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人はなぜ「マスクをしていない人」を許せないのか 脳内で起こっているカラクリを精神科医が解説

2022年06月28日 19時05分53秒 | 天候のこと


マスクをしていなかったり、大勢で集まって飲んでいたり……。そういう人を「許せない」と思う人の心理に迫ります(写真:yoshan/PIXTA)



欧米ではすでに盛んだった「マスク着用の是非」、ようやく日本でも議論されるようになってきました。マスクには健康上のデメリットもあり、特に子どもたちへの悪影響も深刻です。そのようなことを知ったうえで、マスクを外したいと思ってもなかなかできない――。

そこには「他人の目」という同調圧力の壁があるかもしれません。

 『マスクを外す日のために今から始める、ウィズコロナの健やかな生き方』を緊急出版した医師、和田秀樹さんが「他人を許せない人」の脳で起きているカラクリをわかりやすく解説します。 


 コロナ下、さまざまな「警察組織」が登場しました。  

その総称は「自粛警察」。「マスク警察」や「帰省警察」「ワクチン接種警察」などの“部署”に分かれているようです。  

「自粛警察」という言葉自体は、2011年3月の東日本大震災の頃からあるそうで、今、確認されている最初の用例は、東日本大震災後のツイッターへの投稿だとか。その意味は、言うまでもないでしょうが、政府などの自粛要請に応じない個人や飲食店などを「許せない」と、私的に「取り締まる」人々や行為を指します。


■真面目な人ほど攻撃的になりやすい 

 「他県ナンバーのクルマを傷つける」や「マスクをしていない人を罵倒する」といった暴力的な事例は一時より減ったようですが、その「許せない精神」は今も健在です。 

 私の知人は、母親が亡くなった際、東京ナンバーのクルマで帰省したところ、駐車線から5センチほどはみだしていただけで、警察に通報されたそうです。私自身、クルマで動くことが多いため、今も県境を越えたときは、冷たい視線を感じて、けっこう窮屈な思いをしています。


 さて、心理学の知見では、「まじめな人ほど、ルール違反の行為に接したとき、自らの損失を省みず、攻撃的になる」傾向があることがわかっています。そうした行動には、セロトニン不足が関係しているようです。 

 セロトニンが不足すると、感情状態のバランスが欠け、自分が正しいと思うこと(=自分なりの正義)に反する行為を許せなくなる傾向が強まるのです。そのため、ふだんなら見逃しているレベルの「事犯」でも、セロトニンが不足していると、反射的に激しく注意したりしてしまうのです。


そもそも、「日本人のセロトニン分泌量は、世界最少クラス」という研究もあるくらいですから、日本人には、何らかのきっかけでセロトニン不足が生じると、自粛警察官化する傾向があるといってもいいでしょう。

  とりわけ、コロナ下では、ステイホームが要求されていたため、日光を浴びる時間が短くなり、セロトニンが不足しがちです。その結果、ふだんは隠れている“自粛警察性”が現れやすくなったとも思えます。

 ■「怒り」はどこから生まれてくるのか


 では、他者を「許せなくなる」ような負の感情は、どのように制御すればいいのか。まずは、「負の感情」、具体的には「怒り」がどのようにして生まれてくるのか、そこからお話ししましょう。 


 人間の感情は、大脳皮質(前頭葉など)と、脳の深いところにある大脳辺縁系(古脳)の相互作用から生じます。 

 たとえば、「マスクをしていない人が、大声で話している」姿を見かけると、辺縁系がすばやく、かつ単純に反応して、イラッときます。ときには頭に血がのぼり、文句の一言もいいたくなるでしょう。それも、辺縁系の反応です。辺縁系は、瞬間的に交感神経を興奮させ、直情的な怒りといった原始的感情を生み出すのです。


 その辺縁系のなかでも、感情に関しては、「扁桃体」という部位が主役を務めています。扁桃体は、目や耳から情報が入ってくると、それが「生存」に関わるかどうかを瞬時に判断します。たとえば人が「ヘビだ!」と気づくと、0.04秒後には、扁桃体が興奮すると報告されています。そして、人は恐怖を覚え、とっさに飛びのくことになるのです。 

