前に『サブウェイ・パニック』についての記事を書きました。で、あの記事を書いて、他のウォルター・マッソーのアクションものも記事にしなければいかんなあと考えましたので、今回は『マシンガン・パニック/笑う警官』を取り上げます。この作品は、昨年ようやくDVDが発売されました。
The Laughing Policeman (1973) Trailer
なお、この映画の題名もいろいろ紆余曲折があり、現代は「The Laughing Policeman」で『笑う警官』ですが、日本での劇場公開の際は『マシンガン・パニック』(この題名は、あるいは『サブウェイ・パニック』を意識したのかな?)。VHSビデオ化された際が『笑う警官/マシンガン・パニック』、DVD化でまた題名がひっくり返りました。原作もそれなりに知名度があるからかな。
今回も手抜きでってことはないですけど、私がallcinemaに書いたコメントを引用します。
>好きな映画です
投稿者:Bill McCreary 投稿日:2007-10-23 22:10:49
原作のストックホルムから、サンフランシスコに舞台を変えての映画化です。ウォルター・マッソーとブルース・ダーンもいいし、脇を固める俳優達も充実しています。上司役のアンソニー・ザーブもいやな奴を好演しています。また、保安官役をしょっちゅう演じているクリフトン・ジェームズがちらっと顔を出したり、『刑事コロンボ』の常連ヴァル・アヴェリーやルー・ゴセットJrなど、なかなかの顔ぶれです。同じ監督の『暴力脱獄』と出演者が複数重複しているのも個人的に興味深く思いました。
仕事馬鹿のマッソーと、やややる気に欠けるダーンの対比も面白いところです。このあたり、さすがにダーンの演技は絶品だと思います。また、70年代のサンフランシスコの下町や風俗街の描写も貴重なものがあります。
原作者はこの映画をあまり気に入っていないようですが、映画の出来としては高いものがあります。主人公の家庭のシーンなどはややもたつきますが。
ラストの落ちは、原作と同じ趣向なのですが、若干変えています。個人的には映画のラストの方が好きです。
実現することはありませんでしたが、マッソーとダーンのコンビをシリーズ化してもよかったなあとも思います。マッソーの執拗な聞き込み中心の捜査は、同じ時代のハリーやポパイよりも地味ですが、これもなかなかいいですよね。
最後に、この映画がDVD化されるのなら、ぜひ日本語吹き替え版を収録してほしいと思います。佐藤英夫のマッソーの声はとてもぴったりしていましたし、故・山田康雄のダーンもイメージによくあっていました。最近、マルティン・ベックがらみのDVD発売も相次いだのですから、ねえ、メーカーさんも考えてくださいよ。
(引用ここまで)
最後の段落は、正直実現はしないだろうと勝手に考えていましたが、あにはからんや日本語版が収録されました。これはとてもうれしく思います。
ウォルター・マッソーの声というのもいろいろな人が当てていて、これだという決定版の人がいないんですけど、『サブウェイ・パニック』では富田耕生が担当していまして、個人的にはいまいちでした。けっこう富田さんがマッソーの声をしていることが多いんですけどね。あ、まったくどうでもいい話ですけど、ドラえもんの初代の声(NTVで放送されたヴァージョン)が富田さんの担当だったって皆さんご存知でした?
