンガムはリチャードの“女”の部分を愛撫しながら、転生したリチャードと初めて会った時の事を思い出していた。
あの頃自分は12か13にもならない位の子供だった。
貴族の子弟の嗜みとして通っていた剣術の稽古場で、バッキンガムは一人の剣士に注目した。
彼は、一人で何人もの剣士達を一撃で倒していた。
「凄ぇ・・」
「どんな奴なんだ?」
「両利きの剣士なんて、見た事ないわ!」
その剣士が徐に顔を覆っていた面を外すと、そこから花のかんばせが現れた。
黒絹のような美しい髪と、黒と銀の瞳をバッキンガムが見た瞬間、彼は恋に落ちた。
「あんた、名前は?」
「ガキの相手をする程、俺は暇じゃない。」
「俺はガキじゃない、バッキンガム公爵だ。俺は高貴な女が好きだ。」
「俺は女じゃない、口を慎め、ガキ。」
その剣士―リチャードは、バッキンガムの頬を軽く抓った。
「ガキ扱いするな。」
バッキンガムはそう言うと、リチャードを必ず自分の伴侶にすると、その頃から誓っていた。
時が経ち、成り上がり者の庇護下から抜け出したバッキンガムは、リチャードを捜し始めたが、その時既にプランタジネット侯爵家は倒産し一家離散していた。
だが、バッキンガムは魂の底からリチャードを求めていた。
そして遂に、リチャードを見つけたのだった。
「リチャード、愛している・・」
バッキンガムの腕の中で、リチャードは何度も蕩けた。
「着替えは俺が手伝おう。昨夜はあんたを苛め過ぎたからな。」
リチャードは、バッキンガムの言葉を聞いた後、彼の頬を軽く抓った。
「ガキが調子に乗るな。」
「そのガキに、あんたは抱かれたんだ。」
バッキンガムはそう言うと、リチャードのコルセットを締め始めた。
「リチャード様、良くお似合いですわ。」
「ジェーン、お前・・」
「お祖母様に、あんたの事を紹介しないとな・・俺の、婚約者だと。」

バッキンガムはそう言った後、口元に笑みを浮かべた。

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希うものは 2

2024年03月25日 | 薔薇王の葬列 ヴィクトリア朝パラレル二次創作小説「希うものは」
「薔薇王の葬列」二次創作小説です。

作者様・出版者様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。


「遅かったわね!」
「申し訳ございません、大奥様。」
「まぁ、いいわ。この薔薇を花瓶に活けて頂戴。」
「はい・・」
リチャードは、溜息を吐きながらスタフォード家の花瓶に薔薇を活けた。
(どうして、俺は・・)
かつて、リチャードはバッキンガムと同じ“立場”だった。
プランタジネット侯爵家の末子として生を享けたリチャードは、何不自由ない生活と、質の高い教育を受けて育った。

その生活は、リチャードが15の時に一変した。

リチャードの母・セシリーが、宗教にはまり、侯爵家の財産を食い潰した。
その所為で一家離散し、リチャードは莫大な借金を返済する為、スタフォード公爵家でメイドとして働く事になった。
ハウスメイドとしての仕事は多く、リチャードは一日の大半を仕事に忙殺され、休める時はベッドに入る時だけだった。
「ねぇ、今夜ヘンリー様の婚約者の方がいらっしゃるとか・・」
「どんなお方なのかしら?」
「何でも、ウッドウィル家の方とか。」
「そう。」
(ウッドウィル・・まさかエリザベスの・・)
「リチャード、ヘンリー様がお呼びだよ!」
「はい。」
リチャードは、バッキンガムの部屋のドアをノックすると、中から呻き声が聞こえて来た。
「ヘンリー様?」
「リチャードか・・入れ。」
「失礼致します。」
リチャードがそう言ってバッキンガムの部屋に入ると、彼は己を慰めていた。
「何をしている?」
「あんたを抱きたくなった・・ここへ来てくれ。」
バッキンガムはリチャードの腕を掴むと、己の膝上に彼女を乗せた。
「そういう事は、婚約者にしろ。」
「わかっていないな。俺は、あんたを抱きたいと言ったんだ。」
「そんな事、あっ・・」
その日の夜、スタフォード公爵家で華やかな舞踏会が開かれた。
リチャードは招待客の合間を縫うように汚れた皿やグラスなどを下げていった。
「あ~疲れた!」
「後少しよ、頑張って!」
「リチャード、ヘンリー様がお呼びだよ!」
「はい。」
こんな忙しい時に一体何の用だろうか―リチャードがそう思いながらバッキンガムの部屋のドアをノックすると、中から扉が開き一人の青年が姿を現した。
「リチャード様・・」
「ケイツビー、何故お前がここに?」
「俺が呼んだ。」
バッキンガムはそう言うと、軽く指を鳴らした。
すると、寝室から仕立屋と思しき女性が出て来た。
「あら、誰かと思えば“グロスター公”ではありませんか?」
「ジェーン・・」
「ジェーン、リチャードに似合うドレスを選んでやってくれ。」
「かしこまりました。」
「ヘンリー、俺は・・」
「さぁ、“閣下”、こちらへ。」
半ば強引にジェーンに寝室へと連れて行かれたリチャードは、ジェーンに何着かドレスを胸の前でかざされた。
「やはり、“閣下”には紫のドレスが似合いますわね。」
「ジェーン、俺は・・」
「さぁ、コルセットをつけましょうね。」
そうしなくても、“閣下”のお身体は、コルセット要らずですけれど―ジェーンはそう言いながらも、コルセットを締める手を緩めなかった。
「わたくしの見立ては間違いなかったようね。」
ジェーンは、リチャードの美しいドレス姿を見て溜息を吐いた。
「髪は、そうね・・かつらをつけましょう。」
「失礼致します、リチャード様。」
ケイツビーに薄化粧を施され、リチャードは恐る恐る鏡を見ると、そこには絶世の美女が映っていた。
「ヘンリー様、遅いわね。」
「あんなに可愛らしいお方がお待ちなのに・・」
貴族達がそんな事を話していると、大広間に一組の男女が入って来た。
美しい紫のドレス姿の美女とヘンリーの姿は、まるで一幅の絵画のようだった。
「みんな、俺達を見ている。」
「あんたが、美しいからだ。」
バッキンガムはそう言うと、リチャードの手に口づけた。
「一曲、お願い致します。」
「お前、これは一体どういうつもりだ、ヘンリー?」
「俺はあんたとやり直したい、リチャード。」

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