 というように、扁桃体の反応は、とにかくスピード優先です。一方、それにブレーキをかけるのが、大脳皮質です。そのアクセルとブレーキの関係は、「怒り」をめぐって、最もわかりやすく現れます。

 たとえば、先ほど述べたような、マスクをしていない人に対しても、大脳皮質はゆっくりと反応します。扁桃体の働きによって、瞬間的にはカッときても、その後すぐに大脳皮質が「文句をいうと、あとあと厄介ではないか」のように考えて、衝動的反応にストップをかけるのです。

  要するに、辺縁系は感情のアクセル役、大脳皮質は感情のブレーキ役といえます。人間の感情状態は、この2つの遅速の決定システムによって決まってくるのです。


 これは、怒り以外の感情の場合でも同様で、たとえば、おいしそうなものを目にしたとき、辺縁系の「早いシステム」は「わっ、食べたい!」と反応します。しかし、その後、大脳皮質が遅れて反応し、「食べると太るから、やめておこう」というようにブレーキをかけるという具合です。 

 しかし、ストレスが過剰にかかっている場合は、大脳皮質の冷静な反応が、辺縁系の直情的反応に負けやすくなります。あなたも、疲れているとき、つい人に当たってしまったことはないでしょうか。それは、疲労から、大脳皮質が辺縁系を抑え込められなかったときに起きる現象です。


 新型コロナの影響で、自粛生活が続いたり、経済的な困難があったりすると、誰しもイライラがつのります。この項からは、ストレスがたまり、「イライラする」ときの対処法を紹介していきましょう。 

 医学的にいうと、イライラしているのは、自律神経系の交感神経が優勢な状態といえます。 

 交感神経が活発に働くと、血圧や心拍数が上がり、呼吸数が増えます。一方、副交感神経の働きが鈍って、精神的にリラックスできなくなります。消化器系の機能が落ちるため、食べ物をおいしく感じられなくなり、なかなか眠れなくもなります。そうしたことが重なって、さらにイライラするという悪循環を招きがちです。

 そうしたイライラを防ぐには、まずは食べ物から「セロトニン」を補給することです。これまで述べてきたように、セロトニンは脳内の神経伝達物質であり、これが不足すると、ちょっとしたことでイライラしやすくなります。

 ■セロトニンの材料となる肉を食べよう  

その量を増やすには、日の光を浴びるほかに、原料となる食べ物を摂取するのが有効な策です。セロトニンの原料はトリプトファンというアミノ酸なので、アミノ酸を含む食べ物、具体的には、肉類を食べるのがいちばんです。


 そもそも、栄養不足は、それ自体がイライラを招く原因になります。たとえば、朝食抜きの生活を続けると、血中ぶどう糖濃度が低下し、メンタル面が不安定になりがちです。栄養不足は、さまざまな理由から、イライラの原因になるのです。 

 また、イライラを防ぐには、睡眠を十分にとることも重要です。ふだんは温厚な人でも、睡眠不足が続くと、イライラしはじめるのは、経験的にご存じのことでしょう。睡眠欲求が満たされないと、人は神経過敏となり、ふだんは気にならないようなことにも、イライラしはじめるのです。


 ただし、睡眠に関しては個人差が大きく、「6時間眠れば十分」という人もいれば、「8時間は必要」という人もいます。私の場合は、夜6時間寝て、1時間昼寝するという睡眠法が最適のようです。 

 コロナ下で生活が不規則になりがちですが、自分に合った睡眠時間を守って、脳の疲れをしっかりとることも意識してみてください。





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休業中のキャバ嬢達は何で稼いでるの? 使用済みのドレスを

2022年06月28日 00時03分36秒 | 女と男のこと
休業中のキャバ嬢達は何で稼いでるの? 使用済みのドレスを

新型コロナの影響で、現在休業中のキャバクラ嬢達。しかし中には「休みを使って副業を始めました!」というキャバ嬢も。彼女らの副業とは一体、どんなものなのだろうか? Zoomで話を聞いてみた。  
ゲームの実況配信で20万円


5/5/2020

ゲーム実況配信の副業を始めたユイさん(Zoomにて撮影)