下の動画に、富田さんの名前をみることができます。また、テレビ朝日のヴァージョンでのび太の声をしていた小原乃梨子はママの声を、同じくスネ夫の声をしていた肝付兼太はジャイアンの声を担当していたのですね。彼は「新オバケのQ太郎」でゴジラの声を担当していたので、その関係もあったのかな。なお富田さんは途中で降板して野沢雅子が引き継ぎました。
ドラえもん(日本テレビ版EDテーマ)
ついでだから、オープニングもご紹介しましょう。
日本テレビ版 ドラえもん OP
現在発売中のDVDには声は収録されていませんが、『突破口! 』では左右田一平が声を担当していました。これはかなりマッソーの雰囲気をつかんでいたと思います。録音が破棄されていなければ、ぜひソフトに収録してほしいんですけどねえ。
で、この映画では、佐藤英夫がマッソーの声をしています。趣味の問題ですので意見が合わなければ仕方ありませんが、私はこの映画でのマッソーの雰囲気に佐藤の声はとてもよくあっていたと思います。なお、佐藤氏は、ほかにもマッソーの声を『おかしな2人』で担当しているとのことですが、私は聞いたことがありません。また、上の「allcinema」の記事では知らなかったのですが、佐藤氏は06年にお亡くなりになっているそうです。知っていれば山田康雄氏にはつけたのですから当然「故」とつけるべきでした。
監督のスチュアート・ローゼンバーグは私の好きな映画監督です。器用に映画を作るといったタイプの人ではないのですが、重苦しいというか無骨な演出が好きです。
さてこの映画はさして派手なアクションシーンがあるわけではありません。最初の大虐殺のシーンは派手ですが、ラストはあんがいあっけなく片付きます。でもそこがこの作品の場合いいかなと思います。それからラストに見える高速道路は、89年だったかの地震で倒壊しています。遠くには、コイトタワーも見えますね。
なお、allcinemaでの記事にも書いたように、いやな上司を演じたアンソニー・サーブもいい味を出しています。それにしてもこの人、ほんとの悪相ですね。
また、小説の主人公であるマルティン・ベックがジェイク・マーティンとしてマッソーが、グンヴァルト・ラーソンがレオ・ラーセンとしてブルース・ダーンが演じていますが、本家スウェーデンでも映像化されています。こちらをご参照ください。
私は映画は観ていませんが、テレビドラマのほうは観ています。日本でも放送され、DVDボックスも出ています。
マイ・シューヴァル、ペール・ヴァールー夫妻はあんまりこの映画をきにいっていないようですが、ヨースタ・エクマンのヴァージョンには、シューヴァルが特別出演しているくらいなので、それなりに気にっているのかも。なお当方は、DVDボックスを持っていますので、これについても感想の記事を書こうかと思います。
それにしてもこの作品でのマッソーはうまいですね。時に暴力的、時にしつこく、時に上司をもたぶらかすという非常にずるい刑事をとても巧みに演じています。allcinemaの記事にも書きましたように、この作品がシリーズ化されても良かったなあとおもいますが、それはかないませんでした。ややコンビが地味だったかなと。それはそうと、情報屋の役でマリオ・ガロ(ギャロかな)という俳優が登場していますけど、この人は『レイジング・ブル』でデ・ニーロのトレーナーをやっていましたね。あと『キングコング』にも出ていたな。予告編の動画にも出てきます。帽子をかぶってマッソーと話をしている人物です。
というわけで、この映画は見て損はしないと思います。ぜひ見てよ。
The Laughing Policeman (1973) Trailer
なお、この映画の題名もいろいろ紆余曲折があり、現代は「The Laughing Policeman」で『笑う警官』ですが、日本での劇場公開の際は『マシンガン・パニック』(この題名は、あるいは『サブウェイ・パニック』を意識したのかな?)。VHSビデオ化された際が『笑う警官/マシンガン・パニック』、DVD化でまた題名がひっくり返りました。原作もそれなりに知名度があるからかな。
今回も手抜きでってことはないですけど、私がallcinemaに書いたコメントを引用します。
>好きな映画です
投稿者:Bill McCreary 投稿日:2007-10-23 22:10:49
原作のストックホルムから、サンフランシスコに舞台を変えての映画化です。ウォルター・マッソーとブルース・ダーンもいいし、脇を固める俳優達も充実しています。上司役のアンソニー・ザーブもいやな奴を好演しています。また、保安官役をしょっちゅう演じているクリフトン・ジェームズがちらっと顔を出したり、『刑事コロンボ』の常連ヴァル・アヴェリーやルー・ゴセットJrなど、なかなかの顔ぶれです。同じ監督の『暴力脱獄』と出演者が複数重複しているのも個人的に興味深く思いました。
仕事馬鹿のマッソーと、やややる気に欠けるダーンの対比も面白いところです。このあたり、さすがにダーンの演技は絶品だと思います。また、70年代のサンフランシスコの下町や風俗街の描写も貴重なものがあります。
原作者はこの映画をあまり気に入っていないようですが、映画の出来としては高いものがあります。主人公の家庭のシーンなどはややもたつきますが。
ラストの落ちは、原作と同じ趣向なのですが、若干変えています。個人的には映画のラストの方が好きです。
実現することはありませんでしたが、マッソーとダーンのコンビをシリーズ化してもよかったなあとも思います。マッソーの執拗な聞き込み中心の捜査は、同じ時代のハリーやポパイよりも地味ですが、これもなかなかいいですよね。
最後に、この映画がDVD化されるのなら、ぜひ日本語吹き替え版を収録してほしいと思います。佐藤英夫のマッソーの声はとてもぴったりしていましたし、故・山田康雄のダーンもイメージによくあっていました。最近、マルティン・ベックがらみのDVD発売も相次いだのですから、ねえ、メーカーさんも考えてくださいよ。
(引用ここまで)
最後の段落は、正直実現はしないだろうと勝手に考えていましたが、あにはからんや日本語版が収録されました。これはとてもうれしく思います。
ウォルター・マッソーの声というのもいろいろな人が当てていて、これだという決定版の人がいないんですけど、『サブウェイ・パニック』では富田耕生が担当していまして、個人的にはいまいちでした。けっこう富田さんがマッソーの声をしていることが多いんですけどね。あ、まったくどうでもいい話ですけど、ドラえもんの初代の声(NTVで放送されたヴァージョン)が富田さんの担当だったって皆さんご存知でした?
