馬鹿も一心!

表題を変えました。
人生要領良く生きられず、騙されても騙されも
懸命に働いています。

エピローグ の追加編集 忽然と消えた女。続き独りぼっちの女。

2020-02-07 15:33:55 | 日記

エピローグ の追加編集 忽然と消えた女。続き

https://blog.goo.ne.jp/kikuchimasaji/e/6e3e592e210e5406923ccf0af2231d32

 

独りぼっちになった女。

 

その最下段に次の一文がある。

私も「あなたに苦言を呈します」

当時 身近にいた女性は皆幸福とは言えません。

私は別居生活が20年以上、もう一人は

最初の結婚は1年足らず、再婚したら死別

更に一人はまだ一人身です。

どのような責任をお取りなさるのかしら?

元気に 銀座でお食事しましょう

 

緑字の

更に一人はまだ一人身です。

 

一人身の彼女は小柄だが幼顔のチャーミングな女。

銀座4丁目のショールームが職場。

 

 

両親は東京中心部で建築金物会社を経営。

店舗は都内に二つ

新潟 長野にも支店があった。

3姉妹の末っ子。

所謂 お嬢様です。

 

私が新橋の軽食喫茶勤務から銀座営業部に移動となり

最初の顔合わせが、併設の軽食喫茶であった。

長テーブルの対面に彼女はいた。

可愛い顔して煙草を堂々と吸うのに驚いた。

 

後 労組の役員を無理やり押し付けられた。

労組での役割は執行委員であるが、発言は殆どせず

お茶入れ、原稿を清書、コピー、雑務を率先して黙々とこなした。

 

夜半になっても、労使交渉が続くが

彼女は帰宅せず、疲労と寝不足の私にお茶を入れ

栄養ドリンク、バナナを出した。

 

銀座4丁目の商業ビル

彼女は6階のショーフロア

私は8階の外商部に形式上の勤務職場。

 

お礼を込めて地下の名店老舗甘味処で会話した。

彼女はハニカミながら、「こんなに強い人初めて知った」。

何のことか分からなかった。

 

「付き合ってる人いるの」軽く訊ねた。

 

 

「いません でも好きな人いる」

「でもその人は鈍感なのか気づきません」

 

昭和56年 雨期の季節

彼女の母親がくも膜下出血で倒れた。

数日後に亡くなった。

葬儀の告別式の参列。

黒服の彼女は憔悴して正面に腰掛ける。

私を見かけると目を背けた。

 

母の死後、父の食事等の身の世話をした。

私が退社するのを告げると涙ぐんだ。

歳月は過ぎた。

私の娘が生まれると、祝いのベビー服を送られてきた。

上記3人でオーストラリア観光の土産とコアラを抱いた写真が送られてきた。

 

父親が再婚したのを知った。

歳月は過ぎた。

父親が糖尿病により、片足切断したと聞いた。

歳月は光陰矢の如し时

父親が死去したとの連絡を受け市ヶ谷での告別式参列。

毅然とした彼女がいた。

母と父を失う。

長姉は韓国人と結婚するも、直ぐに離婚

次姉は病で亡くなった。

私は 彼女の行く末を案じた。

相続した遺産は凄かったらしい。

 

忽然と消えた女性が、教えてくれた。

「あの娘も彼氏ができたのよ」

地方勤務していたが組合執行部役員であった。

聞いて 一抹の寂しさはあったが、安堵感もあった。

私が退社する3カ月前に突然東京勤務となった。

人事異動の時期ではない。

なんとなく違和感があり、経営側の暗い意図を感じ取った。

経営側は、彼を書記長にしようと画策したのだ。

私がいなくなれば、なぜだか経営は健全になり、社内摩擦は解消すると

信じた大馬鹿者の愚かな考え。

私を追放すれば前に進むとの妄信に陥ったのだ。

阻止した。

 

その男は癌発症した。

1年足らずで死去。

高円寺での葬儀に参列。

彼は一人っ子であったが、既に両親は他界。

親族が殆どいない葬儀であった。

当時の組合役員が、彼女も来ていると知らせた。

しかし、通夜の席にはいなかった。

焼香すると直ぐに帰ったのだ。

彼女の胸の奥底の心情を想う。

老いた自分を見せたくなかった。

鶴の羽は衰えたのだ。

 

参列していた、消えた女が

通夜の席でキツイ眼差しで言った。

「あの娘は書記長を好きだった」

「想い叶わぬと、あなたが会社を去って泣いた」

私は一言も発せず黙った。

歳月は過ぎた。

両親のいなくなった建築金物会社は経営を閉じた。

彼女が血液の病であるとの噂を知った。

 

現在中央線の閑静な邸宅街 低層高級マンションで

一人暮らしている。

 

3年前、彼女が生まれ住み、会社があった

四谷三丁目のビルを通った。

建築金物の看板はなく、ペットショップがあった。

彼女は既に67才。

 

過ぎてしまった時間も恋も取り戻せない。

 

何と無情なことか!

3人の女性は、凛とした矜持が漂い

なかなか、軽薄男は敵わない。

 

年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず。

互いが生きて逢うことはない。

今更 幸福を願うのはむなしい。

 

 

中国民謡

笹の小船

http://www.tudou.com/programs/view/lXSLmEY_uAU/

 

 

ひとすじのせせらぎ ゆるやかに

わたしの家の前を流れ。

ひとすじのせせらぎ ゆるやかに

あなたの家の庭めぐる。

 

せせらぎの水よ

日ごと流れてゆくが、

わたしの思いを

流せはしない。

せせらぎの水よ

夜ごと調べをかなでているが、

わたしの思いを

歌い尽くせはしない。

 

笹の葉で小船を一つ折り、

そこに白い帆を立てて、

わたしの思いをのせて、

あなたの心の港に向けて

送り出そう。

 

あなたの心の港に向けて

送り出そう。

 

 

小林恵「十六夜-IZAYOI-」