 まず、話を聞いたのは大阪・ミナミのキャバクラに勤務するユイさん(仮名・24歳)。以前から「店に出勤していない間は基本、部屋に引きこもっている」と話していたユイさん。そんな彼女は、ある特技を活かして収入を得ているという。 「元々、オンラインゲームが好きで仕事が休みの日は1日中ゲームしていられるほど。Youtubeでゲーム実況もやっていたのですが、仕事が忙しくてあまり配信できなかったんですよね。それが2月頃から店がヒマになって出勤を削られるようになったので、思い切り配信に打ち込めるようになったんです。今は店が休みなので毎日、配信作業に明け暮れています(笑)。  

コロナの影響で広告料が少し下がったともいわれていますが、みんな家にいて暇なのか再生回数は悪くないですね。先月はトータルで100万回いったので、20万円ほどの収入がありました。  

あとは過去にやりまくっていたゲームアカウントや課金アイテムをRMT(リアルマネートレーディング)サイトで販売しています。これが意外とおいしくて、人気ゲームのアイテムなら5000円~10000円ほどで売れるんですよ。  今までゲームをする時間はなくてもログインだけは毎日していたのでアイテムが溜まりまくっているんですよ。出勤しているときに比べると、収入は2/3ほどになりましたが、今はお金を使うこともないので。普通に生活するのには十分ですね」  他にも、ライブ配信アプリで投げ銭を稼ぐなどして小銭を得ているというユイさん。この休業中に動画配信者になるキャバ嬢は多いのかもしれない。 
投資の勉強をするキャバ嬢も

  続いて、話を聞いたのは都内の熟女キャバクラに勤務するサユリさん(仮名・32歳)。元々、韓国旅行が好きだというサユリさんは、このコロナ禍を逆にチャンスと捉えているという。 「ずばり、外貨為替ですね。今回のコロナ禍で一時はドルが大暴落したじゃないですか。今は行けなくても次行く時のために10万円ほど韓国ウォンに両替したんです。いますぐにプラスになるというわけではないですが、昼の仕事は行けているのでお小遣い稼ぎという感じですね。でも、この休みの間に投資の勉強を始めようと思っていて。次はタイバーツに両替しようかとも考えています!」

使用済みドレスが高く売れる…ブラもOK
  終わりが見えない休業の中、勉強を始めるキャバ嬢もいるようだ。仮に、夜をやめたとしても新たなビジネスとして繋がっていくだろう。一方で、古典的な方法で食いつないでいると話すのは都内のキャバクラに勤務するモエカさん(仮名・25歳)。
今回の休業で1番困るのはとにかく家賃です。新宿区の家賃20万円のマンションに住んでいるんですが、元々金遣いが荒いので貯金が全然なくて。パパもいたのですが、さすがに会えないのに家賃だけ払ってもらうのは断られてしまいました。なので、家賃だけはどうにか確保して、食費とかは全部彼氏に送金してもらっています。  

家賃代を稼ぐために、もう来なくなった客からもらったブランド物やドレスをフリマサイトで売りまくっています。ブランド物は普通に売れるとしても、キャバクラが休みの今ドレスなんか売れるかなと思うでしょ? 

それが、着ているところの写真を載せると結構、良い値で売れるんですよね。恐らく、どこかの変態が買っているんだと思うけれど。この前は、ドレスサイトのセールで1900円だったドレスが3800円で売れましたよ!  他にも使用済みのパンプスとか、ヌーブラとか。下着は出品禁止みたいですが、ブラはOKだそうです。このまま、休みが延長されたらフリマサイトで稼ぐのもいいかな~、と考えています(笑)」 


 稼ぎ方はそれぞれだが、各々のスキルを活かして休業中でもどうにかやっていけているようだ。普段、様々な客を相手にしているキャバクラ嬢達。今回のコロナ禍にも負けない精神で、がんばってほしいと思った。



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院内感染」を防ぐ切り札「血液抗体検査」の舞台裏>免疫パスポート『すでに新コロナ抗体がある人』

2022年06月27日 06時03分39秒 | 医学と生物学の研究のこと
院内感染」を防ぐ切り札「血液抗体検査」の舞台裏

免疫ライセンス」とは?  