下の動画に、富田さんの名前をみることができます。また、テレビ朝日のヴァージョンでのび太の声をしていた小原乃梨子はママの声を、同じくスネ夫の声をしていた肝付兼太はジャイアンの声を担当していたのですね。彼は「新オバケのQ太郎」でゴジラの声を担当していたので、その関係もあったのかな。なお富田さんは途中で降板して野沢雅子が引き継ぎました。
ドラえもん(日本テレビ版EDテーマ)
ついでだから、オープニングもご紹介しましょう。
日本テレビ版 ドラえもん OP
現在発売中のDVDには声は収録されていませんが、『突破口! 』では左右田一平が声を担当していました。これはかなりマッソーの雰囲気をつかんでいたと思います。録音が破棄されていなければ、ぜひソフトに収録してほしいんですけどねえ。
で、この映画では、佐藤英夫がマッソーの声をしています。趣味の問題ですので意見が合わなければ仕方ありませんが、私はこの映画でのマッソーの雰囲気に佐藤の声はとてもよくあっていたと思います。なお、佐藤氏は、ほかにもマッソーの声を『おかしな2人』で担当しているとのことですが、私は聞いたことがありません。また、上の「allcinema」の記事では知らなかったのですが、佐藤氏は06年にお亡くなりになっているそうです。知っていれば山田康雄氏にはつけたのですから当然「故」とつけるべきでした。
監督のスチュアート・ローゼンバーグは私の好きな映画監督です。器用に映画を作るといったタイプの人ではないのですが、重苦しいというか無骨な演出が好きです。
さてこの映画はさして派手なアクションシーンがあるわけではありません。最初の大虐殺のシーンは派手ですが、ラストはあんがいあっけなく片付きます。でもそこがこの作品の場合いいかなと思います。それからラストに見える高速道路は、89年だったかの地震で倒壊しています。遠くには、コイトタワーも見えますね。
なお、allcinemaでの記事にも書いたように、いやな上司を演じたアンソニー・サーブもいい味を出しています。それにしてもこの人、ほんとの悪相ですね。
また、小説の主人公であるマルティン・ベックがジェイク・マーティンとしてマッソーが、グンヴァルト・ラーソンがレオ・ラーセンとしてブルース・ダーンが演じていますが、本家スウェーデンでも映像化されています。こちらをご参照ください。
私は映画は観ていませんが、テレビドラマのほうは観ています。日本でも放送され、DVDボックスも出ています。
マイ・シューヴァル、ペール・ヴァールー夫妻はあんまりこの映画をきにいっていないようですが、ヨースタ・エクマンのヴァージョンには、シューヴァルが特別出演しているくらいなので、それなりに気にっているのかも。なお当方は、DVDボックスを持っていますので、これについても感想の記事を書こうかと思います。
それにしてもこの作品でのマッソーはうまいですね。時に暴力的、時にしつこく、時に上司をもたぶらかすという非常にずるい刑事をとても巧みに演じています。allcinemaの記事にも書きましたように、この作品がシリーズ化されても良かったなあとおもいますが、それはかないませんでした。ややコンビが地味だったかなと。それはそうと、情報屋の役でマリオ・ガロ(ギャロかな)という俳優が登場していますけど、この人は『レイジング・ブル』でデ・ニーロのトレーナーをやっていましたね。あと『キングコング』にも出ていたな。予告編の動画にも出てきます。帽子をかぶってマッソーと話をしている人物です。
というわけで、この映画は見て損はしないと思います。ぜひ見てよ。