「日本でも臨床の現場は逼迫し、医療崩壊が起こる瀬戸際に追い込まれています。しかしこれを防ぐ切り札がある。それはコロナウイルスの血液抗体検査です」



  ある医薬品企業の開発担当者は私にこう語った。そして声を潜めるようにして続けた。
 
「我が社ではすでにカナダから有望な抗体検査キットを輸入しました。実は今、ある大学病院で効果を見極める評価テストを実施してもらっており、近い将来、販売に向け一段階進められるのではと考えています」

 この抗体検査は、新型コロナウイルスに喘ぐ我々にどういう恩恵をもたらすのか――。

 連日の感染拡大を受けて、軽症や無症状の感染者を病院ではなく、宿泊施設で療養してもらうという受け皿作りが各自治体で進められている。重症患者は感染症指定病院で受け入れ、十分な治療を行おうというわけだ。医療のキャパシティが膨らめば、PCR検査も増やすことができる。

 だが、ワクチンが出来るのは、早くて1年半後。それまで日本の医療が持ちこたえられるか、ギリギリの状況が続いている。

 そんななか、PCR検査と比べれば“脚光”を浴びていなかった医療行為がある。それが抗体検査だ。新型コロナウイルスへの免疫を我々が持ち得ているのか、血液検査で手早く調べる方法である。実は、これこそ、いま最短距離で希望の光をもたらすものなのだ。

 抗体とは大きく5種類に分けられる。そのうち、「IgM」はウイルスが侵入(感染)するとまず出現して、中和、1週間ほどでピークに達するが2カ月経たないうちに消失する。ピークを過ぎたころに今度は「IgG」という抗体が出現し、ウイルスをやっつける。期間として1年前後、血液中に存在するのがこの抗体だ。検査キットでは、この二つの抗体をセットで拾うものが多い。

 すでに海外では先んじて実施されている。

 アメリカでは、4月10日から、カリフォルニア州で大規模に行われていると報じられ、千人を対象に2週間ごとに実施されるという。

 欧州の疾病予防管理センターによると、すでに、EUの全加盟国の安全基準をクリアした製品に与えられる「CEマーク」を取得した検査キットが60以上あるという。通常なら、EU27カ国とEFTA(欧州自由貿易連合)の4カ国で使用可能だ。

 イギリスでは、「免疫パスポート」なるものの発行を検討しているようだ。まさに免疫証明書で、その人は抗体を獲得し免疫をつけているので都市封鎖(ロックダウン)中でも普通の生活に戻ることができる。

 医療崩壊したといわれるイタリアでは、二つの州で、抗体検査が始まったと報じられている。まず2千~3千人の医療従事者に実施。その後、高齢者施設の従業員や利用者、国民との接触機会が多い職員に対して実施するという。ベネト州知事は、新型コロナの抗体を持つ人が仕事に復帰するための「ライセンス」発行が目的と語っている。

  だが、日本では未だに大規模な抗体検査は実施されていない。厚労省が抗体検査キットを認可(薬事承認)していないからだ。

認可が下りれば…」 
 私は今回、抗体検査キットを実用化しようとしている冒頭で紹介した担当者に取材することができた。

 その担当者が続ける。

「実際に保険診療の中で広く抗体検査が使われるには、厚労省の認可が必要です。一方、認可の前に研究目的で販売されるケースがあります」

 しかし、そこに至る道は近年になって困難が増しているという。

「検査キットの性能試験、つまり精度のチェックですが、これには患者さんだけでなく健康な人からも血液をいただかねばならない。陽性と陰性がそれぞれ正しく検出されるかチェックするためです。そのため、治療にあたった病院で倫理委員会を開き承認を得なければなりません」(同)

 加えて、患者の同意書も必要であり、これらが揃わないと、データの客観性に疑義が生じる可能性があるという。

 研究目的での販売について、通常は国立感染症研究所や大学病院などが性能(精度)を認めることが重要とされるが、特に法的な規制はなく、研究者と企業の判断で販売できる。精度の悪いものが出回れば、医療現場に混乱を招くわけだが、その点は企業の良心にゆだねられているということか。

「厚労省の認可前ですが、すでに国内では3社ほどが販売していると聞いています。研究目的として最終的には千件前後の抗体検査が行われることになるでしょう」(同)

 抗体検査は小規模ながら、すでに始まっていると考えていい。

 感染者拡大の勢いが激しい欧米では、緊急事態として手続きが簡略化されていると聞く。日本でも厚労省には迅速な対応が求められているが、この担当者は、

「通常ならば、認可まで半年かかることもありますが、今回は、かなり短くできるのではと期待しています。いずれにせよ、認可が下りれば、製造方法は既成のものと変わらないので、我が社では1カ月に数千から数万件分の検査セットは用意できます」

 PCR検査は3月6日に保険適用になり広く使用できることとなった。しかし、実はこの時点ではまだ厚労省により認可された検査キットは出ていなかったのだ。これまでは、認可が下りた後に保険適用されていた。恐らく政権の判断なのだろうが、手続きの順序が逆転したというわけだ。

 抗体検査もそのようになる可能性は高い。この検査は医師が行い、結果が出るまで約15分。かといって、市民が不安に駆られ抗体検査をしてほしいと医療機関に殺到するような事態を招いてはならない。そのためのルール作りと、検査に関わる医療スタッフを守る防護環境を整えなければならないだろう。

 以前、このコロナ特集(「週刊新潮」3月26日号)に掲載された拙稿で、新型コロナウイルスについて、日本全土に広がったのち終息するしかない、封じ込めは無理だろうと、免疫の権威、順天堂大学の元医学部長で現在特任教授の奥村康氏の言葉を紹介した。

 改めてコロナの抗体について、奥村氏に尋ねた。

「普通に健康な人は新型コロナウイルスに感染しても1週間ほどで抗体ができ、快方に向かう。ウイルスに感染して治ったということは、自分の中に抗体ができてウイルスをやっつけたわけです。治癒した人はみなさんその抗体があると考えていい」

 ウイルスが広がり、国民の7割ほどが抗体を持てば終息に向かう「集団免疫」という概念は、最近専門家からも広く聞かれるようになった。では、一度新型コロナウイルスにかかると、通常のインフルエンザのようにしばらくはかからないのだろうか? 

「まず、かかりません。もし、抗体の量が少ないためにかかった人も軽く済むでしょう。一度しっかり抗体ができれば1年前後は再感染しないといえます」

 日本では現在、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号乗船者、武漢からのチャーター機帰国者、そして国内でと、感染から治癒し退院した人が毎日増え続け、約1500人に上る。

 「気づかないうちに感染し治ってしまって、抗体を持っている人が徐々に増えていると思います。特にウイルスにさらされる機会のある医療従事者に多いのではないでしょうか」(同)

医療崩壊を回避
 
 現在、新型コロナウイルスに感染した医療従事者は全国で200人以上と推計される。世界全体では、WHOの発表によると8日までに何と2万2073人だという。

 抗体という視点で見れば、こうした数字も意味が違ってくる。治癒した彼らが抗体を得て医療現場に復帰することになるのだ。

「例えば、抗体を持った医療従事者から持たない者へ防護装備の一部を融通したりもできる。その分、損なわれた医療システムが回復、より充実していくのではないでしょうか」(奥村氏)

 抗体検査が広く行われ、免疫を持つ人が増えれば、医療崩壊を回避する強力な武器になる。抗体を持つ者が医療現場の前面に出て、持たない者が後方支援するなど、病院としての人事的対応を含め、機動力が増すはずだ。

 他にも、今後、例えば500人の医師の集団を抗体検査し、そのうち何割がすでに抗体を持っているかが分かれば、この新型ウイルスについて感染力の強さや重症化しない割合など、より詳しく解析し、正体に近づくことができるはずだ。

 先の担当者が再び語る。

「今、大学病院で評価中である我々の抗体検査キットの精度が認められれば、一日も早く厚労省の薬事承認を受けたうえで、広く販売したいと考えています」

 この医薬品企業は研究目的の販売には一歩距離をおいた慎重な姿勢だが、他にも、抗体検査を活用する方法がある。

 現在、各自治体では軽症者や無症状者を隔離する施設を借り上げるのに担当者が奔走している。大阪府では公募に対しホテルなど約2万1千室の応募が寄せられたと吉村知事が会見で述べた。感染者の世話や重症化した人のケアと医療機関への搬送など、施設には行政職員、看護師または保健師、ホテルスタッフらが入ることになるという。

 無症状・軽症者であれ、感染を拡げる可能性がある限りは、世話にあたるスタッフは十分な防護装備を身に着けなければならない。万が一にも、そうした宿泊施設が新たな感染拡大の拠点になってはならない。不安なスタッフに対する心身両面でのケアも必要だ。

 ならば、こういうことを検討できないか。私の旧知の医師が一つの提案をする。

「強い抗体を持ち再感染しない人にあくまで自由意思で希望を募り、施設で感染者の世話や連絡事務などに当たっていただくというのはどうでしょうか。防護関連の装備がかなり不足している今、宿泊施設を拠点とした感染拡大を抑えることにもなるのではと思います」

 大きな希望といえる抗体検査だが、海外で急いで実施した国では精度の壁にぶつかって戸惑っている部分もあるようだ。拙速に進めて、医療現場が混乱することは避けなければならない。一方、この企業のように精度の高いキットを開発し、現在、国民のどれくらいが抗体を持っているのかが分かれば、企業や個人を問わず、社会・経済活動をどう展開するかの指標にもなる。日本でもイギリスやイタリアのように「免疫証明書」として活用し、抗体を持つ人から順次、通常の社会生活に戻り、経済を回してもらうことだってできる。さらに、政治戦略の判断材料にもなるだろう。

  環境を整備したうえで、医療崩壊と感染拡大を防ぐためにも一日も早い抗体検査の実用化を望みたい。


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コロナ感染者の「テンション高い」は要注意 無症状でも重症化する「ハッピー・ハイポキシア」 自覚なく血中酸素濃度が低下

2022年06月26日 03時06分28秒 | 感染症のこと 新型コロナウイルス

新型コロナウイルスの感染が拡大して病床が逼迫するにつれ、無症状や軽症の自宅療養者や宿泊療養者が急速に悪化し、死亡するケースが増えている。救急医療の専門家は、コロナ患者の場合、患者自身も気付かないうちに血液中の酸素濃度が下がる「ハッピー・ハイポキシア(幸福な低酸素)」になる恐れがあると警鐘を鳴らす。  


神奈川県の50代男性は、軽症で基礎疾患もなく、昨年12月9日に県の宿泊療養施設に入った。2日後の午後、定時連絡への応答がなく、看護師が部屋へ行くとベッドで心肺停止状態になっていた。


  大阪府の50代男性も陽性の届け出を受けた保健所が今年1月14日に電話連絡し、検査時には無症状だったが、翌15日の連絡時は症状が出ていると回答。救急搬送先で死亡が確認された。 


1・25・2021

 無症状や軽症の人が急激に重症化する要因の一つとされる「ハッピー・ハイポキシア」について「本人は苦しさを感じないが、実際には重症化に陥っている」と解説するのは、東海大学医学部付属病院高度救命救急センターの守田誠司所長だ。 

 「航空医学から出た用語で、飛行機の高度が上がって気圧が低くなり、操縦士の脳に酸素が回らなくなると、多幸感が生じて判断を誤り、墜落する例もあった」という。ハッピーと名がついていても恐ろしい症状だ。 

 コロナ感染者の急速な重症化について守田氏は、「患者本人は平気な様子で来院しているが、データをみると血中酸素濃度が低いことも少なくない。自覚しないまま急激に症状が悪化する


というのはコロナ以外の肺炎などではほとんどみられないケースだ」と語る。  東京都は15日から、都内の自宅療養者を対象とした支援の一環として、酸素飽和度を測定する「パルスオキシメーター」の貸し出しを高齢者など優先度の高い患者から貸与しているという。 

 守田氏は、「一般に正常値は96~100%で、95%を切ると低酸素状態、90%を切るとためらわず救急車を呼ばなければ間に合わなくなる。パルスオキシメーターが手元にない場合、家族から見て感染者のテンションが普段より高いことで異変に気付く例もあるので、よく様子を見てほしい」とアドバイスした。


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死刑に参加した刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由

2022年06月26日 01時05分09秒 | 社会のことなど
死刑に参加した刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由

 昨年12月、確定死刑囚3人の刑が執行されたことは記憶に新しい。死刑執行は2019年12月以来とおよそ2年ぶりで、岸田政権の発足後は初めてのことだ。 

6/25/2022

死刑に参加した刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由



【マンガを読む】刑務官がスイッチを押すとき…「刑務官が明かす死刑の秘密」公開中  

死刑とは犯した罪を自らの死によって償う刑罰で、刑法11条で死刑は刑事施設内において絞首にて執行すると定められている。

だが、世界では約7割の国が死刑を廃止か停止している。国際的な潮流に逆行する日本には厳しい目も向けられているからこそ、我々は「国が人の命を奪う」死刑に向き合わなければならない。

  日本では死刑判決はどう行われ、死刑囚はどんな生活をして、死刑はどう執行されるのか――。

漫画家・一之瀬はちさんが実際に死刑に立ち会った刑務官に取材した実録作品『刑務官が明かす死刑の秘密』が注目を集めている。一之瀬さんは反響についてこう語る。  


「読者の方々からは単純に死刑に対して賛成・反対意見、そしてそれ以外に『どのように死刑が行われているのかが知ることが出来た』といったことから、中には『(執行の)ボタンを押すのは遺族でも良いのでは? 』と言った意見など様々なものが寄せられましたが、死刑の是非は一言で表現できるものではないのだと痛感させられました。 

 犯罪者側の立場、被害者側の立場、そして執行する立場…。それぞれの立場によって考えもまた変わるのだということに気付かされました。簡単に賛成・反対だけでは済ますことのできない難しい大きな問題だと思いますが、読者の皆様に塀の中で起きていることを知って頂き、死刑について考えるきっかけの1つになれれば幸いです」


絞縄の工夫


『刑務官が明かす死刑の秘密』より

 一之瀬さんが取材したのは、実際に死刑に立ち会った経験のあるM刑務官。大学卒業後、刑務官試験に合格。地方刑務所、拘置支所勤務を経て、現在は某拘置所に勤務している。 

 日本での死刑は絞首刑つまり縊首(いしゅ)と刑法11条で定められている。これは、頸部を絞めることで死をもたらす方法である。死刑に必須な道具が、首に回されるロープ「絞縄(こうじょう)」。

一見普通のロープのようだが、首に回したロープが落下の衝撃で外れないためのパーツとなる「鉄輪」が付いており、このパーツをロープを回した後に下げると、首から抜けにくくなるという構造だ。  

また、縄で首が切断されるのを防ぐため、のど元にくい込まない太さ2~2.5cmのナイロン製ロープを採用、絞縄には革がついているなどの工夫がある。  

このように、拘置所には死刑にまつわる様々な道具や設備が備わっている。


見えないように


『刑務官が明かす死刑の秘密』より

 たとえば、死刑執行の際、顔が見えないよう受刑者は「アイマスク」の着用が必須となる。 

 「昔は袋状のものをかぶせたりしていたようですが、今は下に医療用ガーゼを敷いたアイマスク型が主流です。どうしてアイマスクなのか。 

 まず1つ目は死に顔が外部から見えないようにするため。これは刑務官の心理的負担軽減のためです。2つ目は視覚から交感神経が刺激されて恐怖が増してしまうため。完全に視覚を遮るアイマスクで死刑囚の心を落ち着かせる目的があります。  

そして、一番大事なのが目玉が飛び出さないようにするためです。頸部が締まった衝撃で眼圧が高まり、目玉が飛び出すと言われている」(取材したM刑務官)  

また、死刑執行の前に必要な道具のひとつに「砂袋」がある。どのように使用されるのだろうか――。 

 記事後編【死刑に参加した刑務官が明かす…執行の日まで繰り返される「死刑の練習」の全貌】に続きます。


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